Ver.黒曜・リング編
□Death knell
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未来「ったく、しょーがねぇから話を進めさせてやるか」
瑠璃・ツナ「「何で上から目線!?」」
未来「で、えーっと・・・何の話だっけ?つか、ボスとか雲雀が来てることに俺は驚きだな」
XANXUS「フンッ」
雲雀「自分勝手で何も気にしない君でも驚くことはあるんだね」
未来「あり?何でだろ・・・言葉にスッゲートゲを感じるのは」
紗那「それは無理ないよ〜」
未来「、」
彼女は体育館へ視線を向ける。否、正確には体育館の屋根へ・・・
そこには霧のようなものが立ち込めていた。
未来「(あいつ等も〈答え〉を求めに来たか・・・)」
復讐者「もういいか?」
未来「おっおー、ずっと待ってくれるなんて律儀なんだな(笑」
復讐者「もういいんだな」
未来「わぁ、殺気がビシビシ痛ぇや。
・・・でも、そぅだな。そろそろ始めよーか。ちとこの場に長居し過ぎたからの」
強く、より強く、左手に持っているペンダントを振り回した。
それを見て、ディックは何かを確信したように冷や汗を流す。
ディック「やっぱり・・・そうなんだね」
瑠璃「?ディック・・・?」
ディック「やっぱりそのペンダントは、〈この世に災厄を齎すもの〉だ・・・」
一同「!」
リーチェ「あれも・・・ですか」
希「(どうしてそのペンダントだけ風花が持っているんだ・・・?)」
ディック「もしかしてそれ・・・この1ヶ月、ずっと未来が?」
未来「・・・だったら何だ?」
ディック「あり得ない。だってそれは、」
未来「おいおい、じゃぁ今お前の目の前であり得てることは何なんだよ。
それがあり得てなきゃ、今日が来ることはなかったんだぜ?」
ディック「・・・・・・」
リボーン「何の話だ?」
未来「今は知る必要のねぇ話さ」
海斗「未来さん・・・あなたは一体、何を」
未来「何度も言わせんな。今は知る必要のねぇ話だ。
始めてくれ、復讐者(ヴィンディチェ)」
復讐者「勝負の内容は〈宝探し〉―――」
瑠璃・紗那「「え・・・?」」
洋一「は・・・?」
イーラ「宝探し・・・?」
ツナ「それって、どーいうこと・・・?」
復讐者「風花未来が持っているそのペンダント以外の6つの〈災厄を齎すもの〉は、この校舎内のどこかに散りばめた」
リン「つまりフィールドは校舎内全て。勝利条件は散りばめられた〈災厄を齎すもの〉を全て手に入れること・・・ってとこかな?」
洋一「なるほど。だから宝探しなんだな」
翡翠「あれ?でも、示すのは力って話じゃなかったっけ?」
復讐者「―――〈悲劇〉は再び繰り返される」
未来「(また・・・その言葉?)」
ディーノ「何が言いたい?」
復讐者「確かに勝利条件は〈災厄を齎すもの〉全てを手に入れること・・・。原則として、校舎内から出た者は失格とする。
それ以外に守るべきルールはない」
トゥーナ「にゃるほど〜」
ガイオ「益々面白いな」
瑠璃「?どーいうこと?」
希「相手が・・・全部、集める、前に奪う・・・・ことも出来る、って・・・ことか」
海斗「奪い合い自由・・・ということは、そこで戦い合うこともあり得るね」
リン「それが力を示せっていう意味・・・。しかも、相手を死なせたら失格っていうルールもない」
瑪瑙「至れり尽くせりなルールだな」
イーラ「本格的な殺し合い・・・」
ガイオ「俺達好みだ」
ツナ「殺し合うなんてそんな・・・」
獄寺「シャレになんねぇ・・・」
ディック「待って。〈災厄を齎すもの〉全部ってことは・・・今、未来が持ってるペンダントも校舎内のどこかに隠すってこと?
