番外編

□秘密のお題
3ページ/28ページ

.

◎続・性格チェンジ Pattern1





紗那(未来)「Jumping!!!
    Yes,oh ride or time
    届け響け行け One more time
    可愛いだけじゃ物足りないから
    BURNING! HIT TIME☆」



スキップをしながらアニメ、REBORN!のOPを口ずさんでいた。

本当に散歩なのか、彼女は目的もなくブラブラする。



紗那(未来)「(入れ替わったのは中身だけ。俺が入ってても身体能力は上がったりしねぇのか。

こりゃケンカは出来ねぇな・・・。つか、胸重っ)」



そんなことを考えながら河川敷を通っていると・・・





「おーい、谷垣ー!!」




紗那(未来)「?」



聞き慣れたその声に立ち止まる。

呼ばれた方へ視線を向ければ、未来ではなく紗那を呼んだ人物が土手を上がって来ていた。


それは人懐っこい爽やかな笑顔を浮かべる・・・



紗那(未来)「あ、山本君、おはよ〜」


山本「はよっ。つってももう昼だけどな」


紗那(未来)「こんなところで何してるの〜?」


山本「ランニングしてたら、そこの土手で小学生が野球の練習してんの見付けてさ、」


紗那(未来)「指導してあげてたの?」


山本「指導っつーか・・・俺がただ一緒に楽しんでただけなのな」


紗那(未来)「アハハ、山本君らしいね〜」



ほんわかのんびりな紗那を見事に演じる未来に、山本は全く気付かない。



山本「谷垣は何してたんだ?スキップして、なんか楽しそうだったけど・・・」


紗那(未来)「えっ、み、見てたの!?は、恥ずかしい〜・・・」


山本「今日は1人なのか?」


紗那(未来)「うん。たまには散歩でもしようかな〜と思って」


山本「そっか。じゃあ俺も一緒に散歩するのな」


紗那(未来)「?小学生はいいの〜?」


山本「あぁ、あいつ等ももう帰るって言ってたから」


紗那(未来)「そっか」


紗那(未来)「(さて、どうするべきかな・・・?

ここまでくるとネタ晴らしは出来そうにねーし、最後の最後まで紗那を演じ切ってみるか)」










― Side Pink ―


瑠璃(紗那)「もう未来、何処行っちゃったの〜」



未来(体は自分だが)を探して、彼女は商店街へ来ていた。

ここにはいないのか、と彼女が諦めかけていると・・・




「あ、瑠璃ちゃん」




瑠璃(紗那)「(え、瑠璃・・・?あ、そっか。今の私が瑠璃なんだ)」



瑠璃がいるのかと探しかけた彼女だったが、自分が今入れ替わっていることを思いだす。

心の中で苦笑していると、紗那ではなく瑠璃を呼んだ人物がやって来た。



京子「今日は1人?」


ハル「こんなところで会うなんて奇遇ですね!」


瑠璃(紗那)「京子ちゃん、ハルちゃん」



やって来た彼女達2人の名を呼べば、京子とハルはお互い顔を見合わせる。



瑠璃(紗那)「?どうかした?」


ハル「瑠璃ちゃんはいつもハル達のことを呼び捨てにしてたと思うんですけど・・・」


瑠璃(紗那)「(あ・・・)」


京子「でも、そういうのも新鮮でいいね」


ハル「そうですね!」


瑠璃(紗那)「ア、アハハ・・・」
瑠璃(紗那)「(今、私は瑠璃なんだから、瑠璃らしくしなきゃ!)」


瑠璃(紗那)「ふ、2人はここで何してたの?」


ハル「繁華街にあるショッピングモールで新作ケーキの試食会があるんです!

