NARUTO
□今はまだ
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忘れないで。
俺の愛は届いているだろうか。
***
ピーッ!!
聞き覚えのある忍鳥の鳴き声がして、カカシは空を仰いだ。
恐らく火影からの伝達だろう。
それは分かっているのだけど…。
「・・・未練がましいね、俺も」
二年前に一度だけ送った手紙。
全てを捨てて里を抜けた恋人にあてた恋文。
『愛してる。』
たった一言だけの手紙は
届いたかどうかも分からない。
それでも返事を期待してしまう自分に苦笑する。
忍鳥から受け取った書類に目を通す。
火影からの召集状だった。
ひとつため息をついて、行こうかと足を踏み出したとき
「・・・・・・カカシ」
「っ!?」
振り向いた先にサスケがいた。
「なっ…え?…サスケ・・・?」
ゆっくりと近付いてきた彼に口布を剥がされる。
随分と目線が近い。
本当にあれから二年もたったのだ、と今更ながら実感した。
手を掴まれて、何か紙を握らさせる。
問いかける前に唇を塞がれた。
ただ重ねるだけの口づけ。
少しわがままを言っても許されるだろうか。
離れていく顎に手を添えて、もう一度引き寄せる。
「・・・もう一回…サスケ」
「・・・ん…」
さっきより深く、永く口付けた。
遠くから人の気配が近付いてくる。
2年ぶりの逢瀬はここで終わりのようだ。
サスケの頬をそっと撫でる。
「じゃあ、・・・またね?サスケ」
一瞬だけサスケの眉が歪んだのは、見ないフリをした。
「・・・ああ…またな。」
嗚呼、君はなんて優しくて残酷な人。
カサリと握り締めた拳から音がした。
手を開くと現れたのは、細長い小さな手紙。