番外編

□秘密のお題
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◎性格チェンジ Pattern1

※原作の流れは無視




――6人が住む家で・・・


希「海斗・・・そろそろ、昼飯・・・・出来る」



今日は日曜日、キッチンで昼食を作っている彼はリビングに顔を出し、ソファーに座って本を読んでいる海斗にそう声をかけた。



海斗「仕度、手伝おうか?」


希「助かる・・・。ところで・・・・洋一達は?」


海斗「あの4人は沢田さんの家に遊びに行ったよ。そろそろ帰って来るんじゃないかな」



チラッと時計を見れば11時47分を指している。

さすがに人様の家で昼食をよばれる程、彼等は非常識ではないだろう。


そんなことを考えていれば、玄関の扉が開く音がした。



海斗「噂をすれば、だね」



「たっだいまー!」



玄関から元気な声が聞こえてくる。

しかし、その溌剌とした声を聞いて海斗と希は同時にキョトンとした顔になる。


何故ならそれは、



海斗「今の・・・谷垣さん、だよね?」


希「俺の、耳が・・・正常、なら」



そう。聞こえてきた声は紗那の声だった。

あのほんわかのんびりした口調の彼女が、ハキハキとした声を出したことに2人は驚いていたのだ。


彼等が顔を見合わせ、互いに首を傾げているとリビングのドアが開く。

入って来た人物達の顔はそれぞれ違うものだった。



瑠璃は苦笑し、紗那は満面の笑み、未来は肩を落として落ち込み、洋一は困ったように頬をポリポリ掻いていた。



希「どうか・・・したのか?」



不思議そうに彼が尋ねれば、紗那が満面の笑みを浮かべたまま答える。



紗那「面白ぇことになったぞ!」


希・海斗「「へ・・・?」」



いつもの紗那からは考えられないその口調に、2人は目を丸くする。

そんな2人を紗那はニッコニコ笑顔で面白そうに見ていた。



海斗「え、えーっと・・・」


希「谷垣・・・だよな?」


瑠璃「あ、違うよ〜。私はこっち」


海斗・希「「は・・・?」」



小さく手を上げて、いつもの瑠璃からは考えられないほんわか笑顔を浮かべる彼女に、またも2人は目を丸くする。

しかも、今明らかに彼女の一人称がいつもの「うち」から「私」に変わっていた。


何がどういうことだ、と未だ黙ったままの未来と洋一に視線を向ければ、洋一は困ったように笑う。



洋一「どっから説明すればいいかな・・・」


海斗・希「「?」」


洋一「簡単に説明するなら、この3人・・・リボーンに薬盛られたんだ」


海斗「はぁ!?」
希「えっ・・・?」



その後、洋一から説明された内容をまとめると、こんな感じだった。


まず、今日は自分達から沢田家に遊びに行ったのではなく、リボーンに呼ばれたから沢田家へ行ったらしい。

呼び出した内容を聞けば、リボーンは「ちょっと試してぇことがあるんだ」と言って、それ以上は何も教えてくれない。


なので彼等は数時間、ツナやチビっ子達と遊んでいた。



そうして、悲劇は訪れた。


リボーンが「お疲れ」という意味で何気なく紅茶を差し出してきた。

遊び疲れて喉が渇いていた彼女達3人は、お礼を言ってその紅茶を口にした。


すると、どういうわけか・・・



紗那「俺が紗那に、」


瑠璃「私が瑠璃に入れ替わっちゃったんだよ〜」


海斗「ということは、東雲さんが・・・」


未来「そうだよ、うちが未来に入れ替わったの・・・」


希「それで・・・そんなに、テンション・・・・低い、のか」


未来(瑠璃)「うん、ごめん。如月にだけは言われたくない」



6人は昼食を食べながら、起こったことを整理していた。



海斗「でも、どうして洋一は無事だったの?」


洋一「俺のはランボがぶつかってきて零したんだ。だから、」


