NARUTO

□薄情者に恋をしている
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「ねぇ、キスしていい?」

思いきって聞いてみた。
サスケは訝しそうに眉を寄せて
僕を睨み付ける。

それでも何も言わずに待っていると、


「・・・好きにしろ」

了承の返事が返ってきた。

「じゃあ、遠慮なく」
薄い唇を覆うように自分の唇を重ねる。
するりと一舐めして、離れた。


伏せられていたサスケの目蓋がゆっくりと持ち上がる。
濡れたような黒目に見つめられて
思わずこくりと唾を飲んだ。

「水月…」
そっと耳辺りの髪を、くしゃりと撫でられる。と、そのまま引き寄せられてもう一度唇が重なった。


「ん…」
今度は舌を絡める濃厚なキス。
少し火照った自分を自覚して、気恥ずかしくなったけれど

この気持ちよさには敵わない。


首筋に沿って指を這わせると、
くっ、とサスケの喉が鳴る。

ちゅ、とようやく満足したのか、
唇が離された。


「今日は機嫌がいいね」

めったにない想い人からのキスに偵察で疲れていた身体がじわじわと喜びに侵食されていく。


ああ、今なら殺されてもいいかも。


なんて浸っていたら、

「水月!!てめーっ!!」

暴力女こと香燐が拳を固めて突っ込んできた。


「うわっ!?何だよ!?」

「てめー、人が偵察に行ってる間にサスケに何してやがるっ!!」

「別に僕がサスケに何しようが、君には関係ないだろ!!」


論争の間にも香燐の拳は止まらない。
諦めてサスケにたしなめてもらおうと思って見ると、

「重吾、背中貸せ。」
「ああ」

僕を誘った本人は僕の顔を見ると、
ふん、と楽しそうに口角を上げて
涼しい顔で昼寝の体勢に入っていた。


「ええ!?助けてよ、サスケ!!」
「いい加減一発殴らせろ!!」


ほんと、気まぐれで困ってしまう。
でも、そんなぬるま湯のような関係にどっぷりはまっているのも事実。


恋人に見放されてため息を吐いた頬に、香燐の鉄拳がめりこんできた。



(でも、)

(君から誘ってくれたから
まあ、いっかと思うなんて)

(これは重症だ。)
 

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