小説置場

□PHANTOM SHADOW
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「…誕生日ねぇ…高校にもなって祝われてもな…」
つか、めんどくせぇよなぁ…そういう祝い事って。
まぁ、誕生日知ってんのは、桐皇じゃさつきぐれぇだし…。
と、メールの受信音が鳴り、ケータイを取り出す。
「黄瀬か。あいつ律儀だな」
そう思ってると次々とメールが送られてきた。
「あいつら暇人かよ」
っていう俺も練習サボってるけどな。
「…かえっか」
鞄を持って教室を出る。
さつきから“練習!!”とだけ書かれたメールが送られてきて苦笑する。
「祝う気ねえな、こいつ」
家路をダラダラと歩いていると、何かにぶつかった。
でも、周りには何もない。
「…あ?何だ今の」
「青峰くん、こんばんは」
真下から声が聞こえ、うぉっと唸る。
「テツ…驚かせんなよ」
「…心外です。青峰くんの方からぶつかってきたんですよ」
少し眉根を潜めてテツは不満げに声をもらす。
「お前が影薄いからだろうが」
「青峰くんがぼーっとしてるからです」
テツは以前より冷たく感じる。
何でだろうか、きっと前と変わらない筈なのに。
「…でも、ちょうど良かったです。青峰くん、誕生日おめでとうございます」
ふっと頬を緩め微笑む。
「…おう、ありがとな」
あの時を思い出す。
…楽しかった、あの時を。
「青峰くん、バスケしませんか?」
突然の言葉に思わず、は?と聞き返す。
「バスケ、したいんです…青峰くんと」
「…するか、バスケ」
面倒くさいなんて思わなかった。
するりと出たその言葉に正直驚いた。
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