MASQUERADE

□MASQUERADE
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「マイガールっ!!今日は、ライブに来てくれてサンキューベリーまっちょっちょ!」
マイク片手に、笑顔のぼく。
言ってることはもちろん、ファンが喜びそうな、笑ってくれそうな言葉を選ぶ。
“寿嶺二”は、そういうアイドルだ。
ステージからはけると、袖に待機してた藍と目が合う。
「相変わらず、変な挨拶だね」
「もうっ!アイアイそんなこと言うなんて、お兄ちゃん怒っちゃうぞーっ」
「はいはい」
ステージだけじゃない。
ぼくはいつだって、仮面を被っている。
「ミューちゃん、眉間に皺寄ってるよー。ファンの子にそんな顔で挨拶したらダメだぞっ」
「っふん、そんなヘマする訳がないだろう」
ぼくの本性は、誰にも知られていない。
「?…ランラン?…どうかした?」
1人を除いては。
「へらへらしやがって…吐き気がすんだよ。お前のそういうキャラクター」
「やっだなー!キャラクターだなんて!ぼくはいつだってこうでしょ?」
「…うぜぇ」
黒崎蘭丸には、出会ってすぐに見破られた。
家族にさえ気づかれなかった、ぼくの本性なのに。
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