紗那(未来)「被害にあったのは俺達だけってこと」


海斗「そうですか・・・」



口調は彼女達そのものなのだが、声が違うためにどうしても慣れない。

また厄介なことが起こった、と海斗は額に手を当ててため息を吐く。



希「やや、こしい・・・話、だな」


未来(瑠璃)「もうほんっと最悪!」


瑠璃(紗那)「そんなに未来の体イヤなの〜?」


未来(瑠璃)「イヤってわけじゃないけど・・・自分より体が軽いことにスッゴク悲しくなるの」


紗那(未来)「チビって言いてぇのか!」


未来(瑠璃)「違うよ」


瑠璃(紗那)「こんな経験滅多に出来ないんだから楽しもうよ〜」


未来(瑠璃)「滅多にっていうか普通なら絶対に出来ないから!」


紗那(未来)「これが160cmで見える景色か〜。新鮮じゃの」


未来(瑠璃)「お前は満喫し過ぎ!」






洋一「なんか・・・スッゲー違和感感じるな(苦笑」


希「中身が・・・違う、って・・・・分かって、てもな」


海斗「リボーンさんはいつ元に戻るって?」


洋一「少量しか盛ってねぇから今日中には戻るだろ、って」


海斗「随分アバウトだね」






紗那(未来)「ごっそさん!」



両手を合わせた後、彼女は自分が使った食器を流しへ持っていく。



紗那(未来)「ってことで、俺ちょっち散歩してくんな」


未来(瑠璃)「Σいや、ちょっと待てお前!〈ってことで〉って話が全然繋がってないから!」


紗那(未来)「ダイジョーブ、俺の中ではちゃんと繋がってるから」


瑠璃(紗那)「散歩ってどういうことなの〜?」


紗那(未来)「散歩は散歩じゃ」


海斗「そんな状態で出て行かないでください。入れ替わっているのを知っているのは沢田家にいる人達だけなんでしょう?」


紗那(未来)「だから面白ぇんじゃねーか」


未来(瑠璃)「お前、まさか・・・!」


紗那「心配しなくていいよ〜。私、変なこと言ったりしないから〜」


洋一「え、谷垣戻ったのか?」


瑠璃(紗那)「戻ってない、戻ってないよ。未来が私のマネしてるの〜!」


紗那(未来)「じゃあ行ってきま〜す。あ、夕飯までには帰ってくるからね〜」



ほんわかのんびりを演じながら、彼女(未来)は笑顔で手を振って家を出て行った。


勿論、皆の制止の声も聞かずに・・・(笑



瑠璃(紗那)「どっ、どうしよう!未来のことだから絶対何か企んでるよ〜!

私、ちょっと追いかけてくる!」


洋一「東n―――じゃなくて、谷垣!?」


未来(瑠璃)「お前まで出て行ったら余計ややこしいことになるからー!!」



そんな叫び声も虚しく、瑠璃(紗那)は紗那(未来)を追いかけるために家を出て行った。



希「どう・・・するんだ?」


未来(瑠璃)「おっ、追いかけろーーー!!うちの体で何かされたらスッゴク困る!」


洋一「わ、分かった。じゃあ俺ちょっと行ってくる!」


海斗「希も行って」


希「え?」


海斗「洋一だけじゃ、あの人達を見付けられないよ。だから行って」


希「御意」



こうして瑠璃(紗那)と紗那(未来)の捜索隊が結成された(笑


洋一と希が出て行って、2人だけとなったリビングで未来(瑠璃)は海斗を見て不思議そうに尋ねる。



未来(瑠璃)「うち、てっきり篠原が真っ先に未来を追いかけると思ったんだけど・・・」


海斗「僕は見張り役です」


未来(瑠璃)「?誰の?」


海斗「勿論あなたの」


未来(瑠璃)「へ?」


海斗「あなたの体は今、未来さんの体なんですから。あまり動かれないように、僕がここで見張ってるんです」


未来(瑠璃)「あぁ、そうだね。お前はいつでも未来優先だもんね」



深いため息を吐いて、肩を落とす未来(瑠璃)であった(笑





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