小説置場

□PRESENT for you!!
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「誕生日おめでとう。ほらよ、プレゼント…って言えるかーっ」
青峰は暗い公園で1人叫んでいた。
今日は恋人、黄瀬の誕生日なのだが、青峰の性格上、素直におめでとうなんて言えない。
「ったく…どうすんだよ。もう来ちまうぜ」
現在19:29、約束まで1分を切っていた。
そわそわとして落ち着きのない青峰の視界が急に真っ暗になった。
「だーれだっ☆」
陽気な声に思わず「うぉあ!?」と意味の分からない言葉を叫んでしまった。
「あははっ何すかそれ。青峰っちってばビビり過ぎ」
視界が元に戻り、黄瀬が面白そうに笑っていた。
青峰はうるせーと悪態をつく。
「もー、そっちから呼び出しといて何も無いとかやめてくださいよ?俺だって忙しいんすから」
「バカ。用事ならあるに決まってんだろ…っその、あれだ。黄瀬…」
目を泳がせつつ、プレゼントを取り出し、勢いよく投げた、黄瀬に。
というか顔面に。
「いって!?何すか急に!?つか、箱でっか!!」
割と重みと大きさのあるプレゼントに黄瀬は驚く。
「んだよ、プレゼントはでかいに限るだろうが、文句言わずに貰え」
「別に文句があるわけじゃないっすけど…って、へ?プレゼント?何の?」
プレゼントを拾い上げ意味が分からないと言いた気な黄瀬に青峰は溜息を吐いた。
「その、あれだ…誕生日だろうが」
「んー…あーそういえば今日っすねー。すっかり忘れてた」
えへへ…と笑うその表情に嘘はないらしく、青峰はしょうがねえやつだなと笑った。
「忙しくて忘れてたんだろ?ったく。あんまり頑張んじゃねえよ。無理して体調崩したら意味ねえだろ」
「いや、無理はしてるつもりはないんすけど…心配してくれて…ありがとう…」
恥ずかしいのか、顔を逸らしてしまった黄瀬に今なら言えそうだ、と青峰は口を開いた。
「誕生日おめでとう。生まれてくれてありがとよ」
ぶっきらぼうに、でも優しく響く言葉に黄瀬は泣きそうな顔で微笑んだ。
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