Ver.黒曜・リング編

□Catastrophe
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○未来視点○


未来「ハァ・・・」



ソファーの上にいる紗那の嗚咽を背中で聞きながら、俺は小さく聞こえねぇ程度にため息を吐く。



結局選べなかったか・・・。


それとも追い込み過ぎたか、1歩踏み出させるのはまだちと早過ぎたのか・・・



未来「(ま、どっちにしろ選べなかった事実に変わりゃしねぇんだけど・・・)」



勿論、俺は原作を変えるつもりもなきゃ、この〈REBORN!〉の世界を壊すつもりもねぇ。

なのに紗那にあんなことを言うなんて・・・矛盾してるだろ?


まぁ、あれだよ。俺にも色々と考えというものがあるのですよ。





・・・あ、そーいやナッポーの奴に紗那の笑顔守れとか言われてたっけ?


それを逆に泣かせたってことは・・・アハハー、ナッポーが戦いに集中してくれててよかった☆



とか思ってたら、今まで泣いてたはずの紗那がソファーから下りて、舞台からも降りようとする。

ありり・・・?



未来「選んだのか?」


紗那「・・・・・・」



俺がそう聞けば、紗那は舞台から降りた。


ワォ、無視ですか?

俺ほんの少し傷付いたよ。あくまでほんの少し。


脅したから嫌われたかな、とか考えてたら俺に背を向けながら紗那が言う。



紗那「――――もいい・・・」


未来「ほへ?」


紗那「皆に恨まれてもいい、嫌いになられてもいい、絶交されてもいい、それでも・・・!

それでもやっぱり私は・・・





私の友達同士が傷付けあうところなんて見たくない!!」






未来「だから止める・・・か」


紗那「分かってる、人の為じゃなくてこんなのは自分の為だって!

分かってる、こんなのはただのワガママだって!


分かってても、私はやる!!」



未来「そっか・・・」



ちゃんと選んだんだな・・・。

ちゃんと、選ぶことが出来たんだな・・・



未来「なら俺はお前の意見を尊重しよう。

邪魔はしねぇ、恨みもしねぇ、絶交もしねぇ。


ここにいる皆がお前を責めても、俺だけはお前の味方になってやる」



それが俺の望んだことであって、俺が考えてたことだからな。

どっちを選んでも、俺には何の問題もなかったよ。



未来「さぁ、そぅと決まればさっさと行ってこい。お前の望む未来へ向けて一直線だ」


紗那「うん・・・。未来、」


未来「何じゃらほいほい?」


紗那「―――ありがとう」


未来「礼を言われるよーなことは何もしてねぇけどな(笑」



軽く笑って俺がそう言うと、紗那はツナと骸に向かって駆け出す。


今の俺、巣立つ雛を見た母鳥の心境だな(笑



ま、俺はホントにお前に礼言われるよーなことは何もしてねぇんだよ、紗那・・・。

むしろ逆、お前に・・・お前等に怒られるよーなことをいーっぱいしてるし、これからもいーっぱいするんだ。









だからきっと・・・皆から恨まれるのは俺の方なんだ。









未来「アハハ・・・バカだなぁ、俺」



でも、後悔はしてねぇよ。後悔なんてしねぇよ。後悔なんてしてやらねぇよ。


テイルズのユーリじゃねぇけど・・・



未来「俺はもぅ選んだんだ」





茨の道〉というやつをな・・・





未来「だからお前〈〉には強くなってもらわにゃいかんのよ・・・(ボソッ」






そんな俺の呟きは、ツナと骸の間に割り込んだ紗那の大声によってかき消される。












   ◇  ◇  ◇











骸「―――だが手始めは、やはりマフィア・・・。マフィアの殲滅からだ」


リボーン「何故マフィアに拘る?」


ツナ「恨みか」


骸「おっと、これ以上話すつもりはない。君は、僕の最終形態によって僕のものになるのだから」





紗那「(待って・・・!戦わないで!)」



戦いが一旦止まって骸君達が話してる時、私は舞台から走り出してた。


ツナ君に向かって何かをしようとする骸君。私はそんな2人の間に両手を広げて入る。



紗那「止めて!!もうこれ以上、傷付けあわないで!!」



骸「!」
ツナ「谷垣!?」


リボーン「・・・・・・」



皆が驚いて私を見るのが分かった。だけど今の私は、そんなの気にしてられない。

深く深呼吸をして、私は言葉を続ける。



紗那「ツナ君が・・・皆の為に戦ってるっていうのも分かる。

骸君が・・・私達には分からない何か特別な理由の為に戦ってるっていうのも分かる。


それでも私は・・・私はね、そんなあなた達の想いを踏みにじって、あなた達2人を止める。


ううん・・・私はきっと、そんなに上手く止められたりしない。だから止めるんじゃなくて、邪魔をする」


ツナ「よせ!危ないから下がっててくれ!」


紗那「知ってるよ・・・。そんなこと最初から知ってるよ。

ツナ君達もそれが分かってるなら、こんな危ないことしないでよ!」



さっき拭いたはずの涙が、またほっぺを伝って床に落ちた。


こんなの小さい子のダダと同じだよね・・・。

2人を困らせてるだけ。


でもね、私はもう開き直っちゃったの。今は困らせるだけ困らせてやれって感じなの。

そうしないと、2人は戦いを止めてくれそうにないから・・・



ツナ「・・・っ!」


紗那「お願いだから、止めて・・・」


骸「・・・どいてください」



紗那「ヤダ、絶対どかない。骸君が私を突き放したように、私も突き放すよ。

私が何をしようと、あなたには関係ない。あなたに理解されなくていい、あなたが理解しなくていい」



骸「・・・・・・」



紗那「私だって・・・私だって、骸君が思ってる程いい人間じゃないんだよ」



骸「どうやら・・・そのようですね。

今ここで、あなたが僕の前に立ち塞がったことで・・・








―――僕とあなたは明確な敵同士となった」








  ブォン!



紗那「え―――」



気付いた時には、骸君が握ってた棒が私の眼前に迫ってた。

本当は凄く早い攻撃なんだろうけど、何故か私には凄くスローモーションに見える。



ツナ「!止めろ!!」



後ろでツナ君の声が聞こえたと思ったら、いつの間にか私のすぐ前にいてその棒を掴んでた。

私が何か言う前に、ツナ君は私を突き飛ばす。



紗那「まっ―――」


ツナ「リボーン、谷垣を頼む」


リボーン「ああ」



立ち上がってまた2人を止めに行こうとしてたら、リボーン君に腕を拘束されて止められる。

何で・・・?



紗那「放して、リボーン君!」


リボーン「放すとまたあんな無謀なことをするだろ?」


紗那「無謀なんかじゃない・・・!戦ってほしくないから止めるんだよ!私、何か間違ってる!?」


リボーン「いいや、間違っちゃいねぇ。けど、正しくもねぇ」


紗那「どーいう・・・」


リボーン「お前の言葉1つで止まるなら、最初っからこんなことは起こってねぇぞ」


紗那「なっ・・・!」


リボーン「ハッキリ言う。お前に骸は止められねぇ」


紗那!!」



じゃあ・・・どうすればいいの?

結局私には、





紗那「私には・・・見てることしか出来ないの?」








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