短編集
□ヤキモチ
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宴も終わり、各々好きな所で寝息を立てている甲板。レイラはベポに抱き着いて寝ていた。
「………」
それを面白くないと言った表情で見つめる影が一つ。
ハートの海賊団船長、トラファルガー・ローである。
ベポの隣はローの指定席でもある。だがしかし、今は指定席を取られたと言う悔しさではなく、ベポのその手が気に食わない。
ベポの隣はローの指定席だが、レイラを抱き締めていいのはローだけなのだ。しかしこの二人は普段から仲が良く素面でも抱き着くのは日常茶飯事。そんな事は知っている。だからと言って眠る時まで抱き合うのは頂けない。
「…おい」
ローはレイラを揺さぶってみたが起きる気配がない。
それもそのはず、レイラは一度眠ったら中々起きないのだ。
それなら…と、ローは静かに寝息を立てるレイラの首筋に唇を寄せて項の直ぐ下に舌を這わせると強く吸い付いた。
「…っ…ん」
ローの思惑通り痛みで目を覚ましたレイラがまだ開ききらない目でローを見上げると、すかさずレイラの唇にローのそれが重ねられて深く口付けをされる。
「っ…ロー…?どうしたの?」
漸く覚醒したレイラは口付けされた意味が分からずローに訪ねるも、無理矢理ベポの腕から引っ張り出されてローに担がれた。
ローはと言うと、レイラを担いだまま無言で歩き出す。
「ちょっ…と…!」
「……………い」
「え?何…うわっ…」
ローが小声で何か言ったが聞き取れずに聞き返そうとすると、今まで担がれていたのが急にお姫様抱っこに変わる。
レイラは耳まで真っ赤になり暴れるがローにとっては全く意味の無い行為。恥ずかしさに耐え兼ねてローの首に腕を回して首筋に顔を埋めた。
「……………ばーか…」
ローはレイラを抱いたまま自室へと戻って行った。
(おれ以外に抱き締められてるお前が悪い)
end