合わせ鏡

□◇赤い煙
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ルイ「2人の友達?」



エステル達と星晶(ホスチア)採掘跡地の調査に行って、ユージーンさんとティトレイから話を聞いた後、私はクレスとミントの所に来てた。

調査に行く前に、協力してほしいことが出来るかもしれない、って話してたから、それがどういうことなのか詳しく聞きに来たんだ。


2人から話を聞くと、この船に向かっているはずの友達が到着予定日を過ぎても来なくて、連絡も何もないんだって。

だから、最後に連絡のあったコンフェイト大森林まで一緒に探しに行ってくれないか、って頼まれたの。



ルイ「さっき行った時はそれっぽい人は見かけなかったけど・・・。行き違いになったのかな?」


クレス「友人が道に迷ったとは思えなくて・・・。もしかしたら道中、何かあったのかもしれない」


ミント「ええ。もし、そうでしたら一刻を争います。・・・急ぎましょう」


クレス「そうだね」


ルイ「うん!」



アンジュさんに行くことを告げて、私達はコンフェイト大森林にやって来た。(私だけ本日2度目)

2人の友達探しに専念したいのに魔物が襲ってくるおかげで中々進まない。


何匹目か分からない魔物を倒した時、同じように魔物を倒し終えたクレスのポケットから何かが落ちた。



ルイ「クレス、何か落ちたよ」


クレス「え?ああ、本当だ。ありがとう、ルイ」



足元に落ちてるソレを私は拾い上げる。

これは・・・人形?


クレスを模して作られたのかな?真ん丸い目が可愛い・・・



クレス「ああ、これかい?友人の妹さんが、僕にってわざわざ作ってくれた人形なんだ。お守りみたいなものだよ」


ミント「そのお人形・・・懐かしいですね。確かあの時、クレスさんにしかプレゼントを用意していないのかって機嫌を悪くされてしまって、あの後が大変でしたね」


クレス「そうそう。困ったアミィちゃんが、結局代わりにアップルグミをあげたんだ。

ああ見えて、結構やきもち焼きなところがあるんだよな。僕にも妹がいたら、同じ事を思ったのかなぁ」


ミント「ふふ、クレスさんたら」



2人共、楽しそう・・・。

共通の思い出があるっていいなぁ・・・。


私にもそんな思い出あったのかな?同じ思い出を共有する家族とか、友達とか・・・いたのかな?


黙って考え込んでいたら、2人がバツの悪そうな顔をした。



クレス「あ・・・ごめん。僕達にしか分からない話をしてしまって」


ルイ「ううん、大丈夫」


ミント「今お話ししていたお兄さんというのがこれから私達が迎えに行く友人の事なんです」


クレス「妹思いのいい奴なんだよ」


ルイ「うん、今の話で何となくそんな気がした」


クレス「それに、弓の名手なんだ。きっと、アドリビトムの戦力として活躍してくれると思う」


ミント「私もそう思います」


ルイ「私も早く会ってみたいなぁ」


ミント「クレスさん、ルイさん、今度は向こうの方も探してみましょう」


クレス「うん。そうだね。行ってみよう」



大きな木の根や幹を伝って奥へ奥へと進んで、やっと開けた空間に出る。

ここは採取ポイントだから、ついでに採取していこうかな・・・。


そんなことを考えてたら、叢の向こうに水色の髪をした男の人が立ってるのが見えた。

背中に背負ってるのは・・・弓矢?もしかして、



ルイ「クレス、ミント、あの人がその友達?」


クレス「え?―――あ、チェスター!」



どうやら正解だったみたい。

水色の髪の人の姿を捉えたクレスとミントはパッ、と顔を明るくさせてその人の許へ行く。だから私もその後ろに続いた。



クレス「無事だったんだな!」


チェスター「クレスか?それに、ミントも。もしかして、探しに来てくれたのか?」


ミント「そうですよ。到着予定日を過ぎても、連絡がありませんでしたから・・・心配で」


チェスター「悪い、悪い、ちょっと厄介な魔物に出くわしてさ。おかげで手間取っちまった」


クレス「やっぱり・・・。そんな事なんじゃないかと思ったよ」


チェスター「俺の気のせいかもしれないけどあいつ等、最近凶暴になってないか?妙に手強かったっていうか・・・。

特にあのオタオタのデカさと強さは半端なかったぜ・・・」


ルイ「(え、大きいオタオタ・・・?)」



それって・・・デカオタのこと?


この人が戦ってたのって・・・私達が相手をしたあのデカオタじゃない、よね?



ミント「そうですね・・・。アドリビトムにも魔物による被害の報告や討伐の依頼が増えている様です。チェスターさんにお怪我がないようで何よりでした」


クレス「そうだね。本当に無事で良かったよ。でも、魔物に足止めされているなら、初めからそう言ってくれればもっと早く迎えに来たのに。なあ、ルイ?」


ルイ「う、うん・・・」


チェスター「おいおい、俺の腕を疑うのか?そりゃないぜ。まぁ・・・心配かけたのは、悪かったけどよ」


ルイ「あ、あの・・・つかぬ事をお聞きしますが、あなたが戦ったその大きいオタオタ?は、出くわした時にケガとかしてませんでしたか?」


チェスター「ケガ?・・・あぁ、そういえば剣でやられたような切り傷がいっぱいあったな。後は・・・・殴られた痕みたいなのも」





ルイ「すみませんでしたっ!!






あなたが船に来るのが遅れた原因は全面的に私(とリッドとフィリアとエステル)にあります!

っていうことを説明したら、3人は笑って許してくれた。


うぅっ・・・あの時、ちゃんとトドメを刺しておけばよかった。



ルイ「本当にごめんなさい・・・」


チェスター「いいってことよ。・・・ええと、ルイ?だったよな。

俺はチェスター・バークライト。そんなわけで、しばらく世話になるぜ。よろしくな」



差し出された手。

申し訳なさでいっぱいだったけど、私は何とかその手を取って握手をかわす。



ルイ「こちらこそよろしく」







こうして、アドリビトムに新しい仲間、チェスターが加わることになったんだ。

猟師仲間ってことでリッドとすぐに意気投合してた。


因みにデカオタの件は、リッド達3人には伏せておくことにしました。勿論、ファラにも。言わぬが花ってね。


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