カルテット☆ヴァンパイア
□始まりは些細なことで
2ページ/3ページ
「真由ちゃん………いい匂いだね……」
「え……?
寿さん……?」
「最初からうまそうな匂いはしてたけどよ………」
「あ、あの黒崎さん………どうしたんですか……?」
「ねぇ、味見させてよ」
「美風さん………?」
「甘い香り………香りだけでこんなにも満たされるとはな」
「カミュさん……?」
皆の目がいつもと違う………。
まるで餌に飢えてる獣みたいな………
「指、貸して真由ちゃん……」
「え……あ…っ!」
「……っん…………」
寿さんが私の指を舐める。
すると、さっきまで切れて血が出てたところが塞がって治っている。
どういうこと……?
「おいしいね………今まで味わったことないくらい」
「こ、寿……さん……?」
「レイジ………次は僕の番だよ」
美風さんが近づいてきて思わず後ずさるが、あっという間に壁にぶつかり、逃げ道を塞ぐように顔の横に手を置く。
「美風さん…やめてください……!」
「無理…我慢できないから……」
「何言って………っあ!?」
首筋に痛みが走る。
その瞬間何とも言えない感覚が、身体中を巡ってジンジンする。
これって………血を吸われてる……!?
「や……っ…ぁ…!//」
「ん……っんく…………はぁ……最高だね……」
「は……ぁ…っ//」
頭の中が混乱して、真っ白になる。
そのまま美風さんに凭れて意識を手放した。
「おい……俺たちが吸えてねぇじゃねぇか!!」
「美風……貴様………!!」
「いいじゃない別に………いつも僕は我慢してるんだから」
「でも気を失っちゃったね?
どうするのアイアイ?」
「連れて帰るに決まってるでしょ?
僕たちの屋敷に」
真由を抱いて楽屋を出て屋敷に向かう。