「誰でしょ〜か!?」 「…ハル」 「ピンポーン!大正解ですツナさんっ。賞品はほっぺにチュー…」 「しなくていいから」 振り替えれば、両手を広げてこちらに唇を付きだしてくる女子中学生がいたので、綱吉は彼女のおでこに指を当て押し返した。 好いてくれているのは嬉しい。 けれど十も歳が離れている彼女は、自分にとって妹の範疇を越えない。ポニーテールがピョコンと跳ねて元気はつらつな彼女を愛しくもあるし可愛いとも思うが、そこまでだ。 彼女が求めているものは、自分とは余りにベクトルが違う。 「ツナさん?」 (それに中学生に手を出すとか犯罪だろ…) 数年経てば、彼女は誰からも一目おかれるような美しい女性になるのだろう。そう思わせる魅力が彼女にはあった。 だったら、ヨコシマな男どもの魔の手から守ってやるためにも今の内から手懐けておくべきじゃないか。 「ツナさーん」 (…いやいやいや、ハルはペットじゃないんだから) 綱吉は頭を振った。 自由恋愛、大いに結構。今は彼女にとって「大人の他人」が珍しいだけだ。 そのうち興味をなくして彼女に相応しい彼氏でもできるだろう。それまで自分は「近所に住む憧れのお兄さん」的な役割をこなせばいい。 「…あんまり見つめられたら、ちょっと照れちゃいますぅー!」 「いって!」 ペチッ 自覚はなかったけれど、彼女を見入っていたらしい。 頬を紅く染めたハルは正面から勢い良く綱吉の瞼に手を当て目隠しした。 しょうがないなとケラケラ笑う男もまた、無自覚な心に蓋をして隠す。 |