Ver.黒曜・リング編

□Catastrophe
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未来「お前は皆についててやれ。特に海ちゃんと如月は重傷だからな」



外で、医療班に運ばれて行く皆を見ながら隣で暗い顔をしてる紗那に俺は言う。


泣き腫らしたその目はどこも見てねぇし、俺が言ったことも全く聞いてねぇんだろうな・・・。

俺は小さくため息を吐く。



未来「ごめんなー、俺、今ケッコー酷ぇこと言うぞ。


お前が何も出来なかったのは、お前にあいつ等を止めるだけの力がなかったからだろ。お前は無力だ。

そんなんで自分の思う通りに何もかも上手くいくわけねぇだろ」



紗那「っ・・・!」



未来「悔しかったら強くなれ。お前は今の自分を後悔出来る程、自分で自分を傷付ける程強くねぇ」



俺は1歩前に出て、紗那に向き直る。


そして・・・昔からずっと思ってたことをこいつにぶつける。



未来「お前はいつまでも待ってるだけじゃなくて、いつまでも人の後ろにくっついてるだけじゃなくて、いい加減・・・





―――自分の足で歩き出せよ」






紗那「!!」


未来「言いてぇことはそれだけだ。皆のこと頼んだぜ」


そのまま何処かへ行こうとする。


紗那「ちょっ・・・ちょっと待って。未来は・・・・?未来もケガしてるでしょ?」


未来「こんなの掠り傷だよ。びょーいんに行くまでもねぇ。それに・・・」


紗那「それに・・・?」


未来「俺にはまだ、やることがある。

まだ、やらなきゃいけねぇことがある」



背中を向けたまま紗那にそう言って俺は歩き出す。


そしたら今度はリボーンが目の前に立ち塞がっていらっしゃったよ。

あり?まだツナってば筋肉痛になってねぇの?



リボーン「随分ハッキリ言うんだな」


未来「聞いてたのかよ・・・」


リボーン「確かにお前の言うことは正論だ。だが、谷垣が強くなる必要はあるのか?」


未来「あるに決まってんだろ。特にこれからはゼッテーな。

いつも皆があいつを守れる可能性なんてねぇ。なら、自分の身ぐらい自分で守れるぐれーにはなってもらわねぇとだろ?」


リボーン「そうか・・・」


未来「ああ。やっとだ、やっとあいつが自分から前に進もうとしたんだ。この機会を逃しちゃいけねぇよ」


リボーン「・・・それが、」


未来「?」


リボーン「それがお前が手出ししなかった理由か?」



その問いに、俺は「う〜ん」と唸って考えてみる。

さて、どー答えようかな。


いつもの笑みを浮かべて、俺は言葉を紡ぐ。



未来「まぁ、それもあるっちゃあるけどな。


実を言うと、俺は皆があのナッポーに傷付けられたことで腸煮えくり返りそうになっていたのですよ。

だけどツナの成長の為にその気持ちを押し付けて、あぁやって見守ることにしたのです」



リボーン「どこまでがウソで、どこまでが本当のことだ?」


未来「ヤダなぁ。全部ホントのことだよ」



ホントのことだけど、それを全部言ってるわけじゃねぇってだけだ。

原作の話なんて、言えるわけねぇからな。



リボーン「最後に1つ聞いてもいいか?」


未来「どーぞ、どーぞ。俺が答えられるものならな」


リボーン「単刀直入に聞く。お前は・・・








―――死神ピエロか?







未来「、」



自分の笑顔が固まってるっていうのが分かる。


まさかここで、その質問がくるとは俺も思ってなかったよ。



いつもの笑みを微笑に変えて、黙って答えを促してるリボーンの目を真っ直ぐ見る。



未来「否定はしねぇよ」


リボーン「なら、」


未来「かと言って、肯定もしねぇ」



リボーンの言葉を遮ってそう言えば、リボーンはタレ眉をピクッと寄せる。

その反応が可笑しくてクスクス笑ってたら・・・



ワォ、銃を向けられちゃったよ☆



リボーン「真面目に答えやがれ」


未来「真面目に答えたさ。ウソは何も言ってねぇ」


リボーン「・・・・・・」


未来「次は俺のちょっとした頼みを聞いてもらおうかな」


リボーン「・・・何だ」


未来「紗那を沢田家で一旦預かってくれ。

風紀委員長がいねぇってことで、風紀の仕事が忙しくなって多分・・・俺は家に帰れそうにねぇからな」


リボーン「分かったぞ。ママンに言っといてやる」


未来「それと・・・も1つ、


―――死神ピエロのことは、皆に言わねぇでくれ」


リボーン「9代目やディーノにじゃなくて、あいつ等にか?」


未来「どーせ9代目達は気付いてんだろ。だから、そっちは別にいい。


じゃーな。頼んだぜ、リボーンさんや」



軽く手を振って俺は歩き出す。




ポーカーフェイス気取ってるけど、さっきのリボーンの質問・・・ちょっち不愉快だったりするんだぜ?




未来「俺をあんな奴(死神ピエロ)と一緒にするな・・・」



黒曜ランドの敷地から出て、俺は旧道を歩く。

スカートのポケットからケータイを取り出して、番号を打ち込む。


それはアイツに繋がる番号・・・



未来「おい、クソ神」


神『相変わらず口が悪いな、お前は・・・(呆&苦笑』


未来「今分かったことじゃねぇだろ。無駄話してる暇ねぇんだ、余計なことは言うな」


神『いつも余計なことを言ってるのはお前達の方だと思うけどな・・・。


で、今日は何だ?光の粒子が3つ出てきたから、3人は〈脱落〉したんだろう?』


未来「それはどーでもいい」


神『どうでもいいって、お前な・・・(呆』


未来「もっと重要なことが聞きてぇんだよ」


神『重要なこと?』



俺は息を軽く吸って、言葉を続ける。


その声は自分でも驚く程低くて、驚く程重かった。














未来「―――何でウソをついた」










神『・・・・・・』


未来「俺はもぅ知った。もぅ全部知っちまったんだよ」


神『・・・ああ、そうだな。お前なら辿り着けると思ったよ。お前なら、辿り着いてくれると思ってた』



「ふざけんな」って思った、だけどその言葉は喉から出てこない。


言いたいことはもっとたくさんあった、だけどその言葉は全部飲み込んだ。


今は情に流されてる場合じゃねぇ、怒りを表に出しちゃいけねぇ。

これからの為に、この怒りは取っておかねぇと。



だから俺は別の言葉を口にする。



未来「お前や他の誰かの手の上で踊らされててもいい。

踊らされてても、俺は自分の意思で自分のやりてぇようにやる。





―――誰にも口出しはさせねぇ」




神『未来・・・お前は、』


未来「話はそれだけだ。全部終わったら、またかける」



クソ神の言葉を遮って、俺は通話を切る。


今は何も聞きたくねぇ。誰の言葉も聞きたくねぇ。

半端な言葉をかけられてもメンドーなだけ、真摯な言葉をかけられてもウゼェだけ。



決意も覚悟もとっくに出来てんだ。











未来「俺を止めたきゃ、同等の決意と覚悟を持って止めにきやがれ」







どこまでも澄み切った憎らしい青空を見て・・・俺は、







未来「ま、それでも俺は揺るがねぇけどな」













俺は笑ってそう呟いた。











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