小説置場

□好きだけど、好きだから、
1ページ/2ページ

「もううっぜー!」
「花礫くーん!?」
ピタリと最愛の恋人にくっついていたら、いきなり振り払われた。
「暑苦しいっての!何ベタベタしてんだよっ!」
えー、だって恋人だよっ!
いいじゃない、ベタベタしたって!
「花礫くん、俺のこと嫌なの?」
そう言うと、花礫くんはぐっと声を詰まらせる。
「ガキみたいなこと言ってんなよ!」
だって、振り払うなんて…。
好きならしないでしょ?
「答えて。俺のこと、嫌い?」
「バカ、そうじゃ、なくて」
花礫くんは顔を紅くさせ、ブツブツと何かを呟く。
「何?」
目を見て言うと、花礫くんはパッと目を逸らした。
「花礫くん、俺を見て」
「やっ、だ…」
頬を両手で挟み、目を合わせる。
ああ、やっぱり。
花礫くんの目は綺麗だ。
「花礫くん」
形の良い唇に自分のそれを重ねる。
「與儀…やっ…」
そんなに顔真っ赤にさせて言っても、説得力無いよ。
「花礫、くん」
「んぅ…」
花礫くんの綺麗な目から、涙が零れる。
「ぇえっ…!?」
これには流石に驚いて、唇を離す。
「花礫くん、大丈夫?」
「見んな…」
一番驚いているのは、花礫くんの方だった。
「花礫くん、何か俺の嫌なとことかあったら、直すから。言って」
「…嫌じゃない…つか…好きすぎて困ってんだろうが」
え、
今何と?
「俺のこと嫌じゃないの?」
「お、お前っ…!ちゃんと聞いてたのか!?」
いや、だって、…いつもツンツンしてるのに。
「んだよ…」
「花礫くんっ」
「あ?」
「大好きっ!」
ギュッと抱きしめると、だからうぜえっての!と怒られた。
でも、その表情はいつもより少しやわらかくて。
ああ、幸せだ。
俺、愛されてるんだな…。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