Ver.黒曜・リング編
□雨の守護者戦
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そう、たとえば・・・
たとえば、いくつかの道から1つの道を選んだとしよう。
他の道はそこで全部消えてしまって、後戻りすら出来ない。
選んだが最後、その道をただ突き進むしかないんだ。
だけど、
その道の途中に分かれ道があったら?
消え失せたと思った道が、また新たに分かれ道となって目の前に現れたら?
―――あなたは一体、どうしますか?
◇ ◇ ◇
暗闇の中、鉄の帽子の男は1人椅子に座っていた。
数時間前に、自分のやるべきことは済ませた。
後は〈彼等〉が帰るのを見届けるだけ。
今は、それ以外することのない男は、ただじっと座しているだけ。
そんな男は、ふと1人の少女を思い浮かべた。
数時間前に一緒にいた、とても小さい傷だらけの少女の顔を。
あの時、少女が歌った歌を、思い出した。
チェッカーフェイス「フッ・・・」
思わず失笑。
そして1人、小さく呟いた。
チェッカー「〈白鳥は死ぬ前に歌う〉とは、よく言ったものだ」
運命の分かれ道は・・・
終焉へ向かう道の始まりは、一体どこだったのだろう。
〈彼女〉には、
何か・・・予感があったのだろうか。
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未来「海ちゃん、もぅそろそろ下ろしてくれ」
ホテルのエレベーターの中で、俺は自分をおぶってくれてる海ちゃんにそう言った。
だけど返って来た言葉は期待してたものじゃなくて、酷い一言だった。
海斗「嫌です(キッパリ」
たった4文字で切り落とされた頼み・・・。
おぶられてる状態で暴れることが出来ねぇ俺は、心の中で唸り声を上げる。
あ、因みにさっき家に寄って自分の部屋から取ってきた荷物は隣にいるスクが持ってくれてたりする。
そのスクが、海ちゃんの後に続けて言うんだ。
スクアーロ「下ろしてもテメェは歩けねぇだろぉ」
未来「歩けますー!もぅ体力もそこそこ回復しましたー!」
こんな情けねぇ姿、あいつ等の・・・瑠璃達の前で晒したくねぇんだ。
強がっていたい・・・心配されたくない。だから、意地で歩くんだ。
エレベーターが最上階に止まる前に下ろしてもらうべく、何度も海ちゃんに懇願するも、聞き入れてもらえねぇ。
挙句、無視されるっていう・・・あぁ、悲しきかな、我が人生・・・・。
未来「俺はこんなに過保護にされなくてもダイジョーブだし!」
海斗「黙らないようなら、猿ぐつわをかませますよ」
未来「・・・・・(ムッスー」
決めた。最終手段に出る。
俺は左手を素早く伸ばす。
咄嗟のことで、海ちゃんもスクも反応出来なかったんだろう。
その隙に、俺は全ての階に止まるようにエレベーターのボタンを北斗百裂拳並に連打。
スクアーロ「Σ何してやがる、ガキ!?」
未来「下ろしてくれねぇなら戻らねぇもん。スクがボスに怒られてかっ消されればいいんだ!」
そう言ったと同時にエレベーターが次の階で止まる。
ゆっくりと開くドア。
俺は海ちゃんの肩に左手を置く。
その行動で海ちゃんは俺が次に何をしようとしてるのか分かったのか、有幻覚で目の前にデケェ鋼板の壁を出してきた。
未来「ムキーッ!小癪なマネを・・・!」
左手を軸にして宙返りして、エレベーターから出るっていう俺の作戦が・・・!
ゆっくり閉まるドア。
俺はそれを恨めし気に見ることしか出来ない。
海斗「未来さん、本気で怒りますよ?」
未来「じゃぁ下ろしてください。お願いします」
海斗「逃げようとしたのでもう下ろしません」
未来「ムゥ〜〜〜ッ!スク!スクも海ちゃんを説得してくれ!」
スクアーロ「俺がいつお前の味方になったぁ!」
未来「弟子が苦しんでる姿を見て何とも思わねぇの?ししょー失格だな」
スクアーロ「ボロボロのお前は立って歩いた方が苦しむだろーがぁ!」
未来「じゃぁ気絶させるか何かしてくれよ!俺の意識を奪ってくれよ!
そしたらおぶられててもプライドどーこーにはならねぇから!」
スクアーロ「XANXUSは意識のあるお前を連れて来いって言ってるんだぁ!」
未来「んなもん知るか。スクがボスに怒られてフカヒレにされればいいんだ!」
フンッ、って鼻を鳴らして、俺はスクから顔を背ける。
自分で自分の腹殴って意識手放そうかな・・・。
ってなことを本気で考えてたら、海ちゃんが盛大なため息を吐いた。
海斗「そんなに下ろしてほしいですか?」
未来「勿論だとも」
海斗「なら、戻ったらすぐにまた休むと・・・それ以上無理をしないと約束してください」
未来「ん、分かった。休む、無理しない、約束する」
指切りをするよーに小指を立てて、また「約束」って言ってそれを見せる。
海ちゃんは訝しげな、まだちょっと納得がいってないって顔をするけど、俺を下ろしてくれたんだ。
うん、立つことは出来た。
歩けるかどうか確かめるために、その場で足踏みを数回。
未来「完璧♪」
足踏み成功。
膝がガクッ、ってなることもねぇ。うん、これならいける。
これならちゃんといけるのに・・・
未来「何で俺の両側に立つんだ」
要人を護衛するみてぇに、スクと海ちゃんがピッタリ真横についてるんだよ。
ちょっと体勢崩しかけただけですぐ支えにはいってくるんだぜ、これ。
俺は首がすわってねぇ赤ん坊か何かですか(呆
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