Ver.黒曜・リング編
□激突と衝突
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瑠璃「紗那、どこ?」
ツナ達がM・Mとかいう女子と戦ってる今、うちは紗那を探してるの。
さっきまでは近くにいたのに、いつの間にかいなくなってたの。
気を遣って1人にしたのが間違いだった・・・!
探してるのはうちだけじゃなくて、洋一やリンもちょっと離れたところで紗那を探してる。
紗那まで襲われたなんてことはないよね・・・?
瑠璃「紗那!いるなら返事して!!」
最後に紗那を見た木の近くにやって来て、うちはそう大声で言う。
未来達の次は紗那もなんて・・・
瑠璃「そんなの・・・イヤ!」
その木の近くの辺りを見渡せば、何かが視界に入った。
何これ?薄い靄(もや)・・・?
ううん、違う。これは霧・・・・?
瑠璃「何でこんなとこに霧が?」
今日は晴れて、空は澄み切ってる。
こんな日に普通霧なんか出ないよね?
だとしたら、これは・・・
瑠璃「幻覚・・・?」
この霧で、何かを隠してるってこと?
もしかして篠原・・・?それとも、敵に幻覚が使える奴がいるとか?
瑠璃「確かめてみれば分かるよね」
うちはそっとその霧に手を伸ばす。
うん、大丈夫。ちゃんと通れるみたい。
チョーカーの鎌をいつでも戻せるように意識しながら、うちはその霧の奥にズンズン進んで行く。
少し歩いていけば、奥から誰かの声が微かに聞こえてきたの。
そして人影が2つ、その霧の中に浮かんでた。
うちがそれを視界に捉えた瞬間、1つの人影が倒れるようにもう1つの人影にもたれかかった。
何か凄く嫌な予感がする。
うちはそこへ駆け出して声を上げる。
瑠璃「紗那!?そこにいるの!?」
その声が人影にも聞こえたのか、この幻覚を出してる人に聞こえたのか、うちの目の前の霧が微かに揺らいだ。
うちはその揺らいだ霧の中に入る。それは人影のすぐ近く。
中に入ったうちが見たものは・・・
瑠璃「紗那!!それに・・・」
眠ったように瞳を閉じてる紗那と、その紗那を抱きかかえてる黒曜の制服を着た、変な頭をした男子。
うちを見て、その男子が軽く目を見開いてる。
右と左で瞳の色が違う・・・?なんか、右目の赤に〈六〉って刻まれてるんだけど?
え、っていうかこの髪型パイナップルじゃない?藍色パイナップルとか不味そう。
・・・ん?パイナップル・・・・?
瑠璃「ってか、黒曜編って何?」
未来「ナッポーが出てくる日」
確か・・・朝に未来がそんなこと言ってたよね?
黒曜編っていうのが黒曜中のことだとしたら、ナッポーっていうのは・・・この人?
あれ・・・?それで〈六〉って右目に刻まれてるってことは、もしかして・・・・
瑠璃「あの写真の六道骸は偽物?」
骸「クフフ・・・よく分かりましたね」
瑠璃「自分が本物だって・・・認めるんだね。
それより・・・紗那に何したの?未来や篠原は何処にいるの?」
骸「彼女には少し眠ってもらっているだけです。残りの2人は、僕が手を出したわけではないので分かりませんね」
瑠璃「質問を変えるね。
―――紗那をどうするつもり?」
骸「悪いようにはしませんよ。あなたがここで何もせず見逃してくれたら・・・ね」
瑠璃「そんなの・・・させると思う?」
うちが求めれば、両手に大鎌が現れる。
未来達に使うなって言われてたけど、出来ればうちもこれは使いたくなかったけど・・・そうも言ってられないよね。
瑠璃「だってここでラスボスを倒せば、全部終わらせられるでしょ?」
骸「クフフ・・・面白いことを言う。あなたにそれが、出来ますか?」
そいつの赤い右目に刻まれた〈六〉の文字が〈一〉に変わる。
その瞬間、地面から何本も火柱が噴き出してきたの。
これも、幻覚・・・
瑠璃「悪いけど、うちには効かないよ」
ブォン!
うちと紗那を抱える骸を分けるように出てる火柱に向けて、構えてる大鎌を一振りする。
そしたら・・・
骸「!?」
瑠璃「本物だろうと幻覚だろうと・・・」
そしたら、目の前の火柱はプッツリ両断されて、うちに道を開けてくれるの。
うちはその道を通って、通行の邪魔になる火柱を似たように断っていく。
瑠璃「うちには効かない」
ヴァリアーで修業してた時に知った、この大鎌の〈力〉・・・
神様(仮)が言ってた、
神「使う時を、使い方を間違えるなよ」
あの言葉の意味・・・
それはね・・・
瑠璃「うちのこの大鎌は、
うちが知覚したあらゆるものを断ち切る」
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