番外編
□癒愛様リク
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希「帰りたい・・・」
紗那「ギブアップが早過ぎるよ、希君」
場所は木の葉のアカデミー(忍者学校)の書庫室。
古い教科書やたくさんの巻物、資料、本などが棚に並べられている部屋。
何故、2人がこんなところにいるのかというと・・・
紗那「ここの整理をちゃんと終わらせないと、今回の任務は終わらないんだから・・・頑張ろう?」
希「全部・・・焼き払えば、綺麗に・・・・なると思う」
紗那「その場合、100%の確率でカカシ先生や火影様達に怒られると思うけどね」
希「チッ・・・」
紗那「洋一君達の方がしんどい仕事してるんだから・・・
まだ楽な仕事を任せられてる私達は文句言えないよ〜」
体力のある洋一、ナルト、サスケの3人はアカデミーの窓拭き(内と外両方)+全教室の掃除、という苦行を任せられ、
サクラはカカシと野外授業を行うイルカのサポート(という名の学生達のお守(も)り)、
そして残った2人がこの書庫室の整理。
それが今回のDランク任務の主な内容だった。
希「俺は・・・もっと、もっと、楽な任務が・・・・いい」
紗那「早く終わらせたらその分休めるんじゃないかな〜?」
希「!なるほど・・・。じゃあ・・・・頑張る。休む為に」
紗那「気合いの入れ方違うくない?」
さっさとやって、さっさと休むぞー・・・という風に、
机の上に置かれた巻物を抱えていく希を苦笑して見ながら、紗那も本を数冊手に取る。
本の背表紙に貼られたシールの漢数字を見て、同じ番号の本棚に返す、という単純な作業だ。
紗那「えっと・・・」
紗那「(これは参の153だから・・・あっ、ここだ)」
1冊分空いた本と本のスペースに持っていた本を入れ、また次の本棚へ向かう。
そしてまた本を入れる。
本の順番が乱れている箇所を発見したらそれも直す。
それを何度か繰り返した時だった。
希の声「Σうわっ・・・!?」
焦ったような、驚いたような彼の声。
同時に、ドサドサッ!と何かが落ちる音が聞こえてきた。
紗那「希君?」
小首を傾げ、とりあえず音が聞こえた方へ向かう。
それは壱の本棚の前。
そこで彼女が見たものは・・・
紗那「(Σ希君が本の下敷きにーーー!?)」
数十冊の本の雪崩にあったのか、希は本の中に埋もれていた。
紗那「だ、大丈夫!?」
彼の上に乗っている本を退け、希を救出。
頭や体に本の打撃を受けたのか彼は痛そうに手で擦る。
それプラス、落ちてきた本にたくさん埃がのっていたのか、たくさんのソレを頭から被り、軽く咽ていた。
紗那「ちょっと待って。今払うから」
ハンカチを出し、彼女は彼の頭にのっている埃を払っていく。
身体的にも、精神的にもダメージを受けた希は言う。
希「これは・・・あれ、だな」
紗那「?」
希「いつも、だらけてる・・・俺が、気合い入れるから・・・・らしくないこと、するなって・・・天罰が・・・・」
紗那「それは絶対ないと思うよ」
希「じゃあ・・・頑張らなくていい、っていう・・・・天の啓示」
紗那「それも絶対ないね」
希「俺が・・・頑張れば、頑張るだけ・・・・仕事が、増えてる、気がする・・・」
紗那「そんなこと―――」
そんなことない、と言いかけて彼女は周りに散乱している本+埃を見る。
どちらも先程の下敷き事件で床に落ちたモノ。
紗那は若干笑顔を引き攣らせ、否定の言葉を肯定の言葉に変える。
紗那「それはまぁ・・・そうだけど、」
希「ごめん・・・。俺が、海斗だったら・・・・こんなミス、しないのに・・・」
紗那「仕方ないよ。これから!これからこの失敗をチャラにするぐらい頑張れば大丈夫だから!」
希「ん。次は・・・気を付ける」
紗那「うん。私、箒とちりとり取ってくるね〜」
希「あぁ」
彼女がその2つを取りに行っている間、希は自分が落とした本を本棚に片付けていく。
そして、戻って来た紗那と一緒に床を掃除して、再び元の仕事に取り掛かった。
―――数分後・・・
紗那「うぅっ・・・届かない」
希「?どう、した・・・?」
紗那「この教科書をあの1番上に並べなきゃいけないんだけど・・・届かなくて」
希「あの高さは・・・俺も、届かないな・・・・」
紗那「だよね?やっぱり椅子を使った方が―――」
希「、」
本棚の1番上の段をボーッと眺めていた希は、それを聞いて何を思ったのか・・・
ガシッ、
紗那「へ・・・ちょっ、希君////!?」
彼女の腰を掴み、そのまま持ち上げようとした。
のだが、
紗那「止めて、止めて!腕、凄くプルプルしてる!椅子使うから無理しなくていいよ!」
紗那「(体重がバレる〜!!希君と同じくらいだってバレる〜!!)」
希「くっ・・・悪い」
紗那「あ、いや、気持ちはちゃんと伝わったよ。ありがとう!」
希「俺に・・・洋一みたいな、筋力があれば・・・・余裕で、持ち上げられるんだけど・・・」
紗那「希君に力仕事は求めてないからそんなに落ち込まないでっ(汗」
希「サラリと・・・酷い」
紗那「私、椅子取ってくるから、希君はそっちの段ボールを棚に―――」
言って、彼女は気付く。
大きな巻物が何本も入った段ボールを希が持ち上げようとすれば間違いなく・・・
間違いなく、彼は腰を痛める。
紗那「ううん、あの段ボールは一緒に運ぼっか」
希「?うん?」
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