DEATH GAME

□睥睨する狂気
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― Olive 刹那の記憶・逸 ―







世界を守護する役目。





そんな目的を持って生まれてきた救世主様は、世界を救う力を持った救世主様は、きっと誰にでも手を差し伸べられる人物なのだろう。



手を差し伸べ、救ってしまう人物なのだろう。





それは、それだけの力を持っていて、その力をどういう風に、何の為に使うものなのかを知っており、また、その力は広く世間に認められているからだ。





だから魔王のように恐れられることはない。


だから道を間違えることもない。




多くの人々によって築き上げられた救世主はかくあるべきといった正しいレール。


その上を歩くのは窮屈ではあるが、安定した成功の道のりを進んでいる、進めるという安心感を与える。






広い世界なようで、狭い世界に閉じ込められてしまった救世主様。



その救世主様の善行はきっと世界の為にはなる。しかし、世界の中にいるたった1人の為にはならない。









だから。









「あぁ・・・!返して下さい・・・・!










―――私の子を返して下さいっ!!」










世界の片隅で嘆く、たった1人の涙を止めることは出来ない。











「何でだよ・・・何でこんなことになってるんだよ!!」











世界の片隅で絶望する、たった1人の力になることも出来ない。









誰にでも手を差し伸べられることが出来たとしても。


窮屈な狭い世界に閉じ込められてしまった救世主様には、自分の世界の外側の世界までは救えない。






多くの人々によって、その視野を狭められてしまったから。



多くの人々によって、その視界を遮られてしまったから。








「「誰でもいいから・・・

      /誰でもいい・・・」」








「あの子を助けて下さい!!」





「ウソだと言ってくれよっ・・・!」








救いの手を差し伸べられなかった者はどうするのか。どうなるのか。



結局、今回の話はそこに帰結する。




舞台は既に第二幕へ―――







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