Ver.黒曜・リング編

□残された手段
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神「あいつを・・・未来を連れ戻す方法は1つ。

時間を巻き戻して、未来が消える前の〈REBORN!〉の世界に行くことだ」


紗那「時間を・・・」


洋一「巻き戻す・・・!?」


瑠璃「どーやって・・・?」



2度目のため息を吐いて、神はある1点を指差す。

その指の先にあるのは・・・



希「海斗?」


瑠璃「篠原が何なの?」


フギン「違う違ウ。神様?ガ言いタいのハ・・・」


海斗「僕が貰った〈神器〉、ですね」


ムニン「正解」



海斗が1番最初に神に貰った〈神器〉、

それは・・・








―――止まることなく時を刻む砂時計





神「その砂時計を逆さにすれば時間は巻き戻る。―――だけど、」


フギン「ソれ相応ノりすく・・・イや、代価がいル」


海斗「それは?」


神「砂時計は、使用者の生きていられる時間・・・つまり、












―――寿命を奪う」






他4人「!?」



神「1秒で1年なのか、1分で1年なのか10年なのか・・・それは誰にも分からない」


フギン「博打のヨうなもノだネ」





それを聞いて、



その説明を受けて、



彼・・・海斗は、








海斗「じゃあちょっと行って、あの人を連れ戻してきます」









即座に砂時計を逆さにし―――








瑠璃・洋一「「Σちょっと待てーーー!!」」
紗那「Σ待って、篠原君!」
希「待て・・・早まるな」



逆さにしようとしたところで、彼女達4人が止めに入ってきた。



海斗「何です?邪魔しないでください」


洋一「邪魔するよ!いつも冷静なお前はどこにいった!?」


紗那「即決し過ぎだよ〜!」


希「ちょっと・・・落ち、着け・・・・」


瑠璃「アイツのことになると目の前が見えなくなるの、篠原の悪いクセだよ!」


海斗「そんなことありません。僕は落ち着いているし、冷静です」


洋一「冷静なもんか!お前が今やろうとしてることは、アイツと同じことだぞ!」


海斗「!」


希「お前まで・・・1人で、背負おうと・・・・しないで、くれ」


海斗「・・・ごめん。だけど、これは僕にしか出来な―――」


瑠璃「出来なくない!確かに、その〈神器〉を使えるのは篠原だけだよ。

でも神様(仮)が今言ったのは〈使用者〉!篠原だけだ、なんて一言も言ってない、違う!?」



フギン「そノ通リ♪」



紗那「ってことは・・・こうすればいいんだよね!」



砂時計を持っている海斗の手に、紗那達4人は自分達の手を重ねる。



洋一「これで使用者は5人!」


希「代価として・・・払う、寿命は・・・・5等分」


海斗「!!」


紗那「皆でやれば怖くない!ってやつだよ〜」


瑠璃「目の前が見えてなかったって認める気になった?」


海斗「・・・そうですね」



重ねられた手を見て微笑する。

そして、改めてその手を重ねた4人に・・・



海斗「いいんですか?何年寿命が縮まるかは分からないんですよ?」


瑠璃「今更引き下がったりしないよ、うち等は!」


洋一「だな!」


希「あぁ・・・」


紗那「私、運はいい方だからきっと短くて済むと思うよ」


洋一「ハハッ!じゃあ谷垣の運に縋るか」


瑠璃「短くて済みますように、って?(笑」


希「神頼み・・・?」


海斗「使えない自称神様しかいないから無理だね、それは」


瑠璃「言えてる(笑」
希「確かに・・・」



神「お前等なぁ・・・!」



海斗「それじゃあ、そろそろ行きましょうか」



フギン「アー・・・意気込んデるとこロ悪いンだケど、」



5人「?」



フギン「時間を巻き戻シても、上手クはいかナいヨ」



5人「は/え・・・?」



フギン「巻き戻しタ先で君達が同ジこトをしなイ限り、上手くはいカなイ」



洋一「同じことって・・・?」



神「お前達が変えるのは、未来が消えるところだけだろう?」



希「!そう、いう・・・ことか」


紗那「え?どーいうこと?」


海斗「パラレルワールドですね」



ムニン「正解」



瑠璃「ぱられる・・・?」


洋一「パラレルワールドが何なんだ?」


海斗「僕達は未来さんが消えた世界・・・ううん、この場合はルートって言った方がいいね。

そのルートを1度辿った。それはいいね?」


瑠璃・紗那・洋一「「「うん?」」」


海斗「巻き戻しをして、僕達は次も同じルートを辿って最後・・・未来さんが消えるところだけを変えようとしています」


瑠璃・紗那・洋一「「「うん、」」」


海斗「だけど僕達が巻き戻した先でルート通りのことをしなかったら・・・

例えば、そうですね・・・未来さんに文句を言ったり、謝罪をしたりするとその先の未来(みらい)が全て狂ってしまうんです」


希「おかしな・・・ことに、なる、可能性・・・・大」


洋一「あぁ!だからパラレルワールドなんだな」


紗那「じゃあ、どうすればいいの〜?」


瑠璃「あの時うち等が言ったこととか、やったことを全部忠実に再現しろってことでしょ?

でも、そんなのどう考えたって・・・」


希「不可能」


洋一「考えずに言ったこととか結構あるしな・・・(苦笑」


紗那「私も・・・自分が何言ったのか全部覚えてないよ〜」



八方塞がり。

時間を巻き戻せても、彼等の力では彼女を連れ戻せない。



否。



正確には、彼等だけの力では・・・






フギン「だカら、僕等がワざわザやっテ来たのサ」


ムニン「私は・・・無理矢理、付き合わされてるだけ・・・・」


フギン「あはは・・・まァまぁ、ソう言わズニ(苦笑」



瑠璃「?どういう意味?」



フギン「さっキも言っタ通り、僕等はたダの傍観者。

全てヲ〈思考〉シ、全テを〈記憶〉し、世界で起コった全てヲ語ル伝達・・・もトい、














―――記録係






歌うように言った後、フギンとムニンは片耳についている水晶のイアリング・・・〈神器〉を指で弾く。


すると、ムニンの両手には開いた大きな黒い本が。

フギンの左手にはインクのついていない黒い羽ペンが現れた。



フギン「我等ハ記し、」



黒い羽ペンをムニンが持っている本、そこに書き込まれている文字に当てる。

当てて、羽ペンを持ち上げると、書き込まれていた文章が本から飛び出し羽ペンの尖端に続いた。



ムニン「我等は語る・・・」



羽ペンをフギンが5人に向けることで、尖端に続いていた文章が直接彼女達の頭の中に入り込む。



フギン「ソれガ・・・」









フギン「傍観者デある我等ガ〈役目〉―――・・・
ムニン「傍観者である我等が〈役目〉―――・・・









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