Ver.黒曜・リング編
□晴の守護者戦
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ツナ「お・・・お兄さんのパンチが・・・・」
ルッスーリア「うぎゃあああ!!!」
ツナ「決まった!!!」
ルッスーリア「う・・・嘘よぉ!メタル・ニーが砕かれるなんて!!」
瑠璃「ルッスーリアさん・・・」
マーモン「勝負あったね。ルッスーリアにはもうあのパンチを防ぐ術がない」
希「だな・・・」
ベル「笑かすよな、あの変態」
コロネロ「右拳が光って見えたぜ。よくやったな了平、コラ。
さぁ、帰るぜ、京子!」
花「な・・・何なのこの赤ん坊!!」
京子「コロネロ君!」
コロネロは京子の腕を引っ張って行く。その後を花が追っていった。
ルッスーリア「・・・う・・・・うう」
了平「緊張感のあるいい戦いだったぞ。さぁ、リングを渡してくれ」
ルッスーリア「!イヤッ、イヤよ!」
了平「!?」
ルッスーリア「私はヴァリアーよ。片足だって勝ってみせるわ!楽勝よ!!おほほっ」
洋一「・・・っ」
ツナ「凄い執念だ・・・!!」
リボーン「ちげーぞ」
ツナ「!?」
ルッスーリア「さぁ、いくわよ!!続けるわよ!!早く!!」
了平「!?・・・・・?何を焦っているのだ・・・」
笹川さんの言う通り・・・ルッスーリアさん、どうしてそんなに?
洋一「お前等は見ねぇ方がいい」
瑠璃・紗那「「え・・・?」」
洋一がうちと紗那の頭を抱えて、自分の胸に押し付けてくるの。
・・・知ってる。うちは、知ってる。黒曜のあの事件で、もう知ってる。
洋一がこうやってうち等の目を隠すのは決まって・・・
どんっ
ドギャッ!!
決まって・・・―――誰かが〈死〉に近付く時なんだ。
海斗「!!」
希「っ、」
マーモン「やる時はやる。さすがはボス補佐だね、ゴーラ・モスカ」
モスカ「フシュー・・・」
紗那「え、何・・・?」
瑠璃「ねぇ、洋一・・・ルッスーリアさんは、どうなったの?」
情けないぐらい、自分の声が震えてるっていうのが分かる。
顔も、きっと血が引いて青くなってると思う。
洋一「・・・っ」
瑠璃「ねぇったら!!」
洋一「見なくていいっ・・・!特に、お前は」
瑠璃「!」
あぁ・・・やっぱり、そーなんだね。
今の音は・・・ルッスーリアさんが、
ギュッと洋一の服を掴んでたら、耳にツナ達の会話が入ってきた。
ツナ「あいつ・・・味方を!!」
山本「どーなってやがる・・・」
リボーン「弱者は消す。これがヴァリアーが常に最強の部隊である所以の1つだ。
ルッスーリアは、それに恐怖して動揺していたんだ」
瑠璃「!!」
了平「おい!しっかりしろ!」
チェルベッロ「近付かないでください」
了平「何いっ」
チェルベッロ「たった今、ルッスーリアは戦闘不能とみなされました」
チェルベッロ2「よって晴のリング争奪戦は笹川了平の勝利です」
了平「・・・・・・」
○視点なし○
チェルベッロ「今宵の勝負はこれで終わりますが、今回より決戦後に次回の対戦カードを発表します」
ツナ「え・・・!!もっ、もう分かっちゃうの〜〜〜!!?」
スクアーロ「う゛お゛ぉい!次は俺にやらせろぉ!」
チェルベッロ2「それでは発表します。明晩の対戦は・・・」
ツナ「、(ゴクリ」
チェルベッロ2「雷の守護者同士の対決です」
レヴィ「!」
ツナ「雷ってランボじゃん!!こいつ戦えんの〜!!?」
チェルベッロ「それでは明晩、お会いしましょう」
チェルベッロは去って行き、リングの回りにあった柵が倒れる。
リングは煙に包まれ、その煙の中からルッスーリアを担いだゴーラ・モスカが現われた。
