秘密を守れますか?

□Petrel(後編)
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瑠璃「お そ い ! ! !



何であの2人帰って来ないのーーー!!」



紗那「まだ神社にいるのかな〜?」


希「どう、だろうな・・・」


紗那「未来、ケータイの電源切ってるから電話しても意味ないし・・・」


洋一「ダメだ・・・。海斗も繋がらねぇ」


瑠璃「もう7時回ってるのに、どこほっつき歩いてるの!」


洋一「まーまー、〈参加者〉はどうにかなったんだし、あの2人もその内帰って来るだろ?(苦笑」


希「肯定」


紗那「それに未来1人じゃなくて、篠原君がいるからきっと大丈夫だよ〜」


瑠璃「だといいけど・・・」








   ◇  ◇  ◇









風花未来のその記憶は、とにかく紅い


紅い。自分の全身が紅い。それはその場所、神社の赤よりも紅い。


紅い。地面が紅い。そこに落ちている武器も、そこに倒れている人達も紅い。


全てが血で染まっていた。





神社が、処刑場に変わっていた。





血は辺りの木にまで飛び散って、凄惨な模様を描き出し、地面の砂は凄まじい量の血を吸って赤黒い泥地のようにぬかるみ、

それだけの血を提供した人間5人が、糸の切れた操り人形のように自らの血の中に倒れていた。


倒れている5人は、彼女の見知った人物。



体中に5人の返り血を浴びた幼い未来は、呆然と立ち尽くしていた。



目の前に広がる、恐るべき光景。



しかしその場所には彼女達だけでなく、もう1人・・・彼女達を笑って眺める銀髪碧眼の黒い巫女姿の少女がいた。



幼い未来「い、やぁ・・・」


少女「あなたのせいよ?あなたが悪いのよ?」


幼い未来「ぅ・・・ぁ・・・・」



5人の体を貫いた白い大蛇が、スルスルと自分の黒く変色した左腕の中に入っていった。



少女「あなたがいなければ、彼等もこんなことにはならなかった。あなたがいなければ、誰も傷付くことはなかったのよ」


幼い未来「ャダ・・・死んじゃ、ヤダ・・・・」



何とかしようと、5人の許へ向かう幼い未来を見て、銀髪の少女は笑って袖の中から黒い数珠を取り出す。

そして・・・



少女「―――蠢け、大蛇(おろち)」



その幼女の内臓を白い大蛇で潰した。



幼い未来「ぁぐっ・・・!」



血を吐き出し、地面に崩れ落ちる。


だが、それでも倒れている5人の許へ向かおうと、ズルズルと体を引き摺って手を伸ばす。



そうしたところで、何も起こらないというのに・・・



幼い未来「うぅっ・・・うわあああぁぁぁぁあああ!!!」



絶叫しながら、彼女は傍に落ちていた折り畳みナイフを掴み取り、ナイフの刃をそのまま自分の左腕に突き刺した。









――――――
――――――――――
――――――――――――――








未来「ハァ・・・」


並盛川が見える河川敷の土手に腰を下ろして、彼女は過去の記憶に沈んでいた。


未来「バカだったな、ホント・・・」



いつもしている長いブレスレットが外してあり、未来はその左腕を目の前にかざして見ていた。


そのブレスレットに隠されていた左腕には、







―――刃物で突き刺したような古傷が残っていた。







未来「(俺って奴は・・・ホントに、)」


首を軽く横に振り、外していたブレスレットを腕につけようとすると・・・






「その傷跡は何ですか」







未来「!」



  ビクゥッ!



聞こえてきたその声に、肩を跳ね上げる。


そして顔を引き攣らせながら恐る恐るギギギッと顔だけ振り返らせると、そこにいたのは案の定・・・



未来「帰って・・・なかったのか、―――海ちゃん」


海斗「雲雀さんのところに行くなんてウソはバレバレです。大体、あなたを1人にするわけないでしょう」


未来「そんなにヘタだったかな、あのウソ?」


海斗「認めましたね」


未来「ぁぅ・・・」


海斗「それより、質問に答えてください。その傷跡は何ですか」



その質問に、未来は少しどう答えるかを悩む。

そして完璧な笑みを浮かべ・・・




未来「男の勲章だ!」



海斗「分かりました。では、明日からの食事は毎日キノコを入れることにしましょう」


未来「ゴメンナサイ、ウソデス」


海斗「ハァ・・・もう1度聞きます。その傷跡は何ですか」



未来は言うべきか言うまいか迷い、悩んだ末に、開き直ったような笑みを浮かべて言う。



未来「膿(うみ)ならぬ、蛇を抜いた跡だよ!」


海斗「は・・・?」



彼はその言葉を上手く理解出来なかった。


しかし数秒後、その〈蛇〉という言葉を正しく理解したのかハッと息を飲む。



海斗「それは・・・どういう意味ですか」


未来「んー?そーいう意味だろ」


海斗「なら、やはりあなたは・・・」



先程の小さな未来の左腕に入っていた白い大蛇は、紗那の十字架の力によって追い出された。

もし未来が若返っていたのなら、今の未来の左腕にそんな傷跡があるのはおかしい。


だとすると、考えられることは1つだった。



海斗「ああなると、知っていたんですね・・・いえ、覚えていたんですね。






―――数年前に、既に体験していたから・・・」









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