Ver.黒曜・リング編

□雨の守護者戦
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未来「ただいま戻りましたー」



ホテルの最上階、スーパースイートルームに入った俺は軽い調子でそう言ってみる。

そしたら、





XANXUS「遅ぇ





ビュンッ!って、スクに向かって椅子が飛んできた。


まぁ、勿論スクはそれを避けるんだけども・・・

椅子の後ろに隠れるように飛ばされた高そうな壺が顔面にクリーンヒット!


さすがボス!

NARUTOのシカマルと同じで、1手目は騙しのフェイクってやつですね!!



スクアーロ「う゛お゛ぉい!何しやがる、テメェ・・・!!」


マーモン「本当は未来に当てたいけど、当てたら今の未来は死ぬかもしれないからね。

だから仕方なく、ボスは君に当てたんだよ、スクアーロ」


未来「うんうん。弟子が受ける罰を師匠が受けてくれるのはトーゼンだよな」


スクアーロ「ざけんなぁ!」


洋一「風花、お前・・・大丈夫なのか?」


未来「あぁ、問題ねぇ。びょーいんで手当てもしてもらった」


希「それでも・・・動いちゃ、意味が、ない・・・・」


瑠璃「何で並中に行ってたの?」


未来「〈燃えかす〉がちゃんと処理出来たか確認するためー」


紗那「燃えかす・・・?」


瑠璃「意味分かんないんだけど・・・」



分からなくていい。知る必要のねぇことだからな。


フッ、と微笑して、俺は部屋の中を見渡す。

ここにいるのはボス+ヴァリアーの幹部のベル、マーモン、レヴィ+瑠璃達4人。


皆の顔を順番に見てたら、最後にボスと目が合った。



XANXUS「やるべきことは終わったのか?」


未来「あぁ・・・やっと指がかかるぐらいになったよ。

だから後は、お前等の戦いを・・・リング争奪戦を見届けさせてもらうつもりだ」


XANXUS「ならいい」



そう言ったボスは、俺に向かってナニカを投げてきた。

左手でソレを受け取って見てみたら、それはこのホテルの鍵だった。


多分これは・・・このスイートルームの隣の部屋の鍵、かな?



未来「俺が寝泊まりする部屋・・・ってことでいいんだよな?」


XANXUS「いるものは一通り揃えてある。テメェの好きにしろ」



その言葉に含まれてるモノを理解して、俺は「了解」と呟く。

さて・・・また忙しくなりそうだ。



スクが運んでくれた自分の荷物を持って、そのまま用意してもらった部屋に行こうとするんだけど・・・



瑠璃「未来、休む前にご飯食べたら?」


スクアーロ「そうだぁ。まずはその軽くなった体重を戻せ。そんなんじゃ刀なんて振れねぇぞぉ」


未来「いらねぇ。生命を維持するための栄養はサプリメントで補給出来る」


ベル「お前、今までそんなことしてたのかよ・・・(呆」


洋一「ケガしてる時はちゃんと食わなきゃいけねーだろ!じゃなきゃ治るもんも治らねーぞ」


未来「オリジナリティ溢れる点滴はうってもらった」


紗那「それでも、だよ〜」


マーモン「食欲がわかないのかい?」


未来「まぁ、そんなとこだ」


海斗「食べれない時は無理をして食べる必要はありませんが・・・重湯ぐらいは食べたらどうです?」



重湯か・・・。

多分、それもダメだろうな・・・。


きっとそれも、俺の体は―――



未来「無理だ」


希「どうして・・・?」


未来「水とサプリメント以外喉を通らねぇ。今の俺の体は、それしか受け付けねぇんだ。

いや、それ以前に噛むこと・・・咀嚼することが今の俺には出来ねぇ」


レヴィ「何だ、それは」


紗那「もしかして未来・・・














口内炎






未来「なわけあるか


ベル「じゃあ食えよ」


未来「だから俺は―――Σムゴッ」



食えねぇって言おうとしたら、ベルに口の中にパンを突っ込まれた。

口の中にパンの味が広がる。


その瞬間、体が拒否反応を起こすようにビクンッ!って反応して、胃液がせり上がってくる。



未来「―――っ!」



口の中を空にすべく、その胃液をどうにかすべく、

俺はフラフラな足取りで壁とか机にぶつかりながら何とかトイレに駆け込む。


思い出したくもない、あのアカイ記憶が蘇って・・・ホントに、発狂しちまうかと思った。



未来「ぐっ・・・ハァッ、ハァッ!」



空の胃袋から出て来るのは、やっぱり胃液だけ。

それが器官を・・・喉を焼いて痛い。


痛い・・・。

アノ時・・・熱い、どこまでも熱い空気を吸い込んで喉と肺を焼いたのと同じ痛み。



痛い・・・。



未来「っ!」



情けねぇ程に体がガタガタと震える。

パンの象徴を思い出して、また胃液がせり上がってくる。




いつも・・・こうだ。

アレを思い出す度に、俺は・・・



未来「くそっ・・・!」



ガタガタと、震える体を左手で抱きしめても。

トイレの隅で体を縮こまらせても。


1度思い出した記憶はそぅ簡単に忘れられない。気を紛らわすことも出来ない。


最悪だ・・・!



未来「っ―――マヤ・・・!」



咄嗟に口から出た俺と同じあのゴミの名前・・・。

蓋をした感情が、自分でも抑えきれなくて一気に溢れ出す。



未来「マヤ・・・」















――会いたいよ・・・















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