ゴーラ・モスカは了平に晴のハーフボンゴレリングを飛ばし、他のヴァリアーと共に去って行く。
ただ、瑠璃達5人だけはその場に残っていた。
紗那「結局最後・・・どうなったの?」
希「知らなくて・・・いい」
海斗「・・・ちょっと僕、沢田さん達に聞いてくるね」
希「聞く・・・?」
海斗「リンさんとディックさんのことを」
4人から離れ、彼は1人向こう側にいるツナ達の方へ行く。
海斗「こんばんは。お互い後味の悪い最後でしたね」
獄寺「!テメェ、何しに・・・!」
即座にダイナマイトを構える。
海斗「あなた達と遊ぶつもりはありませんよ。
僕はただ、何故今日はリンさんとディックさんがいないのかを尋ねにきただけです」
リボーン「ヴァリアー側のお前にどうしてそれを言わなきゃなんねぇ?」
海斗「ただの好奇心に、どっち側という問題はあるんですか?」
ツナ「あ、えと・・・リンは俺達の応援には行けないって言ってて、ディック君は自分のファミリーに色々連絡があるとかどうとかで・・・・」
海斗「そうですか・・・」
海斗「(まぁ、リンさんには明日聞けばいいか・・・)」
海斗「ありがとうございます。では、僕はこれで」
ツナ「あっ、ちょっと待って!」
海斗「・・・何か?」
ツナ「篠原君達は・・・本当に、ヴァリアーなの?」
海斗「昨日の晩にも言ったはずですけどね。この隊服を着ているのが何よりの証拠になると思いますけど・・・」
ツナ「じゃあ、じゃあ何で俺達と一緒に黒曜で戦ってくれたの?」
海斗「僕は1度だって、あなた達の為に戦ったことはありませんよ」
ツナ「!!」
冷たいその言葉にツナは萎縮する。
彼の表情は、彼の言葉は一種の鋭さを持っていた。
海斗「僕が・・・僕の戦う理由は1つしかありませんから。
あなた達の為に戦ったつもりもなければ、あなた達を助けたつもりもないです。
任務の為に、あなた達と慣れ合っていただけ。だって・・・観察をしている人間に、死なれても困りますからね」
クスッと不敵な笑みを浮かべ、瑠璃達の許へ戻って行く。
希「海斗・・・どう、した?」
海斗「何が?」
希「いつに、なく・・・苛立ってる」
海斗「(苛立ってる?僕が?)」
海斗「そんなわけ・・・」
そんなわけない、そう言おうとすれば希に額を指でポンッと突かれる。
彼は相変わらずの無表情無感情で、海斗に言った。
希「昔みたいに・・・なってる」
海斗「!」
希「お前も・・・さっきのが、堪えたんだな・・・・」
海斗「・・・・・・」
さっきの、というのはルッスーリアがモスカに撃たれた時のことだろう。
海斗は口をへの字に曲げ、突かれた額を擦って顔を逸らす。
希「眠い・・・。そろそろ・・・・帰ろう」
紗那「うん、そうだね」
洋一「東雲、大丈―――!」
未だ自分の服を掴んでいる彼女を見て、微かに目を見開く。
それは、服を掴む彼女の手が震えているのもあったからかもしれない。
だがそれ以上に、唇を噛み締めて必死に泣くまいとする彼女の姿が彼の胸を痛ませた。
実際に見ていないとはいえ、自分の師匠が仲間にやられたのは彼女にとって衝撃的だったのだろう。
彼女の心中を察し、洋一はあやすように瑠璃の頭をポンポンと軽く撫でる。
洋一「ルッスーリアなら大丈夫だ。重傷だけど、すぐに目を覚ます。これ以上、酷いことはされねぇ。
それでも耐えられねぇって言うなら、家に帰ってもいい。俺達も・・・俺も、ちゃんと傍にいる」
瑠璃「・・・うう、ん。うちなら・・・・大丈夫だよ。
ちゃんと・・・見守るって、決めたから。だから、
―――泣かないよ」
震える声で、彼女は小さくそう言った。
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