合わせ鏡

□◆孤独な旅路
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ノア「じゃあコレ、よろしくお願いしまーす」



僕はそう言って配達業を生業としてる人にアドリビトムへの依頼書(+お金)を渡した。

依頼内容は勿論、1週間前にアルミアの街で聞いた変な現象と、生物変化の報告。その影響を受けるかもしれない街を何とかしてください、っていう感じのことだよ。


漆黒の翼さん達から拝借した、元々は街の領主だったグロリア・デナーロさんのお金を依頼達成の報酬にして、僕からの依頼じゃなくて街からの依頼になるようにした。

ちゃんとそのことに気付いてくれるといいんだけど・・・無理、かなぁ?



ノア「(まぁ、いいや)」



結局は僕の自己満足だからね。


後のことは全部アドリビトムに任せて、僕は僕の目的を果たす旅を続けよう。



ノア「さて、と・・・」



鞄と2本の剣を担ぎなおして歩く。


ここはウリズン帝国にある1つの港町。

最初、僕は陸路で国境越えをするつもりだった。だけどウリズン帝国とガルバンゾ国の間で戦争が起こりそうになってる今、国境は緊張状態。とても越えられない。


陸路がダメなら海路しかない。ガルバンゾ国の首都に行くには陸路よりかなり遠回りになるけど、安全面はこっちの方が上だからね。

まぁ、その分・・・船のチケット代はかなり高かった。特等とか、1等とか・・・今の手持ちじゃ到底払えない。


だから僕が買ったのは、2等、2名の相部屋。ガルバンゾに着いてからの宿屋代とか食費を考えると、1人部屋のチケットを買う程の余裕はなかったんだ。



ノア「(またどこかで稼がないと・・・)」



これから先のことを考えてちょっとだけブルーになりながら、港に停まってる大きなフェリーに乗り込む。

(あ、勿論、乗り込む前に乗船チケットをクルーの人に見せたよ)


こういう船に乗るのは初めてだから若干、ほんの若干ワクワクしてる。

けど、船酔いとかしないかなっていう一抹の不安がある。



ノア「(酔い止め、買っとけばよかったかな・・・)」



でも、もうしょうがないか。出航まで後10分しかないし・・・諦めよう。

酔ったら酔ったで、その時はその時だ。



ノア「(ガルバンゾまでは5日かかるから・・・それまではのんびり出来るね)」



働く必要も、魔物を倒す必要もない。

この世界に来てからの本当の休日。もうこんな日、(この世界では)2度と来ないかもしれないんだからちゃんと満喫しなきゃ。












・・・って、考えてたんだけどなぁ。





部屋に荷物を置きに行った僕は、ルームメイトを見て内心で顔を引き攣らせた。



黒い髪に細い体、青色の服に身を包んでピンクのマントをつけてる人。

どうして、



ノア「僕、ミズチっていいます。ご迷惑をおかけすることもあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします」



本当にどうして・・・



ノア「あの・・・お名前は?」


「・・・・・リオンだ」



どうして君がここにいる!!

まだウッドロウから要請を受けてないの?だからこんなに自由にしてるの?


Σハッ・・・!

アイスキャンディーか!アイスキャンディーを求めて大陸横断か!



ノア「(まさかこんなところでテイルズキャラに会うなんて・・・!)」



っていうか実物凄いよ!綺麗過ぎるよ!!あのラズベリー野郎とは大違いだよ!!


心の中でそんなことを叫びまくりながら荷物を置いて、僕は逃げるように部屋を出た。











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ノア「ハァ〜・・・」



デッキに出た僕は肩を落としてため息一つ。


・・・うん、アレだよね。

チケットを買う時、指名手配されてるからこのまま男で通そうとか考えて性別詐称した僕が悪い。

別に女だってバレないし大丈夫だろ〜、とか甘くて軽い考えをしてた僕が全面的に悪い!



ノア「(寝る時以外はなるべく部屋の外にいよう)」



頭から布団を被ったら多分バレないはず!


そうさ、大丈夫さ!

ルームメイトがリオンだからって僕の生活が変わるわけじゃない。あの人に、あの人達のテイルズに僕(異世界人)が関わる必要もない。


5日間だけのただのルームメイト。それ以上になろうなんて思わない。

だから、当初の目的通り休日を満喫しよう。


ガッツポーズをしてそう意気込んだ時、出航を告げる汽笛が鳴り響いた。






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