奇奇怪怪

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健矢「瑠璃ー、紗那−、悠香ー!どこだー?いるならいると言えー!いないならいないと言えー!」


和則「早く出てこないとツッコミ不足で健矢が発狂するぞー」


健矢「マジそれー」



などとバカなことを言い合っている彼等は今、家庭科室から奥に進んでいた。


家庭科室から少し離れた隣の部屋は物置として使われていたのか、色々なものが置かれていて人が、それも3人の子供が入り込めるような隙間はなかった。

この物置部屋の隣には何の部屋もない。突き止まりだ。


そこには1つの大きなショーケースが置いてあった。



慎司「これ、飾る場所おかしくない?こんなところじゃ誰の目にも留まらない」


くるみ「確かに。こういうのって職員室の近くとか昇降口の廊下だよね」


和則「なぁ、これ何が飾られてるんだ?」


健矢「んー・・・暗くてよく見えないな」


くるみ「懐中電灯は相変わらず?」


慎司「うん、点かない」


健矢「同じく」


和則「あ、じゃあ慎司、アレだ」


慎司「?」


和則「カメラのフラッシュとか」


慎司「あぁ、なるほどね」


健矢「カズにしては冴えてる!」


和則「自分でも思った(笑」


慎司「じゃ、やるよー。一瞬だからよく見ててよー」


健矢・和則「「うーい」」
くるみ「はいよー」



慎司はポラロイドカメラを構える。

いつ照らし出されてもいいように健矢達3人はショーケースの前にスタンバる。


「はい、チーズ」という慎司の掛け声と共にシャッターが切られた。

フラッシュに照らされたショーケース。そこに飾られていたモノを見て・・・











4人は絶句した。









くるみ「え・・・?え?今の、」


和則「ヤバイヤバイヤバイ。鳥肌がえぐい」


慎司「あれ本物?模造品じゃなくて?」


健矢「模造品だったとしてもあんなの飾ってる時点で普通じゃないだろ」


慎司「そう、だね・・・」


健矢「ヤバいぞ、この学校・・・」


慎司「・・・1度出た方がいいかもしれない」


くるみ「けど、瑠璃達を見付けなきゃ・・・!ダメだよ。こんな危ないところでバラバラになるのは・・・・!」


和則「、」


健矢「そうだな。早く皆と合流しないと、」


和則「・・・、」


和則「(やっぱり・・・ナニカ、おかしい。最初は2人だけかも、って思ってたけど・・・・コイツもか)」


慎司「カズはどう思う?」


和則「俺は・・・俺も、慎司に賛成だ。外に出た方がいい。だから、―――3人は先に出といてくれ」


健矢・くるみ・慎司「「「!!」」」


和則「ちょっと走って瑠璃達見付けてくるわ」







くるみ・健矢「「ダメ/だ!!」」






和則「、」


くるみ「1人になっちゃダメだよ!何が起こるか分からない!」


健矢「そうだ!先に行け、とか止めろ。1人で解決しようとすんな!」


慎司「・・・・・・和則、」


和則「ああ・・・。

分かった、分かった。1人で行くのは止める。けど、とりあえず・・・とりあえず昇降口まで戻ってみよう」


慎司「うん。もしかすると瑠璃達もいるかもしれない」


健矢「・・・そうだな。そうしよう。くるみもそれでいいな?」


くるみ「うん・・・」



頷き合い、元来た道を戻る。

途中、蹴破った引き戸から家庭科室の中を覗いたが、やはりそこに瑠璃達の姿はなかった。


先頭を歩く健矢とくるみ。

その2人に聞こえない声で和則は隣を歩く慎司に話しかけた。



和則「慎司、」


慎司「言わなくても分かってるよ。僕自身、違和感は感じてた」


和則「そっか・・・。じゃあ、頼むな」


慎司「そっちもね」













――――――
――――――――――
――――――――――――――












くるみ「瑠璃達は・・・いないね」



昇降口。

そこへ戻って来た4人は辺りを見回してはぐれた少女達を探していた。



和則「靴もあるから先に出たわけでもなさそうだな」


和則「(じゃあ一体どこに・・・?)」


慎司「・・・・・・」



彼は1人、昇降口のガラスドアに近付く。

入って来た時と同じように、そのドアを開けようとして―――



慎司「開かない」


和則「えっ、」


くるみ「ウソ、」


健矢「おい、慎司。ここでそんな冗談は、」


慎司「冗談でもボケでもないよ。本当に開かない。しかもこの様子じゃ、」



彼は持っていた懐中電灯をガラスドアに叩き付けた。

普通ならばガラスが割れ、辺りに飛び散っている。しかし、



慎司「ガラスや窓も割れない。家庭科室の窓を調べた時もやってみたけど・・・割れなかったよ」


和則「マジか・・・」


慎司「完全に閉じ込められたね」


健矢「閉じ込められたって誰に・・・」


慎司「さぁ?放送の声の人か、宿直室に現れたっていう不審者か・・・別のナニカか。僕にはさっぱりだよ」


和則「何なんだよ、ここ・・・!普通の廃校じゃなかったのか・・・・?」


慎司「この分じゃ、瑠璃達を見付けたところで何ともならない」


くるみ「・・・それでも、探さなきゃ」


健矢「ああ。危険って分かったからこそ、な」


和則「・・・どうする?3人を探しつつ、職員玄関とか探してみるか?」


慎司「職員玄関かぁ・・・近くに宿直室がありそうだね」


和則「あの不審者放送か・・・」


健矢「何があるか分からないから近付かない方がいい。瑠璃達だってあの放送を聞いてたんだ。変に近付いたりしないだろ」


くるみ「それじゃあそっちは最後にして、上から探してみよっか」


和則・健矢「「ああ」」
慎司「うん」



近くにある階段。

その奥には今よりも深い暗闇が広がっている。


懐中電灯なしでも今の4人は暗さに慣れてきていた。

だからこそ、ソレに気付けた。



慎司「・・・あれ?」


くるみ「?どうしたの?」


慎司「この時計・・・」



廊下にポツン、と置いてある柱時計。

それを見て慎司が眉を寄せる。


ナニカが違う。

そう感じるだけで何が、どこが違うのかが分からない。



慎司「(あ、そうだ。写真)」



そういえば、ここへ入って来た時に自分は辺りを手あたり次第撮影していた。

確かこの時計も撮っていたはずだ、とポラロイドカメラから現像され、しまっていた写真を見る。


今、目の前にある時計と写真に写っている時計とを見比べる。



慎司「!」



ハッキリとした違いがあった。



慎司「あり得ない・・・」


和則「え、何が?」


健矢「何か分かったのか?」


慎司「この時計・・・皆の目から見ても壊れてるよね?」


和則「うん?」


健矢「お前が立ち止まってからずっと見てるけど、動いてる感じはしないしな」


慎司「だよね。じゃあ・・・コレ、どういうこと?」



そう言って、彼は自身が撮った時計の写真を3人に見せる。

入って来た時の時刻は、1時17分。


そして今は―――



くるみ「え・・・」


健矢「は・・・」


和則「うーわ・・・こーいうの地味に怖ぇ」


慎司「今は・・・












5時42分を指してる。1分や2分ならともかく、4時間以上も経ってるんだ」













To be continued...
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