Ver.黒曜・リング編

□晴の守護者戦
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ゴミ溜めのような場所にいた―――。


鼻につく腐敗臭、目に映る全てが汚い灰色の世界・・・




ゴミ溜めのような場所にいた。


リサイクルの出来ない、使い物にならない、いらなくなって誰からも見放されたものが最後に行き着く場所・・・




ゴミ溜めのような場所にいた。


そこにはたくさんのゴミが集った・・・




ゴミ溜めのような場所にいた。


ゴミは次第に蛆虫のように増えていった・・・




ゴミ溜めのような場所にいた。


集ったゴミはとうとう溢れ返った・・・




ゴミ溜めのような場所にいた。


ゴミは・・・ゴミは、―――燃えた・・・




ゴミ溜めのような場所にいた。


残った〈2人〉は不燃ゴミだった・・・




ゴミ溜めのような場所にいた。


残った不燃ゴミは―――・・・










――――――
――――――――――
――――――――――――――









ガチャッと音をたて、バルコニーに通じていた窓が開く。

見えない〈ナニカ〉がそこから部屋の中へやって来た。







「気配は消してたつもりだけどなー」







窓が閉まるのと同時に、声が響いた。



XANXUS「なさ過ぎて逆に不自然だ。・・・ワザとだろ」



「アハハ」



  バサッ



着ていた何かをはぎ取るような音が聞こえ、例の如くその場に〈彼女〉が現れる。



未来「それは買い被り過ぎじゃ」



左手に持っている〈ナニカ〉をソファーの上に置き、右手同様に左手もポケットの中に突っ込む。

そしてニッコリと笑顔を浮かべXANXUSを見る。



未来「どーも初めまして。ヴァリアーの所有物の未来どぇす」


XANXUS「フンッ、カスが」


未来「まーまー、そんなしかめっ面しなさんなって」



宥めるように言う一方で、彼女は可笑しそうにケラケラ笑っていた。

が、その笑顔も一瞬で消し去り、変に演技がかった肩の竦め方をして言う。



未来「いやぁ、しっかし変な気分だねぃ。知り合いのクソ真面目過ぎる会話を聞くってのは」



そう、彼女は全て聞いていた。

先程の海斗と希の言葉を、全て・・・



未来「こーいう時はフツー喜ぶべきなのか、はたまた悲しむべきなのか・・・。そーいう感情は俺にはちぃっとよく分かんねーな」



軽く失笑したかと思うと、彼女は窓の方を見て少し顔を歪める。

ため息を吐き、ポケットから左手を出す。


その左手には、黒い宝石のついたペンダントが握られていた。



XANXUS「・・・?」



訝しげに見てくる彼を無視し、未来はそのペンダントをブンブン振り回して回転させる。

振り回すという行為自体に意味はないのか、彼女はそのまま言葉を続けた。



未来「あらゆる残酷な空想に耐えておけ。現実は突然、無慈悲になるものだからな。いつか来る・・・別れ道に備えて―――

んぅ〜、H×Hのドキドキ二択クイズを思い出すな(笑」


XANXUS「用件は何だ」


未来「別に大した用じゃねぇよ。ただ挨拶のついでにちょっとしたことを・・・な」


不敵な笑みを浮かべる。


XANXUS「聞かせろ」


未来「計算が狂ったというか何と言うか・・・色々とメンドーなことになっての。わしにゃもぅ時間がねぇんだ。

だから、ボス・・・俺と









―――取引でもしねぇか?」






笑う、彼女は笑う。


怪しく目を光らせて、艶やかに笑う。













   ◇  ◇  ◇













ルッスーリア「私の晴れ舞台だっていうのに〜」


マーモン「欠席みたいだね」


洋一「まぁ、しゃーねぇだろ(苦笑」


スクアーロ「あの男が他人の戦いに興味あるわきゃねぇ・・・」


レヴィ「!(ピクッ」


