Ver.黒曜・リング編

□Death knell
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ツナ「マフィアを襲撃・・・?」


獄寺「さっきから何の話をしてやがる」


了平「極限にどういうことだ?」



戸惑うツナ達を余所に、ディックはガイオを見る。

一点の曇りもない目で、彼は言う。



ディック「―――そうだよ。それでも僕は未来なら大丈夫って言い切れる」



ゼロ「(これは嘘偽りのない本心・・・?純粋に、心の底から信じている。何も疑っていない・・・・とでも言うのでしょうか?)」


ゼロ「・・・どうしてあなたはそう言い切れるのですか」



ディック「1ヶ月もあったんだ。悪用しようと思えばいつでも出来たのに、未来はそうしなかった」



ゼロ「もう1度問います。どうしてあなたはそう言い切れるのですか。

もしかすると、あなたの知らないところで彼女は悪用しているかもしれません。悪用していない、と言い切れる証拠も何もありません。


それはあなたのただの推測では?そんなものは私情を挟んだ感情論にすぎません」



ディック「証拠ならあるよ。

―――こうして今日が訪れていること」



一同(復讐者以外の)「?」



ディック「それが大きな証拠で、僕が未来に〈災厄を齎すもの〉を持っていてほしいと思う理由だ」



ゼロ「・・・理解不能です。適切な回答を要求します」



尚も食いついてくる彼に、ディックは苦笑をこぼす。

どうするべきか迷っていると、飽きたとばかりに傍にいたリンが大きなため息を吐いた。



リン「異常に話が膨らんでるけど・・・それは今話さなきゃいけないことなのか?本人に聞く、っていう選択肢はないのか?」



ゼロ「以前、彼女に質問をしたところ、適当にはぐらかされました。ですので、彼女が真剣に回答する確率は極めて低いです」



洋一「んー・・・でもそれってさ、言いたくねぇことだからじゃねーか?

ほら、風花って自分の気持ちとかハッキリ口にしねー奴だし」


リン「あぁ、そうだ。だから、今のこれは時間の浪費でしかないと俺は思うな。

大体、未来本人のことは未来本人しか分からない。それを他の奴が勝手にいいように言う、っていうのは大きな間違いだ。


早くその〈宝探し〉を始めようよ。未来も待たされて苛立ってるから」


瑠璃「え、何でそんなこと分かるの?」



彼女がそう尋ねれば、リンはケータイを突き出してスピーカーフォンにする。


と、そこからある少女の怒りの声が聞こえてきた。



未来『いつまで待たせんだ、こんチクショー!

〈動く宝〉となって1人颯爽と校舎に入ってったのに待たされるって・・・一体全体何の放置プレイだ!


この待ち時間にカップラーメンがいくつ作れると思ってんだ!!』


瑠璃「いや、全部お前が色々隠してることが原因だから!」


未来『隠し事の1つや2つ誰にでもあるもんだろ。だって人間だもの』


瑠璃「隠し事の塊みたいな奴がよく言うよ・・・(呆」


未来『いーじゃん、いーじゃん、ミステリアスっぽくて。

自由人、神出鬼没ときてミステリアスキャラに進化を遂げる俺ってば凄くね?(笑』


瑠璃「あー、ごめん、ここ電波悪いみたい。何言ってるのか全然聞こえない(棒読み」


未来『アッハッハ!そんなあしらい方をされても俺はめげねぇのさ!何てったって俺は―――』



  ブツッ!



瑠璃は無言でリンのケータイのボタンを押し、通話を切った。



瑠璃「ごめん、未来。無言じゃ何も分からないよ(笑」


紗那「電話でよかったね。未来がここにいたら絶対ボケが止まらなかったよ〜」


瑠璃「うん、うちもそう思う」



などと言い合っていれば、校内全てのスピーカーから・・・



未来『アーッハッハッハ!そんなことで俺を止められるとでも思うたか!片腹痛いわ!』



希「放送室が・・・ジャック、された・・・・」


瑠璃「校内放送を私物化するなーーー!!(怒」


マーモン「全く堪えてないね」


ベル「あいつらしいじゃん」


リン「まったく・・・敵わないな(ボソッ」



苦笑交じりにそう言って、彼は肩を竦める。


先程まで、この場を満たしていたシリアスが彼女によって完璧に吹き飛ばされている。

スピーカーから聞こえてくる未来の声に、彼は小さく息を吐き、そっと瞳を閉じた。



リン「(あいつにも、これ以上無理をさせるわけにはいかないな・・・。だから、)」



彼の心は徐々に氷に閉ざされ、纏う雰囲気がガラリと変わる。


そして彼は、閉じていた瞳を開いた。



リン「(今回は俺も、少し本気でいかせてもらう)」



未来『―――ってなわけでぇ、さっさと〈災厄を齎すもの〉を懸けた戦いを開始したいと思います!

