本棚*1
□日常風景
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「次の曲は、こんな感じで出来たけど…どう、かな?」
メンバー会議の中、鬼龍院は新曲のデモを持ってきて皆に聴かせていた。
アップテンポやポップなノリの多い自分達のバンドだが、今回鬼龍院が作ってきたのは珍しくしっとりとしたバラードだった。
「すごい…感動して涙でちゃった!」
「いやー、本当に鬼龍院さんはすごかばい」
淳くんは相変わらずガーリーちっくなリアクションをし、研二さんは参った参ったというように鬼龍院に尊敬の眼差しを向ける。
「あ、ありがと!!そう言ってもらえると嬉しいなぁ…。喜矢武さん、ど、どうだった?」
率直な感想を述べた二人とは別に、流れる音楽と鬼龍院の歌声を物静かに聴いていた喜矢武。
「…やっぱり、だ」
「え、な何?気に入らなかった?」
口を開いたかと思えば、その一言しか発しない喜矢武に鬼龍院はおどおどする。
「いや、そうじゃなくて。俺…お前の声も作る音楽も、やっぱ世界で一番好きだわ。」
その台詞に、鬼龍院は勢いよく喜矢武にガバーっと抱きついた。
「僕も豊が世界で一番すきすき大好きだよー!!」
もう、その場でチュッチュッしだしたから困ったもんだ。
「きりゅーいん…すき」
「うん、うん!僕もだーいすきっ」
取り残された二人は凍りついていた。
「ねぇ、研二さん…何で会議中にこんなピンクな空気になるんだろう?」
「おで、ある意味また鬼龍院さんを尊敬するわ…ははっ、は…」
目の前でラブラブな二人を遠い目で見送る淳くんと研二さんでした。
おしまい。