嵐さん…絆
□櫻井…山コンビ(不眠)
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O side
今日の取材は翔ちゃんと。
最近あんまり話してなかったから、二人って…嬉しいな。
櫻「おはよー。」
大「おはよう、翔ちゃん。」
ここのところ忙しいからかな、どことなく不機嫌な翔ちゃん。
何を探しているのだろう、椅子に座るなり、鞄をあさっている。
大「ね。」
櫻「わっ!」
後ろからいきなり話しかけたからだろうか、翔ちゃんは驚いて、鞄を落としてしまった。
中の物が床に散らばる。
大「あっ!ごめんね。」
拾い集める。
ハンカチ、ペン、資料、台本…
ある物で手が止まった。
翔ちゃんも
はっ、とこっちを見る。
睡眠薬?
翔ちゃんの向かいの椅子に座る。
大「翔ちゃん…寝れないの?」
翔ちゃんは黙ったままだ。
大「ね、話してよ。リーダーだよ?たまには頼ってよ?」
翔ちゃんが口を開いた。
櫻「…寝れないんだ。
どんなに疲れてても。1日以上寝てなくても。ベッドに入ると目が冴えてて…ライト当てられてる気がして…寝てる間にみんないなくなっちゃうきがして…嫌われちゃう気がして…」
話してる内に涙声になってきた翔くんを、ぎゅっと抱きしめる。
櫻「智くん…俺…ど…どうすりゃいいんだろう…」
とうとう、嗚咽をあげて泣き出してしまった。
抱きしめている背中がこんなにも小さくなっていた事に驚いた。
…こんな小さな背中にどんなに大きな物を背負っていたんだろう…
忙しくて…働き詰めに働いて…帰っても寝れなくて…怖い思いと戦う日々。
辛くても、苦しくても…追いかけてくる仕事。CM、ニュース、ドラマ、映画、コンサートにバラエティー…
昨日まで、あんなに笑顔で「第2のリーダー」をやっていた翔ちゃんの辛さを、知った。
まだ泣いている翔ちゃんに話しかける。
大「翔ちゃん…辛かったね。辛いね。」
「でもね…無理しなくて良いんだよ?頑張りすぎなくて良いんだよ?せめて、俺らの前では…しんどい時はちゃんと言って欲しかった。俺らはね、翔ちゃんがちょっとぐらいサボったって、気抜いたって、翔ちゃんのこと、嫌いにならないよ、絶対。」
櫻「ご…めん。」
まだ涙が止まりそうにない翔ちゃんをいっそう強く抱きしめて、少しでも安心できるように背中をさすった。
泣き声がだんだん小さくなった。
ふと、顔を覗き込むと、翔ちゃんは、頬に涙の跡を残したまま、スヤスヤと寝ていた。
涙の跡をそっと人差し指でふきとつって、翔ちゃんの頭をなでる。
肩の重荷が外れて…辛さを吐き出せて…自分から寝れて良かった。
取材まで後30分。
ギリギリまでこのまま、寝かせてあげたいと思った。
櫻「智くん…ありがと。」
寝言が、聞こえた。