秘密を守れますか?U

□悲劇の兄弟
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「いでっ・・・!」



夕暮れ時。


空地の壁にボールを当てて、その小学生ぐらいの少年は1人でサッカーの練習をしていた。

石をチョーク代わりにして描いたサッカーゴール。


そこに弾き返ってきたボールを入れようとして、大きく空振りをしてすっ転んだ。



「くっそー!またダメだった・・・」



起き上り、泥を払ってぶつくさと呟く。

バウンドして、コロコロ転がっていくボールを追いかけていると、遠くで誰かが自分を呼ぶ声が聞こえてきた。



「おーい、」



「あ、兄ちゃん!」




紺色の髪に少しタレた目をした中学生ぐらいの少年がビニール袋片手に手を振っていた。



「たい焼き買ってきたんだけど食うかー?」



「!食う!(目キラキラ」



ボールを拾って、彼は紺色の少年の許へ駆けて行く。



「餡子とカスタード、どっちがいい?」


「え、俺が選んでいいの!?」


「ああ」


「やった!じゃあカスタード!」



ほら、と手渡されたたい焼き。

礼を言ってから彼は嬉しそうにソレを頬張った。



「んまー!」


「そうか。それは良かった」


「・・・兄ちゃんはさぁ(モグモグ」


「?」


「、(ゴックン

何で俺にここまでしてくれるんだ?」



以前も望みを叶える魔法の言葉を教えてもらった。

ジュースやアイスを奢ってもらったことなんてしょっちゅうだ。


してもらうばかりで自分は何も返せていない。

ここまで良くしてもらえる理由が分からない。



「何で、か・・・何でだろうなぁ。

・・・まぁ、多分、1番の理由は、お前が俺の知り合いに凄くよく似てるからだろうな」


「知り合い?親友とか、そーいうの?」


「いや・・・言うなら、そうだな・・・・










―――家族だよ」












   ◇  ◇  ◇












洋一「・・・、」



演習場の地面の上で俺は目を覚ました。

寝起きで頭がボーッとする。体が怠い。



洋一「(俺、何してたっけ?)」



青い空を見て考える。

あぁ・・・そうか。俺、修業して疲れてぶっ倒れたのか・・・・。道理で体がだる重いわけだ。


大きく伸びをして起き上る。



洋一「また・・・〈兄ちゃん〉か・・・・」



中忍試験の予選で思い出した人。

今までずっと忘れてたのに・・・何で今になってこんなに思い出すんだろう?



洋一「(あ・・・なんか無性にたい焼き食いてぇ)」



里に売ってるかな?

カスタードのたい焼きはさすがにねぇかもな。


服についた汚れを払いながら立ち上がったら腹が鳴った。



洋一「(そーいやもう昼か?いや、寝てたから結構過ぎてるかも・・・)」



とりあえず何かメシ食いに行こう。たい焼きは・・・デザートだな。



洋一「うしっ!決まり!」



演習場を出て、俺は飲食店に向かう。

何食おうかな〜・・・。



洋一「(最近ラーメン食ってねぇからラーメンにするか)」



っとなりゃ、一楽だな!

あそこのラーメン旨いんだ。











洋一「おっちゃん、味噌チャーシュー麺大盛1つ!」



屋台の暖簾をくぐって注文。

そしたらおっちゃんが「あいよ!」って応じてくれる。


カウンターの席に座って待ってたら、スープの匂いでまた腹が鳴った。



「へい、お待ち!」


洋一「いっただきまーす!」



両手を合わせてそう言って、ちょっと遅い昼飯を食う。

レンゲでスープを飲んで次に麺へ。


一楽のラーメンやっぱ旨ぇ〜!



洋一「(これ食ったらまた修業再開すっか)」



そのままチャーシューを口に入れようとしたら、屋台の前に誰かが来た。

振り返ったら丁度そいつが暖簾を潜ってくるところだった。


また珍しいな。



洋一「サスケ、お前もラーメン食いに来たのか?(モグモグ」


サスケ「!洋一か・・・。お前に用はない」


洋一「え、唐突に酷ぇ」


サスケ「オッサン!ナルトが昼、ここに来たはずだ!それから何処に行ったか分かるか!?」


「ああ、ナルトねェ。えっと、確か・・・自来也さんが来て、」


洋一「え!?」



自来也が、ナルトの許に来た?

それって原作の・・・。ってことは、カカシはもうイタチにやられたってことか・・・・!?



「一緒にラーメン食って・・・どっか行くって言ってたな・・・・。えっと・・・里から少し離れた歓楽街のある宿場町に行くとか何とか・・・・。

・・・で、自来也さんと連れ立って一緒に出たよ」


サスケ「自来也!?」


「天才忍者・三忍の自来也だよ・・・。まぁ、見た目はただの白髪のデカイオッサンだけどね」



って聞くが否やサスケが飛び出してく。

俺は急いで残ってた麺とスープを飲みほした。



洋一「ごっそさん!おっちゃん、これ代金!釣りは取っといてくれ」


「え、おい」


洋一「待てよ、サスケ!俺も行く!」



今始まってんのが原作のあの話だとしたら・・・俺はそれを見ておく必要がある。

三代目や風影が死ななかった未来(みらい)が、どういう展開になるのか・・・見届けなきゃいけねぇ。



洋一「サスケ!」


サスケ「何でついてくる!?」


洋一「だってお前、自来也の顔知らねぇだろ?何でナルトを探してんのかは知らねぇけど(ウソ

いつもクールなお前がそこまで焦る問題なんだろ?だったらついてくよ」


サスケ「チッ・・・。俺の邪魔だけはするな」


洋一「へいへい」







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