秘密を守れますか?U

□山雨欲来風満楼
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瑠璃「ありがとうございました。またのご依頼、お待ちしております!」



笑顔でそう言って、彼女は今回の依頼主達に向かって深々と頭を下げた。

観光地(短冊街)までの護衛。


それが彼女が今回受けていた依頼だ。



任務を終え、依頼主達と別れた瑠璃は街の中を歩く。



瑠璃「(せっかくこんな遠いところまで来たんだし、ちょっとぐらい観光してもいいよね)」



里にいる海斗やテマリ達へのお土産は何にしよう、などと考えながらウインドウショッピングを楽しむことにした。


















所同じく、短冊街のパチンコ屋。

そこから一緒に出て来た伝説の三忍にして伝説のカモ、綱手の顔を見て、付き人のシズネは不思議そうに尋ねる。



シズネ「どうしたんです?綱手様がこんなに出すなんて奇跡に近いのに・・・。浮かない顔して・・・・」


綱手「この街・・・早く回ってさっさと出るわよ」


綱手「(嫌な予感がするわ・・・)」


シズネ「え〜、だけどここ観光地ですよ。もっとゆっくりお城とか・・・」


綱手「だったらとっとと見て出発するわよ!」












   ◇  ◇  ◇












短冊街へ続く山道。

そこを歩くは2人の人間。



カブト「綱手様の事なら私も少々知っていますよ。何せ・・・私も医療班の端くれでしたから」


大蛇丸「・・・・・フン・・・」


カブト「今じゃ常識とされている・・・4人1組(フォーマンセル)の小隊の中に医療スペシャリストを1人加えるスタイルを考案した最初の方だと・・・・。

これは大変画期的なことです・・・。応急医療技術を持たないただの戦闘小隊が戦場でどうなるか・・・・それは火を見るより明らか」


大蛇丸「フン・・・数多の戦争経験がそれらを準備し得るだけの知識となった・・・・。・・・幾人もの犠牲がそのスタイルを作っただけよ」


カブト「・・・・・・」


大蛇丸「人は、何かを失って初めてその物事の本質に気付く。そして医療スペシャリストと呼ばれた伝説の三忍の1人をこの世に作り上げたのは・・・・・―――その犠牲よ・・・」












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――――――――――――――












ナルト「ハァ・・・ハァ・・・・うっ・・・くっ・・・・・いってェ・・・」



第二段階の修業、風船割りに彼は苦戦していた。

痛む手と腕。削られていく体力に立っていられなくなり、彼は地面に倒れ込む。



ナルト「(・・・もう限界だってば・・・・。痛くてチャクラ練ってる場合じゃねーってば。ちょい休憩だ・・・)」



仰向けに寝転がると額につけていた額当てがズル、と落ちた。

穏やかなそよ風にさらわれた木の葉が舞い踊る。その1枚がナルトの額の上に落ちてきた。



ナルト「!」



手で触れ、見つめる。

彼は忍者になる前の、アカデミーにいた頃のことを思い出していた。


授業中にキバと赤丸と教室を抜け出した記憶。

机の上に広げて立てた教科書の後ろでチョウジと一緒に早弁をした記憶。

授業中、シカマルと揃って居眠りをした記憶。


そして、担任であるイルカに4人(+1匹)揃って叱られる記憶―――。




イルカ「お前等にはいつも集中力が全くない!!そんなんでは立派な忍者になどなれはしないぞ!」


キバ「机でジッとなんてしてられっかよ、なぁ、赤丸!」


赤丸「キャン!!」


ナルト「先生、説教なら短めにね・・・」


シカマル「ふわぁ・・・」


イルカ「(こいつ等は・・・!)」


イルカ「これからお前等に集中力を身につけるための居残り授業を行う!」


ナルト達「「「え〜〜〜!!」」」



嫌そうに叫ぶ彼等などお構いなし。

イルカは4人の額の上に木の葉を1枚乗せていく。



ナルト「何だコレ?」


イルカ「お前等が今からやるのは、かつて木の葉の先人達が毎日やっていた集中法だ」


ナルト「?」


イルカ「頭の上の木の葉に全エネルギーを集中させ、チャクラを練り上げる修業!

木の葉の一点に集中することで、他に気が散らないようにする古くからの知恵のようなものだよ」


ナルト「ふ〜ん」


イルカ「集中力を磨いた者こそ立派な忍者!それがこの額当ての木の葉マークの由来だ」


ナルト「へへ〜ん!そんなのカンケーないってばよ!立派な忍者ってのはとにかく強い奴のことだってばよ!」


キバ「あ!言えてる!」


イルカ「ハ〜・・・(ガクッ」





ナルト「・・・・・・」



イルカの言葉を思い出していた彼は、自来也にコツだ、と右の掌に描かれた渦のマークを見る。



ナルト「コレも・・・同じだ・・・・。

ハァ〜、俺ってばもっとちゃんとイルカ先生の言うこと聞いときゃ良かった・・・・。バカだ・・・俺・・・・」



むくり、と起き上る。



ナルト「・・・って、反省ばっかしても始まんねェ!」



左の親指に唾をつけ、ナルトは右の掌の渦のインクを伸ばし始める。

完成したのは額当てと同じ木の葉のマーク。



ナルト「よーしィ!俺ってばやってやるってばよ!!」


ナルト「(集中、集中・・・集中―――!!)」



目を閉じて。

左手にゴムボールを掴んで立ち上がる。



ナルト「(ぐぐっ・・・)」



ゴムボールに右手を翳し、掌の木の葉マークに意識を集中させる。

木の葉のマークを中心にチャクラが回転、加速するイメージが湧いて来た。



ナルト「(今だあッ!!)」


ナルト「オオオオオオオォォォォオオオオオ!!!」



何度もゴムボールに右手をあてがいながらチャクラを爆発させる。

すると、チャクラによって生まれた風の渦がゴムボールを裂き、地面を荒く削っていった。



ナルト「うわぁ!!」



その風の衝撃波に彼は吹き飛ばされてしまう。

しかし、そこでいつの間にか洋一と共にやって来ていた自来也が吹き飛んでくる彼の背中を受け止めた。



ナルト「うっ・・・割れたぜ・・・・」


自来也「フン、第二段階どうやら終了だの」


洋一「やったな、ナルト!」


ナルト「へへ・・・」


自来也「・・・・・・」


自来也「(何て奴だ・・・。掌が焼け付くほどチャクラを高密度に・・・・。コイツには全く・・・驚かされる)」


ナルト「うう・・・。早く・・・・ハァ、ハァ・・・第三段階の・・・・」


自来也「それはひとまず後だ・・・。これから綱手に会いに行く。第三段階はその途中で説明する」






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