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□♡無関心
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初恋が叶うなんてそうそうあるわけないんだ。
現に俺の初恋の人は俺の兄と結婚した。
13年前に兄ちゃんの彼女になった時に出会って、いつか兄ちゃんと別れた隙を狙ってやろうと思ったのにそんな気配など一切なくて、大人になったらあっさり結婚して子供までいる。
5歳と3歳の兄妹。
入籍直後忙しくて結婚式を挙げていなかった二人は、かなり遅くなったが式を挙げた。
式の最中甥っ子と姪っ子の世話は俺がするはめになる。
「勇士お兄ちゃんだっこぉ…」
「オレもだっこぉ!」
「二人も抱っこできねぇよ!」
2人とも一応懐いてはくれているらしい。
「よしよし、一人はおじいちゃんが抱っこしようか」
「オレじぃじ!!」
父さんがきてくれて、俺は姪っ子を抱き上げた。
「勇士お兄ちゃん大好きぃ」
「15年後同じこと言ったら考えてやる」
「じゅーごぉ?」
「何でもねぇよ」
その時だ。
視線を感じて振り向くと、親戚の席にいる一人の結構可愛い女の子がこっちを見ていた。
どこかで会ったことあったか?……なんとなく花と似てるな…似てるせいか?
花の親戚?
俺が気付いたことに気がつくとパッと俯いた。
どっかで見たことあるような…
「勇士君、お世話してくれてありがねぇ!大変だったでしょ」
「い、いや…花、あのさ…あそこの親戚の席に座ってる子いるだろ?」
「へ?あ、うん!従姉妹なんだぁ?…そうだ!勇士君と同じ歳だよ!気になる?」
「べ、別にそんなんじゃ…」
「会うのすごく久しぶりだから少し話しにいくから一緒に行こうよ」
花に連れて行かれてその子のところに行った。
「心春(コハル)ちゃん久しぶりぃ!心春ちゃんすっごく可愛くなってる!」
「…あ…そんな…」
「やだ、花ちゃん!心春ったら今日は着飾らせてるけど普段は全然違うのよ!花ちゃんの明るさを見習ってほしいわぁ」
「そんなぁ!あ、あのね…旦那さんの弟さんの勇士君!心春ちゃんと同じ歳なんだぁ」
柚木心春……
嘘だろ……同じクラスじゃん……
こんな事って……
「花、ごめん…従姉妹って知らなかったけど…クラスメートなんだ…」
「ほえ?そうなのぉ!?すごーい!じゃあ、これからも仲良くしてあげてね」
ヤバい…気まずい…。
「勇士お兄ちゃん!ケーキ食べようよ!」
「お、ああぁ!そうだな…」
甥っ子に助けられた。
席に戻ることが出来た。