Ver.黒曜・リング編

□激突と衝突
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洋一「谷垣が攫われたぁ!?」


山本「どーいうことだよ、それ!?」



M・Mって人を倒したらしいツナ達に紗那のことを言えば、全員驚いた表情。


無理もないよね。特に山本は・・・



獄寺「つか、如月はいつの間に・・・」


希「つい・・・さっき」


リン「んーと・・・まぁ、谷垣は骸達と知り合いっぽかったから大丈夫なんじゃないかな?」


困ったような笑みを浮かべる。


瑠璃「だといいけど・・・」


リン「それより最下位は大丈夫?浅いとはいえケガはケガだよ。ちゃんと手当てしなきゃ」


瑠璃「うん、そうだね・・・。ありがと」


ビアンキ「来なさい、最下位。手当てしてあげる」


瑠璃「ありがとうございます、ビアンキさん」



近くにある岩?石?に腰を下ろして、うちはビアンキさんに手当てをしてもらう。

消毒液が染みて痛かったけど、それよりも骸に簡単に負けたっていう悔しさの方が、胸に突き刺さる。



もっと、強くなりたいよ・・・



瑠璃「(そしたら、皆を守れるのに・・・。足手まといになんかならないのに)」



涙を堪えるように、うちは唇を噛み締めた。









○希視点○



洋一「確かめてぇことは確かめられたのか、希?」



皆から少し離れてたら、洋一とリンが俺の傍にやって来た。



希「ああ・・・バッチリ、だ」


リン「最下位と違って罪悪感を一切感じてないところを見ると、ワザと谷垣を骸に連れて行かせたね」


洋一「!?そーなのか、希!?」


希「・・・さすがに、鋭い、な・・・・リンは」



飄々としてて、見てるところはちゃんと見てる。

いや、洞察力がある・・・っていうべきか。



洋一「お前・・・それ、どーいうことだよ!?」


希「その方が・・・安全、だから」


洋一「安全・・・?」


希「骸が、わざわざ・・・こんな、ところで、姿を・・・・現したのは、きっと・・・」


リン「〈参加者〉から守るため、もう1つは自分達の知り合いだと思われないため、だな」


希「2つ目は・・・気付かなかった、けど・・・・多分、そうだ」


洋一「知り合いだと思われないって・・・誰にだよ?」


リン「そりゃやっぱり復讐者(ヴィンディチェ)にだろうね」


洋一「!」


リン「知り合いだと分かれば連れて行かれる可能性も出てくる。

逆に人質だと思わせれば連れて行かれる可能性はない。そういうことだと思うよ」



鋭過ぎて逆に怖くなってくるな・・・。

リンは、本当は一体・・・どこまで考えてるんだろう。何手先まで読んでるんだろうな・・・・。



いつものは演技なのかもしれない・・・。


末恐ろしいな・・・



洋一「それならそーだって、最下位にも教えてやればいいじゃねーか」


リン「あれは自分の無力を悔いてるだけだから大丈夫じゃない?」


希「ああ・・・。それに、最下位は・・・・原作を、知らない、からな・・・」


洋一「それはそーかもしれねぇけど・・・」


リン「優しいね、洋一は。これ言うと、洋一や最下位は怒るかもしれないけど・・・

俺はぶっちゃけ骸が谷垣を連れて行ってくれてよかったと思うよ」


洋一「何でだよ?」


リン「んー?だって足手まといだし」


洋一「!そんな言い方・・・!」


希「俺も・・・そう、思ってた」


洋一「希まで・・・!何でそんなこと言うんだよ!

谷垣は風花達のことを心配したり、骸達に理由を聞こうとしてここに来たんだぞ!?」


リン「ほら、やっぱり怒った」


希「洋一は、それで・・・いいんだ。俺達と、違って・・・・な」



どこまでも優しい奴だから、皆を助けることが出来るんだ。


洋一は俺達みたいにならないし、なっちゃいけない・・・



洋一「お前等、もっと谷垣の気持ちを考え―――」


リン「気持ちだけじゃ、何も救えないんだよ」


洋一「!!」


リン「確かに凄いとは思うよ?その気持ちだけで危ないところに来るなんて、普通の人には出来ない。

だけどな、俺みたいな〈参加者〉から言わせれば・・・自分の身も守れない、戦えない人間が戦場に立つ意味はない」


希「雲雀にも・・・勝つ、風花が・・・・やられ、たんだぞ?

それだけで・・・2人を襲った、〈参加者〉の、強さは・・・・洋一も、分かってる、はずだ・・・」


洋一「っ!でも、だけど・・・!」


リン「俺は未来みたいに皆を守る、なんて言えないよ。

だからきっと、谷垣がここにいてもしものことが起こったら、あいつを守れないし助けられないと思う。



いい機会だからハッキリ言っとくけど・・・



俺は、俺の目的のために絶対〈脱落〉出来ないんだ。危なくなったら、俺はきっと全員見捨てる。それだけは覚えといてくれ」



洋一「・・・分かった。今は割り切れねぇけど、頑張って無理矢理割り切る。

けど、次にまたこーいうことがあって、リン達が守れねぇって言うなら・・・




―――俺が守る」




希・リン「「・・・・・・・」」


洋一「それなら何も問題ねぇだろ?」


リン「優しいというか・・・お人好しだな、洋一は(苦笑」


希「そうか・・・なら、





俺も・・・戦えないから、守って・・・・くれ





洋一「Σえ、それは違うくね!?ってか、希には盾があるだろ!?」


希「俺・・・戦場に、立つ意味、ない・・・・から」


洋一「いや、お前は自分の身守れるよな!?盾で守れるよな!?」










リン「(本当に・・・俺達〈参加者〉の戦いに洋一達を巻き込みたくないな・・・・)」


リン「・・・なぁ、俺はどうすればいい?」



己の右肩に手を当てて、ポツリと呟いた。



その呟きは、誰にも聞かれず空気に溶けていく。
















苦悩 と 葛藤










To be continued...
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