長編 -ツバサ RESERVoir CHRoNiCLE-

□プロローグT
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手と手を重ね合わせる少女と少年


顔をも寄せるが触れ合うことはできない


彼らはガラスの筒の中


間に挟まれた壁は行く手を塞ぐ


少年は歯を噛み締め


少女は涙をこぼす


どんなに願っても壁は消えることはない


どんなに叩いても壁は壊れることはない


それでも少年は必死に叩き


少女は泣きながらも少年を見つめる





不意に訪れた時





少女の背に羽根が生えた


少女は少しずつ浮いていく


少女は必死に手を伸ばすが手を握ることは叶わない


少年も必死に手を伸ばすが手を握ることは叶わない


少女が離れていく


もう姿を見ることが出来なくなるほど


遠くへ


遠くへ



「さくらー!!!」



だだその少年の声だけが辺りに響き渡った
 
 
 
 

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