秘密を守れますか?U
□遠過ぎる背
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希「(俺達が・・・〈神の使い〉に選ばれた本当の理由は、一体・・・・)」
俺が知ると壊れるぐらいのとんでもない真実。
何だ・・・?
希「(どんなことで俺は壊れる?)」
自分で、自分が壊れるようなことを想像してみる。
1番想像したくなかったのは、想像するだけで苦しいのはやっぱり・・・母さんやじいちゃん、洋一達が姉ちゃんみたいに殺されるところだ。
実際、姉ちゃんの死がきっかけで俺は壊れた。空っぽになった。
今思い出すだけで、胸が締め付けられるように痛くて呼吸し辛くなる。
希「俺が・・・壊れたから・・・・選ばれた、ってわけじゃ・・・ない、よな?」
少なくとも、紗那や瑠璃達は壊れてるようなところはないし・・・。
壊れてるから、壊れたから〈神の使い〉に選ばれた・・・っていう説はまずないと思う。
希「(そもそも、〈神の使い〉っていうのは何だ・・・?)」
狂わされそうになってる世界を神の代わりに救済する者達。
神が、ある世界の住人の存在を一時的に消して、違う世界で存在出来るようにした者達。
だから今俺達の存在も、元の世界では消えてる。
消えて、この世界で新たに存在してる。
それは俺達不明(アンノウン)がいることでこの世界を狂わせないため。
神様「壊された世界は俺の力でも治すことは出来ない」
そう・・・壊されたらそれで最後。
REBORN!の世界も〈参加者〉や神楽崎達〈神の使い〉が過去にやり合ったことで狂いが生じた。
だけど、あの時は神楽崎達を連れ戻すことで何とかなった。未来が、〈参加者〉の自分に成り代わって自分ごと、〈参加者〉の未来の存在を消し去った。
だから救えた。だから元通りに戻すことが出来た。
世界を狂わせるのはその世界の住人じゃなくて〈参加者〉や俺達のような異世界人。
その世界の住人達はいくら自分達の世界を狂わせられても、壊されても気付かない。
狂い、壊された世界の住人は、誰一人として元の自分達の世界を覚えていないからだ。
希「(だから・・・)」
未来「間違いに気付いてねぇところが間違ってる」
未来「気付くことがなかったから、多分今日までこの世界の連中は生きてこれたんだよ。勿論、お前等もな」
未来「気付いちまえばもぅまともに生きることなんて出来ねぇ」
だから未来はあぁ言ってた。
でも、何か引っ掛かるんだよな・・・あの言葉。
希「(まともに生きられない、って・・・どういう意味だ?)」
希「メリット・・・」
そんなことも言ってた気がする。
俺が、狂った(その時は狂ってるなんて思ってなかったけど)REBORN!の世界を壊してどうなるんだ。お前に何かメリットがあるのか、って聞いた時、あいつは・・・
未来「勿論、あるよ。
同じよーな人間が生まれなくなる、っていうメリットがな」
それはつまり、狂った世界を壊して元に戻せばって意味だったんだろう。
元の世界に戻れば、同じような人間が生まれなくなる。
希「(同じような人間・・・?誰とだ?)」
自分と、だったら・・・どうなる?
未来みたいな考えを持つ人間?
未来みたいに色々背負い込む人間?
それとも、
未来みたいな・・・俺達みたいな〈神の使い〉?
希「!!」
ソレを思い浮かべた時、何故かカチッ、ってパズルのピースか何かが嵌るような幻聴が聞こえた気がした。
希「うっ・・・」
そこから導き出される〈真実〉を考えたら、気持ち悪くなって吐きそうになった。
胃液が喉にせり上がってきて、口と首を押さえつける。
希「(ウソだろ・・・?だって、そんな―――)」
希「〜〜〜っ」
〈神の使い〉が、狂わされた世界出身者なんて・・・。
俺達の世界が、狂わされてたなんて・・・。
あの姉ちゃんの事件に、
〈参加者〉が関わってたかもしれないなんて・・・!
希「(誰でもいいから否定してくれよ・・・!)」
希「・・・っ、くぅっ・・・・」
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