Ver.黒曜・リング編
□残された手段
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紗那「えっと・・・どちら様、ですか?」
瑠璃「もしかして・・・この人達も―――」
希「〈神の使い〉・・・?」
東雲と俺が急に現れた2人を見てそう言ったら・・・男の方がクスクス笑い出した。
フギン「正解だヨ、東雲瑠璃チャン、如月希クン」
瑠璃「!?何でうち等の名前を・・・!」
フギン「知ってルヨ。僕等は全部知ッてル。
だっテ僕等は―――〈フギン〉と〈ムニン〉。
全てヲ〈思考〉シ、全テを〈記憶〉するたダの傍観者だカらネ♪」
どう返事を返せばいいのか分からない・・・。
このフギンとムニンっていう2人は俺達のことを、全部知ってるのかもしれないけど・・・
俺達は、この2人のことを何も知らないから・・・。
神「何しに来たんだ?」
フギン「何しニ来たトは御挨拶だネ。〈先輩〉ガ〈後輩〉を見に来ちャいけナいノ?」
神「、」
ムニン「フギン・・・話が進まない。この子達・・・・戸惑ってる」
フギン「オっと、そウだネ。ンーと・・・ソれじゃア、どコから話そうカ。
マず、篠原海斗クン」
海斗「何です」
フギン「君がサっきこノ・・・神様?に頼んダことは不可能ジャないけド、君が望んデるようナことハ不可能だヨ」
海斗「!」
フギン「アの世界・・・〈REBORN!〉ノ世界にまタ行ったとこロで、何にモならなイ。
ソこに広ガってルのハ、元に戻っタ本物の〈REBORN!〉の世界だケ。〈彼女〉は何処ニもいナイ。だっテ〈彼女〉はもウ―――」
ムニン「消えてるから・・・」
海斗「っ!」
紗那「そんなっ・・・!」
洋一「何か方法はねぇのかよ!?」
フギン「方法、ねェ・・・。アったとシて、君達は一体誰ヲ連れ戻スつもリだイ?」
瑠璃「は・・・?何言って、」
希「誰を、って・・・そんなの・・・・決まって、」
そいつの名前を言おうとして違和感。
あれ・・・?
思い出せない・・・。
さっき、思い出してたはずなのに・・・何でだ?
フギン「今モ現在進行形でソの〈誰か〉のコとを忘れテいル君達が、一体誰を連れ戻セるッて言うノかナ〜?」
希・瑠璃・紗那・洋一「「「「!!」」」」
ムニン「思い出したところで・・・あなた達は忘れる」
フギン「1度存在が消エた者は、皆からすグに綺麗さっぱり忘レられル。
ソれガるーる。〈アの邪神〉ミたいに・・・そノるーるヲ覆しテはいケなイ」
神「、」
フギン「ダかラもう諦メ―――」
海斗「風花未来」
フギン「!」
海斗「それがあの人の名前です。嘘つきで天邪鬼で、強がりで・・・人をからかって遊んで、
いつも、どんな時でも笑顔を絶やさない、どうしようもないくらい弱い人・・・それが彼女。
僕はもう、忘れたりしません。絶対に・・・!」
フギン「ダよね・・・少なクとモ、〈彼女〉かラの〈貰い物〉ヲ持ってル君ハ。ソれに関しテは〈彼女〉も誤算ダったネ。
・・・イや、それトも全部理解シてて、仕方なイって割リ切ったのカ・・・・」
希「(風花未来・・・)」
あぁ・・・そうだ。
笑顔しか思い出せない程・・・よく笑う奴だった。
フギン「デも・・・憶エていタとシて、方法ガあったトしてドうするノ?
〈彼女〉ハ連れ戻サれルことナんて望ンでないヨ?」
紗那「ど、どうしてあなたにそんなこと言い切れるんですか」
フギン「アぁ・・・君達3人ニは分かラないだロうネ」
瑠璃・紗那「「え・・・?」」
洋一「どーいうことだよ?」
フギン「分カるよネ、君達2人にハ。分かっテるヨネ、もウ」
希・海斗「「、」」
何となくは・・・分かってる。
あいつが・・・風花が何であんなことをしたのか。
確証はないけど、何となくは・・・
神「フギン、〈後輩〉いびりはその辺にしろ」
フギン「君は黙ってテ。そシて、コこは僕に任セテ」
海斗「・・・・・・」
未来「酷ぇことをしてる・・・これからも酷ぇことをするって自覚はあるんだ。
だから、早めに謝っとこうと思って」
未来「後になんかゼッテー謝ってやんねーからな。天邪鬼ですもの!」
海斗「(あれは・・・後で絶対に謝ることが出来なかったからなんですね、未来さん)」
瑠璃「篠原と如月は分かってるって・・・どういう、」
海斗「・・・いつもと同じですよ」
紗那「何が・・・?」
海斗「彼女が勝手に1人で全部解決した、という話ですよ」
希「風花は・・・海斗に・・・・背負わせ、なかったんだ」
洋一「背負わせるって・・・何を?」
希「あの・・・狂った、世界の・・・・全てを」
瑠璃・紗那・洋一「「「?」」」
フギン「そウ。〈REBORN!〉の世界ヲ元通りニ戻す時に生ジた〈犠牲〉を〈彼女〉は全部掻っ攫ッていっタんダ」
紗那「犠牲って・・・?」
フギン「やれやレ・・・。ここマで言っテまだ分かラないとハ」
ムニン「元の〈REBORN!〉の世界では存在しない・・・狂った世界でしか存在していなかった人達のこと」
瑠璃・紗那・洋一「「「!?」」」
洋一「何、だよ・・・それ」
フギン「だかラ、―――〈犠牲〉だヨ。そウするコとでシか世界は救エなイ。
君達モ・・・いツまでも知らヌ存ゼぬじゃいケないヨ」
それが、あいつが洋一達に隠してたこと・・・。
悩み抜かれたり、反対されるのがイヤだからって・・・隠し続けてきたこと。
全部を成し遂げたあいつが、もしここにいたら・・・一体、どんな顔をするんだろうな。
あいつ・・・か。
あぁ・・・また俺は、あいつの名前を忘れたみたいだ。
また、海斗に聞かないと・・・
フギン「別に驚ク程のこトでもナいヨ。全部単純明快。
本当の世界が1度終ワって、狂ッた世界ガ始まっテ、マたそレも終ワって、もウ1度元通リの世界に戻っタだけなんダかラ」
瑠璃「そうかもしれないけど・・・そんなあっさり言える問題でもないでしょ!」
紗那「〈犠牲〉があった・・・なんて、」
フギン「何を今更。何モ知ロうとシなかっタ、何も考エようトしナかッた君達ガ、〈アの子〉に押し付ケたことデショ?
〈犠牲〉の話ハ、〈あノ子〉の口かラ聞かさレてた話だったノニ」
5人「!」
あぁ・・・そうか。
だからあの時、あいつは・・・
「そーいうもんなんだよ。〈犠牲〉があるから、今の俺達の生活がある。
〈犠牲〉があるから、ボンゴレファミリーは今まであの特殊弾を使ってこれて、ツナもそれのおかげで強くなった」
「それを、忘れるな」
フギン「〈死神ピエロ〉と言ウ伝説を消ス為に、〈犠牲〉ト言う〈罪〉を償ウ為ニ〈アの子〉は、
〈犠牲〉にしタ人達ト一緒に、―――消えルことヲ選んだンだヨ」
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