小説置場

□甘いのも好きでしょう?
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「神宮寺」
驚いた。
普段、規則正しい生活を心がけているこいつがまだ起きていようとは思ってもいなかった。
「聖川。眠そうだな」
「当たり前だ…帰ってくるのが遅い」
目をしばしばさせながら、聖川は不機嫌そうに呟く。
「すまない。色々な人に祝われて遅くなったんだ…寂しかった?」
「馬鹿か…!っ誰が…////」
顔が一気に真っ赤になって、聖川はこちらを睨んできた。
「くすっ…相変わらず嘘が下手だな…」
抱き寄せると、馬鹿、ともう一度呟き、俺の肩に顔を埋めた。
温かくていい香りがする。
愛しい人のそれを感じ、顔が綻ぶ。
「神宮寺…誕生日…おめでとう」
小さなその声にますます顔が綻ぶ。
「生まれて来てくれて、ありがとう…好きに、なってくれてありがとう…」
「ありがとう、聖川」
十分すぎる言葉に聖川を強く抱き締めた。
と、すーと寝息が聞こえてきた。
覗き込むと、聖川が眠っていた。
「無理するからだ」
馬鹿はどっちだ、まったく。
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