そんなことしたら、」
未来「安心しろって、そーいうことにはならねぇから。
俺はさしずめ〈動く宝〉ってとこかな?そうだろ、復讐者(ヴィンディチェ)?」
彼女のその問いに、説明をしていた復讐者(ヴィンディチェ)はコクリと頷く。
紗那「動く宝って・・・?」
未来「俺自体が宝ってことだよ。だって、〈災厄を齎すもの〉を封印出来るのも死神ピエロであるこの俺、使い方を知ってるのも俺だけだからな」
紗那「え、でもそれって・・・」
〈災厄を齎すもの〉は〈神器〉ではないのか・・・。
紗那の言いたいことが分かったのか、未来はフッと微笑して口を開く。
未来「このペンダントだけは違ぇんだよ」
瑠璃・紗那・洋一「「「えっ・・・!?」」」
海斗・希「「!?」」
未来「だから助かった・・・って感じかな?」
海斗「それはどういう、」
どういう意味だ、そう問おうとすれば未来はその言葉を遮るように続けて言う。
未来「まぁ、俺も〈災厄を齎すもの〉をコンプリートさせねぇために抵抗はするけどな。
あ、でもそれ以外は一切手ぇ出さねぇから心配すんな」
ゼロ「?あなたはヴェスパ側では?そうだとすれば公平とは言えません、と私は率直な感想を述べます」
未来「おいおい、俺がいつ7人目の代理だっつったよ?」
紗那「え・・・?未来じゃないの?」
未来「俺は〈動く宝〉だ。どっちのチームが相手でも抵抗しますとも。
そいじゃ、そろそろ行かせてもらうよ。幽霊の如く校内を徘徊してやりますよ(笑」
ヒラヒラと右手を振って、彼女は一足先に校舎の中に入って行く。
残された者達は呆然とその背を見送っていた。
瑠璃「未来じゃないなら・・・7人目って誰なの?」
洋一「まさかのコルパとか?」
瑠璃「まさか過ぎない?」
リン「考えても仕方ないよ。あいつ等ディスペラーレを殺る邪魔にさえならなきゃ、俺は誰でもいいし」
リボーン「ところで、俺達は観戦出来ねぇのか?」
復讐者「校内の各所に小型カメラを設置している。大型ディスプレイは校舎裏だ。見たければ、そこに行けばいい。だが、」
マーモン「勝負の邪魔はするな、だね」
瑠璃「意外にちゃんとそこまでしてくれてるんだね・・・(苦笑」
復讐者「戦う者達には、この携帯端末機を」
復讐者(ヴィンディチェ)の手から渡されるソレに、瑠璃達だけでなくディスペラーレの7人も訝しげな顔をする。
その端末には校舎内の見取り図が映っていた。
瑠璃「これ・・・必要?」
復讐者「ただの見取り図ではない。お前達が校舎に入ると同時に、自分達の位置情報が赤い点となり現れる。
もっとも・・・分かるのは、味方の位置情報のみだがな」
瑪瑙「味方がどこにいるか一目で分かるということか」
翡翠「これなら合流して、いつでも作戦を練れるね」
希「・・・1つ、質問・・・・だ」
復讐者「何だ」
希「もし・・・〈災厄を齎すもの〉を、全部、揃えられずに・・・・両チームが・・・全滅したら・・・・どうなる?」
復讐者「その場合は去った者のものとなる」
海斗「去った・・・?」
紗那「それって・・・?」
復讐者「―――死神ピエロだ」
一同「!?」
ガイオ「どういうことだ」
イーラ「そんなの納得出来ない」
トゥーナ「にゃーんでそんにゃことににゃっちゃうのかにゃ?」
ゼロ「その回答には私も疑問の意を唱えます。
ヴェスパファミリーに返還されるならまだしも、本来の所有者でない彼女が受け取るというのは理解出来ません。
適切な回答を要求します」
復讐者「・・・異存はあるか、ディック・シルバ」
抗議をするディスペラーレの連中を無視し、ヴェスパファミリーの6代目ボス候補である少年に尋ねる。
問いかけられたディックは最初は驚いていたが、質問の意味を理解して黙って顔を伏せた。
瑠璃「ディック・・・?」
ディック「・・・僕達ヴェスパの中にも・・・・いつ異端が出るか分からない。
いつ、あの〈災厄を齎すもの〉に飲み込まれるか分からない・・・」
XANXUS「・・・?」
ディックのその言葉を聞いて、彼は昨夜未来が去り際に言ったことを思い出した。
未来「〈希望〉なんて俺にはねぇ、だから俺は飲み込まれずに済んだ。
〈絶望〉しか俺にはねぇ、だから俺は押さえ込むことが出来た」
XANXUS「・・・・・・」
ディック「だから・・・僕個人の意見としては、未来に・・・・持っていてほしいと思う。
それは凄く無責任で、未来を苦しめるだけかもしれないけど・・・」
リン・雲雀「「、(ピクッ」」
スクアーロ「だとぉ?」
ツナ「風花さんを苦しめる・・・?」
海斗「あなたは何を知っているんですか」
ディック「ごめん。それは言えないんだ。そのことは・・・昔からヴェスパの次期ボスになる人にしか教えないっていう掟だから・・・・」
ガイオ「フッ・・・掟、か。伝統や格式、ファミリーの裏歴史や業を重んじるマフィアらしい言い訳だな」
そう言った時だけ、何故か彼は険のある表情になった。
だが、すぐにその表情を消し去り、ガイオは不敵な笑みを浮かべる。
ガイオ「けど、いーのか?俺がこう言うのもなんだけど・・・あんな得体の知れない奴に〈災厄を齎すもの〉を渡して」
トゥーナ「どうか〜ん」
ガイオ「あいつはヴァリアーのスパイで、ディック・シルバ・・・お前をずっと騙してたんだぞ?
お前に近付いて、〈ユピテル〉や〈災厄を齎すもの〉の情報を引き抜いて、お前等ヴェスパが守ってきたものを盗んで逃げた。違うか?」
ディック「確かに、未来の目的は、未来が何をしようとしてるのかは僕には全く分からない。
分からないけど・・・少なくとも、〈災厄を齎すもの〉を悪用しようとは考えてないと思う。
あれがどういうものなのか、未来は理解してるはずだから・・・」
瑠璃「そりゃそーだよ!」
紗那「うん。未来が悪用なんて・・・そんなこと絶対にするはずない」
希「、」
クローム「あの人はこの世界を―――壊そうとしてるから」
希「(どっちが正しいんだろうな・・・)」
敵か味方か、味方か敵か・・・。
世界を救うヒーローか、世界を破壊する魔王か、それともそのどちらでもない存在なのか。
希がそんなことを考えていると、ガイオがディック達に向かって言った。
罪を裁く、断罪者のように・・・
ガイオ「それは世界中のマフィアを無差別に襲撃したあいつでも・・・か?」
瑠璃・紗那「「っ・・・!」」
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