奇奇怪怪
□Interlude
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未練がましく絹糸のようにしとしとと降る雨。
雨に濡れた木々や草からは独特の匂いが立ち込める。
ベチャベチャ、
グチャグチャ、と音を鳴らして泥となった土を踏み歩くはいくつもの足。
それぞれの種類、それぞれの色の折畳み傘を差した4人は雨の中で見付けた建物に辿り着いた。
バサバサ、と。
傘の雨粒を払いながら1人の少年がぼやく。
拓篤「っとに、こんなとこにいるのかよ・・・」
朱里「でも引き返して、一通り道は見て回ったでしょ?」
楓「そのどこにも・・・正規のルートにあいつ等がいない、ってことは道を逸れてる証拠」
華澄「土砂降りの中、無暗に歩き回れば遭難しちゃう。それぐらいあの子達だって分かってるはず」
楓「となれば、」
華澄「ええ」
朱里「もう、いるのここぐらいしかないよね」
拓篤「それぐらいあのセンコー共でも考えただろ。ちゃんと中に入って探したはずだ」
朱里「ん〜・・・ここを見付けられなかったのかも」
拓篤「ガキの俺達に見付けられるもんが大人に見付けられねぇわけねぇだろ」
朱里「えー、分かんないよ」
華澄「そうね。子供と大人の視点は違うから、子供にしか見付けられないモノもあるわ」
拓篤「視点どうこうでこんなデケェもんを見落とすかよ・・・」
楓「雨が強くて見えなかったとか?」
朱里「まぁ細かいことは気にしない方向で」
華澄「フフッ、朱里らしいね」
拓篤「それで後になって後悔するパターンだろ、これ」
楓「パターンだな(苦笑」
それぞれが、それぞれの傘を畳む。
濡れたままのソレを鞄に入れるのが嫌だったのだろう。
「干しとこうか」という朱里の言葉に頷いて、屋根の下に並べて置き始めた。
楓「早く見付けて戻らないとな」
華澄「もれなく私達まで怒られちゃうわねぇ」
拓篤「俺達がいねぇのはもうバレてんだろ」
楓「ハハ・・・また新しい事件を起こしちゃったわけだ」
朱里「林間学校失踪事件、だね」
華澄「あらあら、それだと林間学校が失踪したことになっちゃうわ」
朱里「林間学校問題児失踪事件!」
拓篤「自分で問題児って言ってりゃ世話ねぇな・・・」
朱里「それは子供の悪戯か、神隠しか!?鬼の袖引きか!?」
楓「インペルダウンLevel5.5番地、だとっ・・・!?じゃあ皆、もれなく新人類(ニューカマー)に・・・・!?」
華澄「ニュー・・・鎌・・・・?そうれはどういう鎌なの?」
拓篤「(俺はツッコまねぇぞ・・・)」
朱里「我々4人の捜索隊は今、その謎に挑もうとしています!ではまずは隊員の紹介から!
隊員1.天然系漫画脳、楓!」
楓「どうした朱里、テンションホルモンでも打たれたのか」
朱里「隊員2.ほんわか系お嬢様、華澄!」
華澄「あらあら、朱里ったら。違法ドラッグにでも手を出したのかしら」
朱里「隊員3.捻くれ系一匹狼、拓篤!」
拓篤「(絶対ツッコまねぇぞ・・・)」
朱里「そして隊員4.はこのあたし!じゃじゃ馬系実況者、朱里!
この先に何が待ち受けているのか・・・!4人の捜索隊が目にするものは!?乞うご期た―――」
拓篤「時間もねぇんだ。さっさと行くぞ」
楓「うーい」
華澄「そうね」
朱里「Σちょっ、ちょっと待ってよ〜!あたしも行くー!」
建物の、廃校の中に入って行く3人の後を彼女は急いで追いかける。
かくして、
彼女達もまた、この長い永い悲しい物語に加わってしまった―――・・・
To be continued...