中編

□語られなかった世界
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ぽん


モコナの口から出て来た一行。

フ「モコナの口からの移動も随分慣れたねぇ。さーて次はどんな国…。」


ぐぎゅるるる〜ん


小狼とサクラのお腹が鳴った。

『お腹空きましたね。』

モ「あ!」

モコナが指差したのは、『寿司』とデカデカ書かれたお店。

モ「お寿司屋さんだー。侑子と食べたことある!ここは任せて!モコナが奢ったげる!」

‘この国にはサクラの羽根の気配もないし’

モコナが付け足す言葉に、アリシアはモコナの考えていることを悟った。

フ「『ひゅーひゅー』。モコナ太っ腹!」

小「でも…あの…。」

全員はお寿司屋さんの中に入った。



―――――



店「へい、特上お待ち!」

どーんと店主が出したのは、つやつやに光る10種類以上のお寿司達。

アリシアは目を輝かせた。

モ「さ!みんな食べてっ!遠慮はいらねーよ!」

フ「ナマ魚はいや〜。」

小「父さんと行った国で、似たようなのを食べたことはあるんですけど、あの…。」

サ「初めてです。」

黒「うちの国にもあった。」

『つやつやピカピカできれーい!美味しそう。』

どうやらファイは生魚が苦手なようだ。

サクラは初めて見るお寿司にドキドキしている。

モ「ガリガリガーリ、ピンクのガリー。」

フ「腐ってる匂いがするよー。酸っぱい匂いがするよぉ。」

小「あの〜この国のお金…。」

サ「美味しいです。」

黒「ん、んまい。」

『美味しー、幸せー。』

モコナは短い手で器用に箸を使ってガリを摘まんで歌っている。

ファイは体を震わせ、食べられずにいた。

小狼はお金を心配しながらも食欲に勝てず食べている。

サクラやアリシアはお寿司の美味しさにニコニコし、黒鋼も無表情ながらもお寿司の味を満喫していた。

そして全員が食べ終わる。

フ「モコナ、ご馳走様ー。」

店「じゃあお勘定を。」

小「この国のお金、持ってないんですけど…。」

店主がモコナにレシートを見せると…。

モ「みんなっ、早くモコナのお口に飛び込んで!!」

えっ!?と呆気にとられ、吸い込まれる一行。

モ「ご馳走様でした!」

モコナはぺこりと頭を下げると消えた。

店「食い逃げかよ!」



しかしその後、店主はカウンターに置かれた金貨を発見するのでした。
 

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