小説置場

□主将様は悩んでいます。
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「犯人はお前らの中にいる」
ロッカールームでの主将の言葉である。
「唐突っすね…どうしたんすか、赤司っち」
黄瀬の言葉に鼻で笑う赤司。
「どうもこうも、このザマだ。誰だ、あんな所にミーティング表置いた馬鹿巨人は。削ぐぞ」
「赤司、ツッコミきれないからボケを重ねるな」
緑間は頭を抱えながらボヤく。
「ボケたくもなるわ。ロッカー何メートルあると思ってんだ。その上に何で俺が使うミーティング表置くんだ、取れねえよバカだろ」
「赤司くん、言葉乱れてます」
「で、俺らのうちの誰かが置いたっつー根拠はあんのかよ」
青峰が赤司を睨む。
「勿論だ…昨日ミーティング表はロッカールームの床に置いていた。それを最後に確認したのは昨日の練習の帰り…そして、昨日俺よりも遅くロッカールームから出てきたのはお前達4人だ」
「確かに僕らは昨日赤司くんよりも後に出ましたね」
「って、黒子っちは身長的に無理じゃないっすか?」
「確かにそうなのだよ…脚立を使って辛うじて届く距離だ。黒子にはほぼ不可能だ」
黄瀬と緑間がそう言うと、赤司は何を言っていると目を丸くした。
「はなから黒子は疑っていない。俺が疑っているのは、お前達4人だと言ったろう」
青峰が首を捻る。
「は?だから俺と、黄瀬と緑間そしてテツで4人だろうが」
「違う。青峰、黄瀬、緑間、紫原だ。確かに黒子も俺よりも後に出て来たが、無理なことは誰の目にも一目瞭然だ」
「…………紫原くん、いませんけど」
黒子の遠慮がちな声。
「…………本当だな。気付かなかった」
赤司はさっと目を逸らした。
「いや、紫原っちでかいっすよ!?いないの気付かないってどんなっすか!」
「黙れ黄瀬。削ぐぞ、お前の前髪削ぎ取るぞ」
「赤司、キャラを見失ってるのだよ!!」
わーぎゃーわーぎゃー騒いでいると、おもむろにドアが開いた。
「あーららー?どうしたの、すごい騒がしいけど」
のっそりと紫原が入ってくる。
「ああ、紫原か。丁度いい所に実h「あ、赤ちん。そういえば床にあんまり物置かないでよねー。俺下よく見えないから蹴っちゃうんだってー」
紫原の一言に全員が固まる。
「昨日もさ、ミーティング表蹴って上に上げといたんだけど…どうしたの、赤ちん」
「…紫原…じゃあ、これはお前がしたのか」
ロッカーの上に置いてあるミーティング表を指差す赤司に頷く紫原。
黒子達は合掌をした。
「お前という奴は…俺が使うのに俺の取れない場所に置いてどうするんだ!」
「ごめんごめーん…でも別に俺が取っちゃえばいいんじゃない?…ほら」
紫原はほとんど手を伸ばすこともなく、ミーティング表を取った。
「ば…」
赤司がぷるぷると震える。
そして。
「紫原のバカ!!身長分けろ!お菓子はほどほどにしろ!!!うわーーーーん!!」
そう言い捨ててロッカールームから出て行った。
「…赤ちんどうかしたの…?」
状況がまったく分かっていない紫原が呟く。
「今は放っといてあげてください」
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