それを一緒に食べに行こうって、京子ちゃんと前から約束してたんですよ」


瑠璃(紗那)「えっ、ケーキ!?(目キラキラ」


京子「瑠璃ちゃんもよかったら一緒にどう?」


瑠璃(紗那)「うん、食べる!絶対食べる〜!」



そうして、瑠璃(紗那)は紗那(未来)を追いかける、

という当初の目的を忘れて京子とハルと一緒にケーキを食べに行った。











― Side Red ―


未来(瑠璃)「ねぇ、篠原」



テレビを見ていた彼女はチャンネルを操作しながら、ソファーで読書をしている彼の名を呼ぶ。

海斗は本に視線を向けたまま答える。



海斗「何ですか」


未来(瑠璃)「スッゴク暇なんだけど」


海斗「知りません」


未来(瑠璃)「うちも外に出て(海斗「ダメです」何でさー!!」


海斗「さっきから何度も言っているでしょう。それは未来さんの体です」


未来(瑠璃)「ケガなんかしないってー。篠原、過保護過ぎだよ」


海斗「何とでも」



素っ気ない彼に未来(瑠璃)は深いため息を吐く。

さっきからずっとこのやり取りの繰り返しだった。どれだけ頼んでも彼は聞き入れてくれない。



未来(瑠璃)「篠原ってさー、」


海斗「?」


未来(瑠璃)「未来のどこに惚れたの?」


海斗「Σなっ、何ですか、急に////!?」


未来(瑠璃)「暇だし恋バナでもしようと思って(笑

で、どうなの?外見?性格?」


海斗「し、知りませんっ」


未来(瑠璃)「さっきから全然うちを見ようとしないのってさ、中身はうちとはいえ声と外見は未来だから?」


海斗「違います」


未来(瑠璃)「ふぅ〜ん」



未だ本を見たまま答える海斗に、未来(瑠璃)は怪しい笑みを浮かべて近寄る。

海斗の隣に腰を下ろし、彼女は内緒話をするように彼の耳元で囁いた。



未来(瑠璃)「好きだよ、海ちゃん」


海斗「―――っ////!!!」



ボンッと、急激に顔を真っ赤にさせる海斗。

だが、瑠璃が言っていると分かっている彼は、右手に有幻覚で出したメイスを握り締め・・・



海斗「死んでくださいっ!!」


未来(瑠璃)「わーっ!ちょっとストップ、ストップ!!体は未来だから!」


海斗「うっ・・・!」



  ピタッ



メイスで殴り掛かろうとしていた手をなんとか止める。



海斗「くそっ・・・!」


未来(瑠璃)「(せ、生命の危機を感じた・・・!未来の体じゃなかったら本気で殺すつもりだったよ、こいつ!)」


海斗「あなたが元に戻った時は覚えておいてください。僕は必ず、あなたを土に還します(黒」


未来(瑠璃)「Σやっぱり本気なの!?」











― Side Light Blue ―


紗那(未来)「何か面白いことないかな〜」



山本と一緒に散歩で河川敷から繁華街へ歩いてきた彼女はポツリとそう呟いた。

それを聞いた山本は「んー」と考えだし・・・



山本「じゃあさ、ゲーセンでも行くか?」


紗那(未来)「あ、いいね〜。私、クレーンゲームやりた〜い」



ということで、ゲームセンターに入る2人だったが・・・

そこで思わぬ人物達と思わぬ遭遇をすることになった。


その人物達とは・・・



マーモン「ム、君は・・・」


ベル「あ、姫じゃん」


紗那(未来)「(ゲッ・・・)」



私服風隊服姿の2人だった。



山本「お前等って確か・・・」


紗那(未来)「ヴァ、ヴァリアーがどうしてここに?」


マーモン「ルッスーリアが買い物に行きたいと言い出してね。それで皆でショッピングモールに行くことになったのさ」


紗那(未来)「皆って・・・あの皆!?」


ベル「そ、鮫もムッツリもあのボスもみーんな一緒に」


紗那(未来)「(そんなんでいいのか、ヴァリアー幹部!)」


ベル「でも王子暇だしマーモンとここに来たんだ」


マーモン「僕は金の無駄遣いだって言ったんだけどね」


紗那(未来)「そ、そうなんだ・・・」


マーモン「君達もここに遊びに来たの?いつもいる他の連中は見えないけど・・・」



山本「ああ、デートだからな!」



紗那(未来)「Σちょっ、山本君!?」
紗那(未来)「(いや、それはそれで面白ぇ展開になるかもだけどさ・・・)」


ベル「――は?お前、今何て?」


紗那(未来)「(殺気!その殺気をもっと隠せ、ベル!!お前が紗那を気に入ってることは知ってるけども!)」


ベル「姫がお前なんかとデートとかするわけねぇし」


山本「前にも1回したことあるぜ?な、谷垣」


紗那(未来)「えっ、あっ、うん・・・そうだけど、」


ベル「カッチーン。頭きた。サボテンの刑決定♪」


マーモン「止めなよ、ベル。こんなところで無駄な血を流すのは。それこそ金にならない」


紗那(未来)「そっ、そうだよ、よく分かんないけど落ち着いて。勝負なら、ここのゲームですればいいと思う」


ベル「じゃあ勝った方が姫とデート出来るってことで」


山本「ハハッ、ぜってー負けらんねぇな」


紗那(未来)「(おぉ、面白い展開だ。紗那をかけて2人が白熱してる)」



勝負のために近くの格闘ゲームのところに行く2人を見て、彼女が内心笑っていたのは言うまでもない。


彼女が2人の後に続こうとすれば、マーモンもため息を吐いてフヨフヨと浮かんで紗那(未来)に並ぶ。

彼のことだ、きっと周りには怪しまれないように幻覚でもかけているんだろう。


紗那(未来)は微笑し、そのフヨフヨ浮かぶ彼を人形のように抱きしめた。



マーモン「ム、」


紗那(未来)「山本君かベル君、どっちが勝つだろうね〜」


マーモン「・・・興味ないよ」


紗那(未来)「そっか」
紗那(未来)「(マーモン可愛いなぁ〜)」



マーモンにメロメロな彼女は気付かない。

その時、マーモンが何を考えていたのか・・・





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