スクアーロ「そもそも奴の柄にもねぇようなこんなセコイ勝負受けねぇで俺に殺らせればいいんだ」


レヴィ「、(睨」


スクアーロ「あんなガキ共、5秒で掻っ捌くぜぇ・・・」


レヴィ「、(睨」


スクアーロ「って、う゛お゛ぉい!いつまで睨んでんだぁ!?(怒」


ベル「なんかガン見してる奴いるんだけどマーモン」


マーモン「分かってるよ。あいつ守護者でもないのに・・・」


紗那「あいつ・・・?」


瑠璃「あ、ホントだ。リボーンがメチャクチャ見てる」



もしかして、うち等が裏切ったっていうかスパイだったから怒ってる・・・とか?



マーモン「見物料ふんだくってやりたいよ」



チェルベッロ「それでは晴の守護者、リングの中央へ来てください」



ルッスーリア「遊んでくるわねー」


マーモン「楽しませてもらうよ、ルッスーリア」


スクアーロ「とっとと殺れぇ」


瑠璃・洋一「「(応援し辛いな〜・・・)」」



ルッスーリアさんは師匠だから応援したい、だけどその相手は笹川さんだから・・・どっちも応援出来ないよ。


うちは去年のマフィア学校の決定戦の時みたいに、ただ・・・見守ることしか出来ないのかな?



ぼんやりとそんなことを考えてたら、リングを挟んだ向こう側でツナ達が円陣を組んでるのが見えた。



了平「了平ー、ファイッ!!」


山本「オー!!」
ツナ「おー・・・」
獄寺「・・・・・・」



洋一「あいつ等らしーな」


瑠璃「うん、そうだね」



あぁ・・・いいなぁ、あーいうの。

ヴァリアー側であることが不満ってわけじゃない、だってこっちはこっちで楽しいし。


だけど・・・そうだね。あっち側にもいたから、あっち側でも楽しい思いをいっぱいしたから、そういうことを思っちゃうんだと思う。



リングに上がって行くルッスーリアさんと笹川さんを見れば、2人共緊張とかは一切してないみたい。

なるべく2人が傷付きませんように・・・そう願って、うちはそっと瞳を閉じた。



チェルベッロ「間違いありません。正真正銘の晴のハーフボンゴレリングと確認しました。

リングは原則として首から下げることとします」


チェルベッロ2「そして相手を倒しリングを奪った者が勝ちです」


ルッスーリア「!あらぁ?んまぁ。よく見りゃあなたいい肉体(からだ)してるじゃない!好みだわぁ〜Vv」


了平「何!?」


ルッスーリア「お持ち帰り決定Vv」


了平「何を言っている!」



紗那「?笹川さんもヴァリアーに入れるってこと?」


洋一「いや、そーいうんじゃなくて・・・(苦笑」


瑠璃「コルパさんの次は笹川さんかぁ・・・」


マーモン「滅多にいないよ。ルッスーリアのお眼鏡に叶う奴なんて・・・」


レヴィ「あのガキ・・・。ついてないな」



了平「さっきから何を言っているか分からんが、俺は正々堂々戦うだけだ」


ルッスーリア「んまぁ、そのポーズはボクシングかしらVv

またいけてないわね〜」


隊服を脱ぎ捨て、彼女・・・否、彼も構える。


ルッスーリア「このルッスーリアが立ち技最強のムエタイで遊んであげる」


了平「何ぃ・・・!!」



瑠璃「格闘家同士の戦い・・・」



そしてボクシングとムエタイの戦い・・・。

本当に、どっちが強いんだろ?


なんて考えてたら、うちの耳に向こうにいるツナ達の会話が聞こえてきた。



リボーン「やはり、ヴァリアーも晴の守護者は格闘家か」


ツナ「やはり・・・?」


リボーン「歴代のファミリーを見ても、晴の守護者は皆強力な拳や足を持っていた。

ファミリーを襲う逆境を自らの肉体で砕き明るく照らす日輪となる、それが晴の守護者の使命だからな」



チェルベッロ「では晴のリング、ルッスーリアVS.笹川了平。バトル開始!!」







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