長編 -ツバサ RESERVoir CHRoNiCLE-
□阪神共和国
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ここは小狼の夢の中。
小(サクラはおれの一番大事な人だ。これからもずっと、一番大事な人だ。だから。何があっても、何をしても、絶対に死なせない。例え、サクラがおれを忘れても、絶対に。)
小「サクラ!!」
モ「ぷう。みたいな。」
ぱち
小「サ…。」
目を開けると視界いっぱいに白い生き物。
驚くのは当然だろう。
モ「…ツっこんでくれない。」
しくしくとモコナは泣き倒れた。
小狼は??と浮かべている。
フ「あー、目覚めたみたいだねぇ。」
モコナを抱き上げ、小狼に笑いかけたファイ。
小狼は意識がはっきりしたのか、
小「サクラ!」
と叫びながらガバッと体を起こした。
サクラが側にいるのを確認すると、ぎゅっと抱き締める。
フ「一応拭いたんだけど。」
モ「モコナもふいたー!」
フ「寝ながらでもその子のこと、絶対離さなかったんだよ。君―えっと…。」
小「小狼です。」
側では、黒鋼が次元移動をするときのモコナを思い出し、アリシアはまだ眠っていた。
ここはどうやら部屋らしい。
畳が敷かれ、押し入れ、電気と必要最低限のものがあった。
モコナは体を拭いたことに‘えへー、ほめてー’と言っている。
フ「こっちは名前長いんだー。ファイでいいよー。」
ファイはへらっと笑いながら自己紹介をした。
フ「で、そっちの黒いのはなんて呼ぼうかー。」
黒「黒いのじゃねぇ!黒鋼だっ!」
ファイの言葉に怒鳴る黒鋼。
フ「くろがねねー。」
‘ほいほい、くろちゃんとかー?くろりんとかー?’とあだ名を考えるファイ。
モコナは何を考えたのか、ぽすと黒鋼の膝の上に乗り‘おいてめっ!何膝のってんだ!’と黒鋼に嫌がられていた。
小(体、氷みたいだ…!)
いつの間にかサクラの体温は下がり、小狼は焦った。
小(このままじゃ記憶のカケラを探す前に、サクラが…!)
といきなり。
ずぼっ
小「うわっ!!」
ファイが小狼のマントに手を突っ込み、体をごそごそさわさわといじりだした。
黒「なにしてんだ、てめぇ。」
黒鋼は冷や汗をかきながら、ファイに冷たい視線を送る。
フ「これ記憶のカケラだねぇ、その子の。」
黒鋼の視線を気にせずスッと出したのは、綺麗な柄のピンク色の羽根。
小「え!?」
フ「君にひっかかってたんだよ。ひとつだけ。」
小「あの時飛び散った羽根だ。」
羽根はフワっと浮きサクラの元へ行くと、胸から体内に取り込まれた。
小「これがサクラの記憶のカケラ。体が…暖かくなった。」
命の危険がなくなったことに、小狼はほっと肩をなでおろした。
フ「今の羽根がなかったら、ちょっと危なかったね。」
小「おれの服に偶然ひっかかったから…。」
フ「この世に偶然なんてない。」
「って、あの魔女さんが言ってたでしょー。だからね、この羽根も君がきっと無意識に捕まえたんだよ。その子を助けるために。」
ファイは優しげな笑みを浮かべ、小狼は複雑そうな顔でサクラを見つめた。
フ「なんてねー。良くわかんないんだけどねー。」
さっきの真剣な表情はどこへやら。
ファイはくにゃんと笑い、小狼と黒鋼は冷や汗を流した。
フ「けどこれからはどうやって探そうかねー。羽根。」
モ「モコナ分かる!」
‘はーい、はいはいっ’と大きく手を上げ注目を促すモコナ。
小「え?」
モ「今の羽根、すごく強い波動を出してる。だから近くなったら分かる。波動をキャッチしたら。」
「モコナこんな感じに、なる。」
黒「げっ!」
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