番外編

□秘密の大晦日
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海斗「そういえば、」


希・紗那「「?」」



1月28日、日曜日、午前9時50分・・・。


こたつに入ってヌクヌクしながら、俺がミカンを、向かい側に座る谷垣がアイスを食べてた時、

ソファーに座って本を読んでた海斗が唐突にきり出した。



海斗「大掃除は2人で済ませてくれたんですか?」









・・・・・・。









希「俺は・・・寝る(汗」


紗那「わ、わぁー、アイスでお腹が冷えちゃった。私も温まって眠ろうっと(汗」


海斗「してないんですね



ミカンとアイスを残して、こたつの中に潜り込もうとしていた俺達は海斗の言葉に小さく、弱々しく頷く。

海斗達4人がイタリアに行ってる間にしたことといえば、こたつを出したことぐらいだ。


大掃除なんて・・・頭の中に1度だって浮かんでこなかった。

ハッキリ言うと、忘れてたんだ。


だけどそれを言うと、海斗の目が今よりもっと冷たくて鋭くなるから言わない。



海斗「言い訳ぐらいは聞いてあげましょう」


紗那「ふ、2人だと出来ないと思ったからです」


海斗「1日で終わらせようとしないで、何日かかけて掃除すればよかったじゃないですか」


紗那「うっ・・・(汗」


希「俺達・・・掃除、担当じゃ・・・・ない、から」



掃除の担当は洋一と風花って、この世界に来た時決めたからな。


我ながら上手い言い訳だと思ったんだけど・・・



海斗「そんなこと言ったら、僕は夕飯作りと食器洗い、食器整理の担当じゃないんだけど?」


希「うっ・・・(汗」


紗那「うぅっ・・・(汗」


海斗「担当が違うと言うなら、今日から僕は夕飯作りも食器関連のことも一切しませんから」





すぐに反撃を喰らった。





希・紗那「「ご、ごめんなさい・・・」」


海斗「今から全員で大掃除を始めます。文句なんて・・・勿論ないですよね?」


希・紗那「「はい、ありません」」



黒い笑顔を浮かべて言ってくる海斗に、ピシッ、と正座をして了承。


この家1番の権力者には逆らえない・・・。



我が家の権力者兼大黒柱はすぐに皆を徴集した。



洋一「え、大掃除?」


瑠璃「やってなかったの、紗那と如月?」


希・紗那「「ごめんなさい」」


洋一「まぁ、2人だったからしょうがねぇよな」


紗那「洋一君・・・!」


希「さすが・・・」


海斗「甘やかさなくていいよ、洋一。この2人はただ毎日を怠惰に過ごしてただけだから」


希「手厳しい・・・」


紗那「否定出来ないだけに悲しいよ〜・・・(泣」


洋一「アハハ・・・(苦笑」


瑠璃「ところで未来は?何であいついないの?」


海斗「部屋をノックしても反応がなかったんです」


紗那「寝てるのかな〜?」


希「羨ましい・・・」



俺もベッドか布団で寝たい・・・。


掃除なんてしたくない、っていう本音を言いたい。

言ったが最後、海斗の説教を長時間聞く破目になるから言わないけど。



海斗「風花さんには起き次第掃除をしてもらうとして・・・5人で始めましょうか」


瑠璃「おい、未来にだけ甘くない?」


海斗「気のせいです。

あの人がいたらいたで、掃除が全然進まなそうですからね」


瑠璃「ふぅ〜ん・・・。ま、そーいうことにしといてあげるよ」


希・紗那・洋一「「「?」」」



よく分からないけど・・・何かが、解決したみたいだ。



瑠璃「とりあえず、グータラしないようにこたつは一旦片付けるよ」


希「俺の・・・聖地、汚さないで・・・・くれ」



なんて嘆きも虚しく、東雲はすぐにこたつを持ち上げようとする。

だけど、そこで何かに気付いたのか数十センチ持ち上げたところで止まるんだ。


どうしたんだろうな・・・?



瑠璃「すいませーん、ちょっと皆聞いて」


一同「?」



顔だけ俺達の方に振り向かせて東雲は言う。

俺達全員の視線がそっちに・・・こたつの方に向く。


それを確認して東雲は一気にこたつを持ち上げた。









瑠璃「バカ1名発見しました









未来「Σぬぉっ!?突然の寒気に俺はとりあえずストーブの前に行ってみる!」






こたつの主が現れた(ドラクエ風)


イヤホンを両耳にしてP○Pを片手に持った風花は、宣言通り凄いスピードでストーブの前に移動した。



一体・・・いつからこたつの中にいたんだ。



瑠璃「お前・・・うち等の会話全部聞こえてて隠れてたでしょ?」


未来「ゲームの音で何も聞こえません」


希「こたつ・・・独り占め、ズルい・・・・」


未来「ゲームの音で何も聞こえません」


瑠璃「チビ(ボソッ」




未来「んだと、コラァ!!




瑠璃「ほら!やっぱり聞こえてるじゃん!」


洋一「風花、気配消すの上手ぇな!」


紗那「洋一君、今はそういう話じゃないと思うよ〜?」


海斗「風花さん、遊んでいないであなたも掃除をするんですよ」


未来「僕は今忙しい」


瑠璃「どこが」


未来「ゲームをしながらヤドカリの気持ちになるっていう仕事をしてる」


瑠璃「どんな仕事だ!グータラして遊んでるだけでしょ!」


未来「俺の家はもぅこたつなんだ。即ち、こたつの中だけ掃除すればいいということ!」


希「違う・・・。それ、俺の・・・・家」


瑠璃「どっちも違うから!」


未来「ヤドカリが何で家ごと移動してるか知ってるか?

俺は今日、ヤドカリの気持ちになって初めてそれが分かったんだ」


洋一「え、マジで?」


紗那「それって・・・?」


未来「ヤドカリが家ごと移動する理由・・・それは、











固定資産税を払いたくねぇからだよ






希「おぉ・・・なるほど。鋭いな、風花・・・・」


瑠璃「黙れ、社会不適合者共


海斗「どうやら・・・僕がまず掃除すべきゴミはこの2人のようですね(黒笑」


希「え・・・俺も?」


未来「僕はゴミはゴミでも不燃ゴミの方だ!簡単に始末出来ると思うなよ!」


瑠璃「威張って言うな!」


希「・・・?」



何だ・・・?

今の風花・・・何かが、どこかがおかしいような・・・・。


冗談のように聞こえないのは、何でだ・・・?



未来「燃えねぇゴミはホントーにタチが悪ぃから気を付けろ」


瑠璃「しつこいっ!」



何でなんだろうな・・・。

風花の言葉が、自虐みたいに聞こえるのは・・・。






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