Ver.黒曜・リング編
□雲の守護者戦
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――AM.7:10
紗那「本当にもう平気?」
中山外科医院っていうところで、私はベッドから起き上がったクロームちゃんにそう尋ねるの。
クロームちゃんは昨日の霧戦で寝ちゃったから、皆がこの(廃)病院に運んでくれたんだ〜。
それで私もついここでウトウトと・・・(苦笑
クローム「うん。早く、2人を探さないと・・・」
紗那「やっぱり黒曜ランドにいるんじゃないかな〜?」
なんて話ながら病院から出ようとクロームちゃんがドアを押して開けたら・・・
ガンッ!
「Σいでっ」
紗那「えっ・・・?あ、ツナ君」
クローム「・・・・・ボス」
ツナ「あ!」
ツナ「(そーいえば戦いの後気を失って運ばれたんだ)」
紗那「こんな朝早くにどうしたの〜?」
ツナ「ディーノさんに用があって・・・」
紗那「ふ〜ん・・・。皆暇なんだね〜」
さっきも笹川さんとか、山本君とか獄寺君もここに来たんだよ〜。
っていうことは、多分ディーノさんに会えばツナ君も分かると思うから言わない。
ツナ「え・・・?」
ツナ「(皆・・・?)」
クローム「じゃあ紗那、私ここで・・・」
紗那「うん、またね!」
ツナ「あ、えと・・・あの・・・・。な、何て呼べばいいかな。
クロームさん・・・?髑髏・・・・さん?」
クローム「どっちでも」
ツナ「あ、あの・・・何処、行くの?」
クローム「犬と千種がどっか行っちゃって・・・」
ツナ「え・・・」
ツナ「(そーいや置き去りにされてたもんな・・・)」
ツナ「そ、そっか・・・。あの・・・・昨日は戦ってくれて・・・」
紗那「クロームちゃん、もう走って行っちゃったよ〜」
ツナ「ΣΣしかも全速力ー!!?」
紗那「私もお腹すいたから帰るね、バイバ〜イ」
ツナ「あ、うん」
手を振ってツナ君と別れて、私は家に帰って行く。
スクランブルエッグ・・・ううん、目玉焼きでも作ってた〜べよっと。
紗那「(如月君は多分まだ寝てるだろうな〜)」
って考えながら、家の玄関のドアを開けようとしたら、私が開けるより先に開いて・・・
ガンッ!
紗那「Σあうっ」
顔に当たったの。
うぅっ・・・さっきのツナ君と同じだよ(泣
紗那「痛い〜・・・」
「谷垣・・・?帰った、のか・・・・」
紗那「え・・・?」
今の・・・幻聴。
幻聴だよね?
だって、こんな朝早くにあの人が起きてるわけ―――
希「谷垣?おーい・・・谷垣?」
幻覚が見える・・・。
私の目の前で手を振る不思議そうな顔をした如月君の幻覚が見える・・・!
クロームちゃんとはさっき別れたし、マーモンちゃんは昨日骸君にやられたし・・・
紗那「分かった!篠原君の仕業だね!」
希「?海斗が・・・何か、した・・・・のか?」
紗那「こんなにリアルな幻覚を生み出すなんて・・・。また腕を上げたんだよ」
希「幻覚・・・?谷垣、幻覚・・・・効かないんじゃ・・・なかったのか?」
紗那「え・・・?」
希「え・・・?」
・・・・・・。
紗那「Σえぇ!?じゃあ本物の如月君!?」
希「?俺の、偽物・・・どこかに、いるのか・・・・?」
辺りを見回す如月君。
私はそんな如月君の頬を引っ張ってみる。
・・・触れる。
触れる!?
紗那「本当の本物だぁ〜!」
希「軽く・・・痛い。俺・・・・本物。マスクなんか、して・・・ない」
紗那「あ、ごめんっ。つい・・・(苦笑
如月君が早起きするなんて珍し過ぎるから・・・アハハ、」
希「軽く・・・酷い。
朝飯・・・谷垣の分も、作った・・・・から、勝手に・・・食ってくれ」
紗那「本当に?ありがと〜!
・・・って、あれ?如月君、どこか行くの?」
希「あぁ・・・昼までには・・・・帰る」
そう言って何処かに行っちゃったの。
せめて、何処に行くかぐらい教えてくれてもいいのに・・・。
それにしても、
紗那「如月君、どうしてあんな真剣な顔を・・・?」
◇ ◇ ◇
――AM.7:32
未来「ハァ・・・疲れた」
ベッドに突っ伏して俺はため息を吐く。
着替えだけでその日の体力全部使い果たすってどーよ?
こんなことなら右腕砕くんじゃなかった・・・
未来「動きたくないよ〜・・・」
でも、行かなきゃいけねぇところがある。やらなきゃいけねぇことがある。
そんな目的を持つ自分とヤダヤダヤダって駄々をこねる自分・・・
そぅ、正に天使と悪魔を心の中で戦わせるという葛藤を今日も済ませて、俺はゆっくりベッドから起き上がる。
勿論勝ったのは天使様です。
未来「今日もたくさん怒られましょーか」
って、自分では動き出そうとしてるんだけど・・・足は1歩も動かねぇっていう・・・・。
おのれ!悪魔めが!
天使に敗北して尚、まだ我を引き止めると言うのか!
未来「くっ・・・それ程まで気が乗らんのか」
すぐ済む。すぐ済む。
ホント、一瞬で済むから!って自分で自分に言い聞かせて足を動かす。
鉛をつけてるみてーに重い・・・
未来「(後・・・もう少し、)」
もう少しでドアノブに手が届く。
このドアを開けば、否応なしに悪魔は滅される。
後10cm・・・!
俺は手を伸ばす。だけど、その瞬間・・・
ガチャッ
洋一「おーい、風花ー。起きてるかー?・・・って、何してんだ?」
ドアが開いてこいつが顔を出して来た。
フッ・・・そりゃ今の俺はさぞ滑稽なことだろう。
右足を置き去りに足を大きく開いて、左手を伸ばしてるんだからな。
抵抗してた悪魔が天使のアッパーカットで消え失せた。
足と手を正して、平静を装って俺は言う。
未来「朝のストレッチだ」
洋一「あぁ、なんだそーだったのか」
こいつがバカでよかった〜。
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