NARUTO
□寝顔
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意外と華奢な背中が規則正しく上下している。
少し長めの襟足が重力に従って下に流れているせいで、
普段は見えない白いうなじが露になっていた。
手を伸ばしてその黒髪を撫でてみる。
さらさらとしたそれは指の間をするりとこぼれていく。
「ん…」
少しだけ眉間にしわを寄せて、
サスケが目を覚ました。
「すまない。起こしてしまったな」
宥めるつもりで輪郭から首筋の線に沿って撫でる。
すると、サスケは寝返りをうって
こちらに身体を向けると
「いや、・・・いい・・・」
そう呟いて、再び目を閉じた。
「そうか…」
重吾は一人、そう誰にともなく言うとまたゆるゆると髪をなで続けた。
もうすぐ出発しなければならない。
せめてそれまでは彼がゆっくり休めるといい。
二人きりの空間に満ちるのは、
安らかな寝息と、髪がこぼれる音。
さらさら、さらさら。
次に彼が目を覚ましたときも、
その瞳に写るのが自分であるように。
重吾はサスケの髪を撫で続けた。
寝顔
(それは彼からの、
最上級の信頼の証。)
End