カルテット☆ヴァンパイア
□始まりは些細なことで
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「……っ…ん………?」
朝の太陽の日差しが眩しくて目が覚める。
起き上がると、周りの風景が明らかに私の部屋じゃない。
「……ここどこ?
たしか私………」
頭を朝からフル回転させて、昨日のことを思い出そうとしたら急にドアが開いた。
「あ、おっはよーん!!
体調は平気?」
「寿さん………私……」
「昨日のことは、ちゃんと説明するから……………目眩とかはしない?」
「だ、大丈夫です……」
「なら良かった☆
着いてきてくれるかな?」
「はい………」
寿さんに着いていくと、大きなリビングに着いた。
残りの3人はソファー座っている。それに……白衣を着た知らない人まで………
「真由ちゃん連れてきたよー」
「お……君が手塚真由ちゃんだね?」
「あなたは……?」
「まぁまぁ、座って」
白衣の人に座るように指示され、向かいのソファーに座る。
「私は藍の知り合いでね……博士と呼んでくれ」
「はぁ……?」
「君は昨日、この4人にされたことを覚えているかい?
正確には寿くんと藍だけど」
「寿さんには………紙で切れた指を舐められて……傷が治ってて………美風さんには……っ…首筋を噛まれたと思ったら変な感覚がして…………」
「そうだね。
君には話さなきゃいけないことがある。
この4人は………ヴァンパイアなんだ」
ゔぁ ん ぱ い あ?
吸血鬼だよね?
そんな非科学的なのがいるなんて……
「いるんだよ。
絶滅してると思ってたら、吸血鬼の力を受け継いでる子が4人いてね………それが彼らだよ」
「だ、だって………今まで普通にご飯食べたりして……ち、血を飲んでるとこなんか一度も見てないです……!!」
「それは私が作った薬を飲んでいたからだよ。
吸血衝動を抑える薬をね。
君にはサプリと言われてたんじゃないかな」
サプリ………たしかにずっと飲んでる……。
特に私といるときはしょっちゅう飲んでたような気が………
「キミの体からは……匂いがするんだよ。
僕たちを誘う匂いがね………でも何も知らないキミから貰うのは気が引けた」
「美風さん……」
「でも昨日はコンサートで薬を飲む暇なんかなかった。
そこで真由ちゃんが怪我して血が出たから、僕たちは我慢ができなかったわけ……ごめんね?
驚いたよね」
「……いえ………寿さんたちは悪くないですから。
たしかに驚きましたけど……ちゃんと事情を話してくれてありがとうございます」
「そう言ってくれると助かるよ真由ちゃん」
寿さんが安心したように笑う。
「博士……さん?」
「さんはいらないよ。
普通に博士でいいから」
「博士………私はこれからどうすればいいんですか?」
「そうだな…………彼らには今まで通りアイドルをやって、もちろん薬も飲む。
でも君の血をたまにでいいから飲ませてあげてくれないか?」
「私の血を………」
「うん。
薬でずっと抑えてるとはいえ、薬が切れ始めると衝動がある。
そこにファンがいたとしたら大変だ。
だから、定期的に彼らに飲ませてあげてくれ」
「そ、それで私が死んだりとか……」
「んなことするか。
お前は俺たちの作曲家でありマネージャーだ。
いなくなったら困るだろうが……」
「僕たちはキミの血をもらうけど、満足するまで飲んだら干からびちゃうしね。
その辺は調整するよ」
「なら…………私でいいなら……協力します」
「助かるよ。
ならここに住むといい。
ここは彼らの家だから、一緒に住んでいた方がいいだろう」
「はい」
「いらっしゃーい真由ちゃん☆」
「アレキサンダーの世話も頼むぞ」
「ま、任せてください?」
「何故疑問系なのだ」
「やります!」
些細なことで4人の秘密を知ってしまった私。
これから忙しくなりそうです。