MASQUERADE

□MASQUERADE
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「うー、さっむ…」
冬も本格的になり、歩く度に降り積もった雪がきしきしと音をたてた。
「蘭丸…死んでなきゃいいけど」
蘭丸との関係が始まってから、こんな寒い冬の夜にはよく蘭丸がマンションの前にいたもんだ。

『何してんの?』
『寒い…』
『そりゃ、こんな雪が降ってる中立ってりゃ寒いでしょ』
『節電してんだよ、今』
『アパートで凍死する気…?』
『部屋入れろ』
『…はいはい』

懐かしい会話に頬が一瞬緩み、途端に心臓が痛くなる。
もう、そんなこともない。
「苦しい…」
今もまだ、この感情を認められない。
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