司会進行兼実況兼解説はこの俺、風花未来がお送りいたしまーす!』



獄寺「あのヤロー・・・好き勝手やりやがって」


瑠璃「もうつっこむ気力もないよ・・・」




復讐者「勝負に参加する者達は来い」



その言葉を聞いて、ディスペラーレの7人とヴェスパの代理である瑠璃達6人が動き出す。



洋一「じゃあちょっと行ってくる」


レヴィ「ヴァリアーの名だけは汚すなよ」


マーモン「僕達が相手をしたんだ。無様にやられるなんて許さないよ」


海斗「分かってます。やられるつもりはありません」






ベル「頑張れよ、姫」


紗那「あ、うん。頑張ってくるね!」


山本「俺も応援してるぜ、谷垣」


紗那「ありがと〜!」






獄寺「おい、バカ女」


瑠璃「うちはバカ女なんて名前じゃありませーん」


獄寺「っ・・・東雲」


瑠璃「うん、何?」


獄寺「お前は・・・お前は昨日の俺みてーなことすんじゃねぇぞ」


瑠璃「!プッ・・・アハハッ、そんなのするわけないじゃん。うちは獄寺みたいにマゾじゃないし(笑」


獄寺「なっ!んだと、テメー!(怒」


瑠璃「心配してくれてありがと」


獄寺「お、おう・・・////」






リン「出来るだけ早く終わらせて戻って来るよ」


ツナ「リン・・・」


ディック「〈災厄を齎すもの〉・・・特に、未来が持ってるものは強力だから、付け入られないように注意して」


リン「(付け入られないように・・・?)」


リン「よく分からないけど・・・分かったよ」






希「(6つの神器・・・だけど風花が持つ、あのペンダントだけは違う・・・・。

風花はアレをどうするつもりなんだ?世界を壊す、なんて・・・)」


スクアーロ「・・・本当の殺し合いを前に、くだらねぇ情に流されてんじゃねぇ」



ガシッと1人で考え込んでいた希の頭に手を置く。



希「若干・・・痛い、」


スクアーロ「テメェが他の奴等に何か隠してることぐらい知ってるぞぉ(小声」


希「!何、で・・・」


スクアーロ「目を見りゃ分かる」



それは、かつて未来に言った時と同じセリフだった。


希の頭をガシガシ撫でながら、彼は続ける。



スクアーロ「何に悩んでるか知らねぇが、今のお前が戦場に出たら瞬殺されるのは間違いねぇだろぉなぁ」


希「・・・そう、だな」
希「(こんな状態じゃ足手まといになるのが目に見えてる・・・)」


スクアーロ「―――〈迷いがねぇ人間なんて、迷わねぇ人間なんていやしねー〉・・・」


希「?」



今の希を見て、スクアーロはとある少女が言っていた言葉を言う。

不思議そうに自分を見てくる希に、彼はニッと不敵に笑ってみせた。



スクアーロ「俺の一番弟子は、捨てられねぇからってその迷いを受け入れたぞぉ」


希「!それ、って・・・」


スクアーロ「まぁ、お前がどうするかはお前の勝手だがなぁ」


希「・・・・・・」






ディーノ「東雲、」


瑠璃「っ・・・」



以前(秘密48にて)、彼に事情を聞かれた時にウソを言って誤魔化し、彼の前から逃げたことがあるので、

呼び止められた瑠璃は負い目を感じ、表情を歪ませる。


彼を・・・彼等を裏切ることになってから、彼女は自分からツナ達に話しかけることをなるべく避けていた。



何と言ったらいいか、返事をするべきか迷っていると、それに気付いたのか、ディーノは目を細め優しく彼女に言った。



ディーノ「―――気を付けろよ」


瑠璃「!!・・・はい。・・・・・ありがとう、ございます」



ギュッと拳を握り締め、今出来る限りの笑みを精一杯浮かべる。

わだかまりは消えないが、この時だけはそんな感情を持ち込まないように・・・



瑠璃「行ってきます!!」








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