MASQUERADE

□MASQUERADE
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「…れ…嶺二…?」
ぽろぽろと零れている涙を拭おうと、頬に触れる。
その手を握る嶺二はますます涙を溢れさせた。
「っ、触、ないでっ見、な…でっ」
ぼくらしくないと嶺二は泣き続ける。
「らしくねえとか…関係ねえだろ…泣きてえなら隠さず泣けば良い」
掴んだ肩がひどく細っこくて弱々しく感じられた。
震える身体にしゃくりあげる位に泣く声。
こんなにも弱くて、小さいこいつを知ってるのは、俺だけ。
「まあ…俺も大概らしくねえことしちまってるか…」
「っ…離して、よ…痛い…」
下に俯いたままだった嶺二が唸るように呟いた。
「あ…すまねえ。苦しかったか」
ぱっと手を離すと、嶺二が少し顔を上げてこちらを見た。
「っ…お前、すげえ赤いぞ」
「ぁ…ち、ちが…これは」
おろおろとした様子の嶺二の頬に触ると嶺二がぴくりと肩を震わせた。
「っ!蘭丸!触らないでって言ったじゃん!」
「っあ、すまねえ。って…おい、どうした…顔」
不思議なことに嶺二の顔がさらに赤くなった。
唇を噛み締めて、何かを堪えるかのような表情。
今まで見たことのないその表情にこちらが緊張する。
顔を覗き込むと、目を逸らされた。
しかし、その目にまた涙が溜まり始めた。
それを指で拭うと、嶺二がひっと声をあげた。
嶺二はすぐに口を押さえて此方を睨みつける。
「蘭丸のっ、馬鹿…!!」
嶺二が俺の肩突然を殴ってきた。
なんで殴られたのかも分からず嶺二を見ると、猫が威嚇する時みたいにふーっと唸っていた。
正直怖いというより可愛い。
「ったく、何すんd「これじゃあ、ぼくが蘭丸を好きみたいじゃないか!!」
その言葉に一瞬思考が停止して俺まで顔が熱くなった。
は?何つった今。
何というか…可愛すぎるだろ、こいつ…!
「絶対あり得ないっ、蘭丸を好きなんて…誰かを好きになるなんて!」
尚殴ってくる嶺二の拳に力は無い。
「嶺二…お前…バカだろ」
ぎゅっと抱き締めると離せ!と怒鳴られた。
そのくせ、嶺二の手は俺のシャツを握り、離れたくないと言っているようだった。
「離して、痛いよ…すごく胸が痛いよ…っ」
どうして、と声を漏らす嶺二に俺はできるだけ優しく声をかける。
「嶺二、俺を見ろ。で、俺のこと嫌いって言ってみろ。そしたら、離してやる」
え、と掠れた声がして嶺二が震える。
そして、ゆっくりこちらを見た。
目は涙と戸惑いで大きく揺れている。
「ら、蘭丸なんて…き、らい…っきら、いっ」
泣きながら、しがみ付きながらそう言った。
「すまねえ…もう限界」
嶺二をソファに押し倒し、深くキスをする。
熱い舌を絡ませて、わざと音をたててキスをする。
「ふぁ…んっぁんっふ」
初めて聞いたその声に鼓動が早くなり、キスはさらに深くなる。
「んっんぁっぁふっぁん」
溢れ出した混ざり合った唾液が嶺二の口端から零れる。
唇を離すと、苦しそうに息をする嶺二が俺を涙目で睨んでいた。
「っはぁ…はぁはぁ…ら、んまる」
「やべぇ…すっげえエロい…」
服を脱がそうと手を伸ばすと嶺二が、止めに入った。
キッと此方を見据えて口を開く。
「スるなら、ベッド」
「分かった」
いつもと同じ言葉の筈なのに、とても嬉しかった。
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