MASQUERADE

□MASQUERADE
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気付けば、冬になっていた。
あの日から何か変わったわけでも無く、相変わらず嶺二は明るく、俺に絡んできた。
気味が悪いほど、変わらない。
「ランラン、どしたー??」
ぼーっとしていると、嶺二の顔が目の前にあることに気付き、ひっくり返りそうになった。
「んだよ…っ驚かせんなっての」
「さっきからぼーっとしてるから、心配したげたのにー」
ぶーと唇を尖らせる嶺二に溜息を吐いた。
「つか…その喋り方止めろっての…」
楽屋には2人だけ。
以前なら、互いに喋らず、静かにそれぞれの時間を過ごしてきた筈だ。
「んもー、ランランったらーぼくはいっつもこんな感じでしょっ」
「っち…うぜえ」
前にも増して、“寿嶺二”に苛立ちを感じる。
「嶺二…飯食いたい」
「んじゃ、この収録終わったら、どっか食べに行こっか?」
「金かかる、から…お前ん家で食いた「あー、ごっめーん!ぼくちんこの後予定あったんだったーっごめん、ランラン。また今度ね!」
言いたい事もすぐに遮られた。
「…おう」
でも、何も言い返せない。
手に入れたい。
だからこそ、手を出せない。

まだ、殴られた頬が、痛い。
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