本棚*1

□君の傍に
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翔が冷たい。

一緒にいる時も、仕事の時も。

『豊、さっきのコメント本当に酷すぎ』

『やる気あるの?』

『少しくらい、素直になったら?』

こんな言葉しか、最近言われない。

いつから、翔はこんなに変わった?
何で俺だけに、そう当たる?

淳くんや研二には今まで通りなのに‥

でも、反論なんて出来っこない。
翔が言う事は、的を得ているから。
それに、翔に嫌われたくないから…

「わりぃ…」

すぐ謝るなんて、俺のキャラじゃないのに‥
全ては、翔のためなんだ。

別に、付き合ってはいない。
友達以上、恋人未満な関係。

「明日も仕事なんだから、ちゃんと反省してよ?」

ほら、やっぱり冷たいままだ。
下手したらマネージャーより冷酷だろ、こいつ。

こんなに冷たくされてるのに…
どんなに頑張っても、振り向いてもらえないのに…なのに、何で俺はこいつが好きなんだ?

いっその事、研二や他の人に気持ちが乗り換えられたらな、と思うのに出来ない。

それはやっぱり、翔と共に過ごした時を忘れられないから。

なぁ、お前は俺のこの気持ちに気づいてないのか?
お前に対する想いは、いつの間にか友情から恋心に変わってしまったんだ。
俺が男じゃなく、女なら、お前は振り向いてくれたのかな?
少しでも、お前に気に入られたいのに。傍にいたいのに。

「翔…」

俺は、どうしたらいい?
もう、わからない…
苦しくて、たまらない。

「豊、次のギターソロは一緒に考えようね」



「‥ぅん。」




俺はまだ、あなたの傍にいていいですか?








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