Ver.黒曜・リング編
□激突と衝突
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瑠璃「これで分かったでしょ?早く紗那を返して」
骸「紗那のペンダントといい、あなたのその鎌といい・・・厄介なものを持っていますね」
そいつはそう言って、紗那を近くの木の幹にもたれるように下ろしたの。
諦めた・・・ってわけじゃなさそうだね。
その証拠にどこから出したのか、長くて細い棒みたいなのが手に握られてるし・・・
骸「ならば、僕も少し本気を出しましょう」
瑠璃「・・・?」
その右目が〈一〉から〈四〉に変わったの。
もう幻覚は使わないってことかな?
とか、思ってたら・・・
瑠璃「Σわっ!?」
急に骸が棒で攻撃してきて、うちは鎌の柄の部分でそれを防ぐ。
こいつ・・・接近戦も出来たの!?
次々と繰り広げられる攻撃に、うちは防戦一方。
骸「確かにそれは恐ろしい武器だ。しかし、攻撃させる暇さえ与えなければ何も怖くはない。
それが1つ目のあなたの弱点です」
瑠璃「そんなの、言われなくてもっ・・・分かってる!!」
その為にルッスーリアさんに体術を鍛えてもらったんだから。
そう言って鎌を振るけど、簡単に避けられて逆に攻撃を受けちゃう。
瑠璃「ぐっ・・・!」
骸「2つ目の弱点は鎌を振る時にどうしても大振りにならざるをえない。
その瞬間に隙が生じてしまうので、同じ接近戦タイプを相手にするのは苦手・・・」
瑠璃「それも未来と篠原に言われたから知ってる!」
骸「3つ目は、雲雀恭弥程体術に長けていないこと」
瑠璃「それもケンカランキングで自覚済みだし!」
鎌を振れども振れども当たらない。
空振って出来た隙に次々棒で叩かれたりして、体には打ち身と切り傷がたくさん出来てきた。
でも、だからって倒れられない・・・!
骸「まだ続けますか?」
瑠璃「当たり・・・前、でしょ!」
骸「諦めの悪い人だ」
ガンッ!
向かって行ったうちは、骸の棒をお腹に喰らって後ろに吹き飛ばされた。
み、鳩尾にクリーンヒットした・・・!
瑠璃「がはっ・・・!」
地面に倒れ、血を吐いた。
瑠璃「くっ・・・そ」
骸「楽しかったですよ。君とは契約してもいいかもしれませんね」
瑠璃「(契約・・・?)」
骸が懐から何かを取り出したと思えば、ソレを棒の先端につけた。
それで、骸の本当の武器が露わになる。
その武器は・・・
瑠璃「(槍・・・?)」
三叉の槍・・・。
刃が太陽の光を受けてキラリと輝いた。
ずっと槍じゃなくて棒で相手をされてたってことは、うちは・・・手加減されてたってこと?
瑠璃「・・・っ!」
それを理解した時、凄い悔しさが込み上げてきた。
あんなに頑張って修業したのに、うちはまだまだだったってこと?
全然、強くなってなかったってこと?
悔しい・・・!
こいつにただ遊ばれてただけなんて、悔し過ぎる・・・!!
瑠璃「(こんなトロピカルな頭をした変な奴にやられるなんて・・・!)」
体を動かそうとしても、ダメージが大きかったのか動いてくれない。
その間にも槍を構えた骸はゆっくり近付いてくる。
契約っていうのが何なのかは分からないけど、よさそうなものじゃないってことは分かる。
だから槍を受けちゃダメっていうのは分かるんだけど・・・やっぱり体は動いてくれない。
瑠璃「(動け!動け!!動け!!!)」
地面の草を掴みながら、体に力を入れて起き上がろうとしてもなかなか起き上がれない。
ヤバいヤバいヤバい!!
頭の中で警鐘が鳴ってる。
骸「クフフ・・・」
頭上から聞こえてきたその笑い声に、うちはゾクッと背筋を凍らせる。
頭の中の警鐘が凄く大きく鳴り響く。
槍が振り下ろされたのか、空を切る音が嫌にハッキリ聞こえた。
それを聞いて、うちは固く目を閉じる。
ガキンッ!!
だけど、聞こえてきたのは肉に刺さるブシュッ!て音じゃなくて、硬い金属同士がぶつかり合う独特の音・・・
いつまで経ってもやってこない痛みに、うちは恐る恐る目を開けて顔を上げた。
そしたら・・・
瑠璃「・・・え?」
うちの目の前に何か大きなものが立ってて、それが骸の槍を防いでるみたいだった。
それはまるで、盾みたいに・・・
・・・ん?盾・・・・?
「間に、合って・・・よかった・・・・」
瑠璃「!」
聞き慣れたその途切れ途切れのゆっくりな声・・・。
目の前にある盾と、その声がしっかり結びつく。
真横から草を踏み鳴らす微かな音を聞いて、うちは安堵のため息を小さく吐く。
瑠璃「遅い・・・遅過ぎるよ、
―――如月」
希「色々と・・・ややこしい、ことに・・・・なってる、な」
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